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AIに負けないケアマネになるために

AIに負けない子どもを育てるhttps://amzn.to/3mzdAtOを読んだ感想です。

この本は東ロボプロジェクトを通して読解力に焦点を当てた本です。
東ロボとはロボットは東京大学に入れるかプロジェクトの略で、AIで東大の入試試験を突破できるかというプロジェクトです。
その中での試行錯誤の物語は前書となる「AIvs教科書の読めない子供」にも書いてありました。

この本の中で言われているのが、読解力が思ったほどみんな無いということです。そのデータがどうとかは本を読んでください。
ちなみにきちんと本を読めれば、教科書を読むだけで東大に入れるとされています。そんなんことないよと思うかもしれませんが、東大の試験は教科書からしか出題されてないそうなので、きちんと読めれば東大に入れるということです。

読解力がないとどうなるの

読解力がないと仕事で困ります。
何に困るかといえば、説明書が読めない、法律が読めない、仕様書が読めない、など読めないものだらけです。
「そんなことない、ちゃんと仕事はできている」と思われると思うんです。というか、僕も思ってました。
でも、法律読むの大変じゃないですか、法改正の時の通知とかも、「で、結局何が書いてあるの?」状態だったりしてます。
ってことは、その通知文は読めてないんことになるんです。

読めないとどうなるの

「いやいや、確かにそう言われたら読めてないよ、でもそれで仕事はしてるわけやし、問題ないやん」

と、思うかもしれません。
僕らの仕事である介護保険も厚労省からの通知がわんさかあるんですよ。その通知の一つ一つ、無意味なら作らないんですよ。必要なので作っているのが通知です。もちろん全部がすべてその事業所に関係があるとは言わないですし、関係ないものもありますよ。
それでも、関係ある通知もあるんですよ。それを読めてないとすればどうなるか。

例えば加算条件が変わるとすれば、それがわからなかったら加算が算定できなくなりなります。算定できなくなることを通知に書いてあるわけで、その内容が読めないので算定できなくなることもわからないままです。そうなると算定できないのに算定し続けることになるわけですよ。

考えただけでも怖いっす。

読めないだけ?

読解力がないと読めない、それはご理解いただけたと思います。
じゃあ、読解力不足はそれだけかというと、そうじゃないんです。
伝える力も読解力が関わります。

「伝えるって喋ったり書いたりすることやろ、そんなんしてるし問題あるわけないやん。」

いやいや、そうなんですけど、そうじゃないんです。
読めないけど書ける(喋れる)のはおかしくないですか?そういう人もいてると思います。
でも、考えるとそれっておかしいんですよ。

相手にきちんと伝えることができるのなら、その内容がわかるということですよね。それがわかるのなら読解力があるんですよ。読解力があってきちんと伝わる文章を作ることができるのに読むことだけできない、という状態なんです。なんていうんでしょうか、片手落ち感満載じゃないですか?

逆にすると、きちんと読めるけど、自分の書いた文章がきちんと伝わるかをチェックすることができない状態です。これも片手落ち感があります。

何か言いたいかというと、どちらかの能力があるならその能力を使ったらもう一つの能力をカバーできるんですよ。
というか、読めるから作ったものをチェックっしておかしくない文章を作ることができる、といったほうが僕は納得ができます。

はい、では伝えられないとどうなるか。
他の人に伝えられないんです。
仕事だと、セールストークができない、説明ができない、他の人に指示ができない、してほしいことが伝わらない、協力して仕事ができない、などなど数えたらきりがないです。

それくらい仕事をするのに、生きていくのに重要な能力なんですよ。

穴埋めプリントの弊害

本の中ではその原因の一つに、穴埋めプリントが挙げられてました。
学校の授業での話だったんですが、この穴埋めプリント、研修とかでもよく見ませんか?僕らも穴埋めプリントに慣れ親しんでいる状態じゃないかと思うんですよ。

穴埋めプリントは重要な部分を書かずに、参加者に書いてもらうことでそこが重要だということを知ってもらい、なおかつ研修等の話を聞きやすくなり、板書やノートへの転記も少なるなるし、教える側の意図も反映しやすく、教わる側の労力も最小限にできる夢のようなツールなんです。

でもそれだけじゃないんですよ。
穴埋めにすることで、ここが重要とわかりすぎてしまうんです。わかりすぎるというのは、それしか重要ではないと誤解してしまうんですよ。
確かに穴埋めにする個所は重要な単語が入るので、そこは大事なんです。
でも重要なことって単語だけじゃないじゃないですか。その単語の表す意味や概念が重要なので、その単語が大事なわけで、単語だけ覚えることを続けると本当に単語だけしか覚えなくなっちゃうんですよ。単語だけ覚えることが染みつくと文章を読むことをしなくなるんですよ。

っていう長い前置きがやっと終わりました。ここからが本題です。

僕のケアマネ試験の勉強方法

ケアマネの試験を通ったので現在ケアマネをしています。
その時の勉強方法が、過去問一問一答を丸暗記したんです。いや、丸暗記はしてないんですが、数文字読めばその問題が〇か×かわかるくらい、その問題集しかしませんでした。そしてかろうじて合格して、現在はケアマネジャー業務をしています。

