SDGsならぬSDMs

皆様こんにちは。

久々の投稿です。

今回は何やら仰々しいタイトルですが、「Sustainable Development Goals」ならぬ「Sustainable Development Modeltrain shops」、「持続可能な鉄道模型店」について、思ったことを綴っていければいいなと思います。

タイトルでは横文字で無理やり当てはめてみましたが、要は「鉄道模型店の後継者問題」についてです。

つい先日、老舗鉄道模型メーカーのカツミが大手ホビーリユース事業の駿河屋に買収される報道がありました。

「駿河屋」運営のエーツー 鉄道模型老舗「カツミ」買収 新旗艦店の集客強化へ(あなたの静岡新聞) - Yahoo!ニュース

中の人、並びに30年近く付き合いがある先代もまさに「寝耳に水」ではありましたが、冷静にそこへ経緯を考えてみると、郁子なるかなという感想でした。
詳しい言及は避けますが、恐らく大きな理由は「なり手がいない」に尽きると思います。

カツミのようなメーカーに限らず、一般の鉄道模型店についても老舗、有名店が続々と廃業、もしくは事実上の吸収合併が進み、この鉄道模型業界も、他の産業と同じく「後継者問題」を抱える時期に差し掛かってきており、モデラーの方達の中で「次はあそこか・・・」と言った空気感が漂っているのをTwitterのTLで度々見かけるようになりました。

そんな空気感が漂う中、「後を継いだ人」の話を私が知る中では見かけたことがない為、今回は「後を継いだ」私個人が見た後継者問題についてお話しできればと思います。

前置きはこれくらいにして、本題です。

まず単刀直入に「継ぐ気が最初からあったか」と問われると「全くなかった」が正直な答えです。

先日の投稿でもお話しした通り、ヨーロッパのメーカーがしっちゃかめっちゃかになり、日本へは直輸入できるようになったこのインターネット時代に、何でまともなアフターサービスができない商品の代理店であり続ける必要があるのか?と言う理由で、あまり魅力のある事業ではありませんでした。
事実、ヨーロッパ型に限らず、アメリカ型を含めた他の海外型を輸入していた店も、現在同じ状況に陥っているように見受けられます。

ではなぜ継ぐ気になったか、正確に言うと鉄道模型屋になろうと思ったかと言うと、先代がメインの事業を日本型の輸出業へ転換し、いざ世界の鉄道模型市場を見渡した時、ここまで鉄道大国だと謡いながら、なぜ日本型鉄道模型が世界の鉄道模型市場において未だに「キワモノ」扱いされ、いつまで経っても日本を代表する鉄道である東海道新幹線の最新車輛、グローバルスタンダードであるHOゲージでまともに出てこないんだ、と言う悔しさを予てから持っていたことが大きいかなと思います。

その悔しさを基に「日本型鉄道模型を世界市場において一つの大きなジャンルとして食い込ませる」と言うのが私個人の目標であり、鉄道模型屋になった大きな理由です。

それと今回の後継者問題のどう関係しているのかと言うと、廃業、または吸収合併された店には、後継者になり得る人たちに、その「目標」なり「野望」を持たせることができなかったのではないかなと思います。

これだけ聞くとやけに根性論っぽく聞こえるかもしれませんが、更にその先にある継ぎ手がいない原因の根源を私なりに考えてみると、現店主自身が「この先どうしていいかわからない」が大本にあるのではないかと思います

鉄道模型というモノの性格上、内向きの商売になるのは当然だと思います。
自動車などと違って、好きな人と必要に迫られた人の両方が存在する市場でもないですし、興味を持たなければ一生関わることはないでしょう。
好きな人同士でも「趣味が合わない」の一言で交友関係を持たないこともしばしばあると思います。
また、今現在の私達の商売のやり方も、まだモデラーではない人達に向けてではなく、既にモデラーとなっている人達にアプローチをかけています。

ですが、日本のモデラー向けのTwitterアカウントを開設し、様子を伺ってみるにどうも漂う空気を見てみると、「これ以上のことはやらないし、どうせ自分達にはここまでしかできない」と言った印象のスタンスを持った店、メーカーが多い印象です。

勿論、私自身は全くそれで構わないと思いますし、一回限りの企画や、知り合い同士で楽しむ分には程よい規模かと思います。
しかし同時に、先述したモノの性格上、先ずは自分のやりたいことに賛同してくれる界隈(先代との会話ではよく"クラスター"と表現しています)へ狙いを定めるのは定石で、次のステップへ進む際に一度事業としてやり始めた、続けてやってきた以上、新しい顧客を呼べる実力があるはずの店は、そのスタンスを取り始めた瞬間、彼らに残された選択肢は「固定客と一緒に歳を取り、最後は市場から共に去る」と言う周りのユーザーからしてみると、なんとも悲しい結末のみとなります。

例えどんなに小規模だとしても、事業者とユーザーの死は市場にとって損失でしかありません。
ましてやある程度の大きさの事業者やユーザーのクラスターとなると、その損失の大きさは言うまでもありません。

更に言うと、その死後に遺された物や人が上手く良心の下に救済されればいいのですが、残念ながら現実と同じように、時として「転売ヤー」と言う名の「墓荒らし」の手によって周りの人も不幸な目に遭ってしまうことも多々あります。

またこれは稀有な例ですが、次の担い手自身が金勘定にしか興味がなく、自身が「墓荒らし」になるパターンも少なからずあるようです。
その場合、墓を荒らしている途中はいいですが、荒らし終わった後のゴタゴタに巻き込まれた人たちの末路を考えると目も当てられません。

それでは市場が更に縮小し、より内向的になってしまい、「あの産業には手を付けないほうがいい」というスパイラルに陥る結果となる可能性が高いです。

事実、鉄道模型屋は儲かる事業では全くもってありませんが、少なくともそれを生業にしている本人たちも勿論ですが、周りの人達にもいざとなった時に助けてあげられるような良心がある人たちが一人でも多くいることを願うばかりです。

また、私自身もこれまで消えていってしまった店、メーカーの話を自戒として、目標に向かって続けていければいいなと思います。

今回の投稿はこれで以上です。

次回予告ですが、現在、先代が一部のマニアの中で伝説(?)になっているらしい「1996年に日本のヨーロッパ型ファン達20人を本当にヨーロッパへ連れて行った話」をお届けできるよう準備しています。

実際にツアーに参加していただいた方から思い出話をしてもらいながら、裏話までお話しできると思いますので、楽しみにしていてください。

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