上で書いてある穴埋めの丸暗記をしていたんですよ。意味のない単語だけの丸暗記より質の悪い〇×だけの丸暗記ですよ。
それでも過去問がそのまま出るわけじゃないから多少は問題の意味も理解していたと思いたいんですが、それでも勉強法としてはしてはいけないものの部類に入ると今では思っています。

何がまずいかは、上で書いたように丸暗記をすることで問題文を読まなくなって、文章を読まない問題の解き方になるんです。試験対策としてならそれでもいいかもしれません、しかし僕らはそのあとに文章をたくさん読む仕事をするためにその試験を受けてるんです。その試験勉強をすることで文章を読めなくなるのは本末転倒もいいところですよ。クリスマスにデスメタルですよ。

で、本を読んでて一つ疑問が出てきたんですが、東大も教書だけ読めればいい理論だと、ケアマネ試験なんて問題文をどれだけきちんと読めるかが勝負になるんじゃないかと思うんですよ。もちろん基礎知識は必要だと思いますが、ある程度の知識というか、基礎資格となる仕事をある程度していれば大方の問題は4択から2択に落とし込めるんですよね。
で、そこからなんです。
2択になってからが間違いやすい。
なので、ひっかけ問題やんって当時は思ってました。

ただこの本を読んでからは考えが変わりました。
それって読解力のテストじゃないのかと。
4択から2つを除外するのは知識問題で、残った2つから正解を選ぶのは読解力の問題じゃないかと。
まぁ、そこまで考えられているのかはわかりませんが、そんなことを考えていたんですよ。

実務は書くことと読むこと

上で書いた法令や通知文もそうですし、ケアマネっていう仕事は書くことと読むことの連続なんですよね。
いや、訪問したり調整したりも仕事ですし、そっちのほうが長い時間かかってるかもしれませんけど。

アセスメントしてプラン作ってモニタリングという流れが一般的なんです。

アセスメントはまず話を聞くこと(読解力)その話をアセスメントに落とし込んでまとめる(書く力)
まとめたものからニーズや目標を拾う(読解力)そこからプランに展開してい(書く力)
プランをもとに聞き取り(読解力)聞き取ったものをモニタリングにまとめる(書く力)

ちょっと無理があるのは承知ですが、まぁこんなところです。
結局は聞いて書いてまとめて書いての繰り返しで、自分の書いたものも自分の読解力で読み解いていく作業なんですよ。

根拠が大事

あと、この仕事してるとよく言われるのが根拠が大事って話です。

これも上で書いたように加算等の根拠をきちんと読んでおく必要があるんですよ。前の記事で書いたリハビリと機能訓練とか、○○加算1とか、それをとるには何が必要かを理解していないとプランに落とし込めないんですよ。
落とし込めないと介護保険給付としてそのサービスが機能しちゃいけないルールになってるんですよ。書いてないことは介護保険使えまへんでっていうことです。
この考え方が別の弊害を出してる気はしますが、それは別の話なので今はしません。

それでですね、書いてないとダメ→書かなきゃダメ→正しい書き方が知りたい→定型文だけでOKみたいな理解の仕方になっちゃうんですよ。
穴埋めの弊害がここに出ちゃうんです。
理由を説明する箇所で、その理由もわからないままコピペしてるようなプランや、まったく別の利用を説明してるプランなど。
まぁ僕が作ってたプランもこうやって指摘されたことも何度もありましたよ。
その原因は結局は文章が読めてないから、理論の構築が出来ずに、ちぐはぐなプランになっちゃったり、そもそも整合性を無視してたり、整合性のみに注目してたりといった具合なんでしょうね。うん、僕はそうでした。

たまにいらっしゃるんですが、何かがわからない時に理由を説明すると「そんなんいいから答えを教えて」という人。
ここまでくればお分かりだと思いますが、その人は穴埋め問題症候群にかかっている人だと思います。
そして僕らは「いやいや答えとかじゃなくて、理由を理解してもらわないと」と言って会話は平行線なんです。

最後に

思いのほか長い記事になりましたが、
ケアマネ試験の失敗が僕のケアプランの失敗につながっていたというどうでもいい話もここで終わります。

読解力を付けるための訓練に恰好の場を、丸暗記という力業でねじ伏せたためにダメケアマネが苦しんで利用者さんも苦しむことになって、それに気づいても修正するのに時間がかかる結果になるんですよ。

なので、結論じゃないですが、
もし試験勉強するならまずはそのテキストなり問題文なりの文章を読んで理解することをお勧めします。選択方式なら、知識問題は知識を付けて、ひっかけ問題と思うような問題なら、そのどこが違うのかじっくり何度でも書いたり分析したりしながら説いて練習するほうが実は近道じゃないかと今は思っています。

というわけで、今日はこの辺で。長い文章を読んでもらってありがとうございました。
もし、この文章が何書いてあるかわからない、と思う箇所があったら僕の力量不足なのでしてきてもらえるとありがたいです。
ありがとうございました。(タイトル回収してない)

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