マガジンのカバー画像

読んだ

263
読みます
運営しているクリエイター

記事一覧

5/12 『赤面 一生懸命だからこそ恥ずかしかった20代のこと』を読んだ

くりぃむしちゅー上田晋也のエッセイ3冊目。1冊目2冊目と楽しく読んできたが、3冊目は表紙がちょっと嫌だったので刊行されてもしばらくは買わずにいた。しかしまあ、前2冊も読んでいることだしな、と渋々買って読んでみたら、書かれていることはオールナイトニッポンなどで話されていた往年の人気エピソードの数々で、あらためて本人の筆によって綴られたものを読むのは楽しかった。知ってるエピソードばかりで目新しさが薄いとも言えたが、しかしそれだけでもなく、最も紙幅を多く割いて書かれた芸人への第一歩

5/8 『火喰鳥を、喰う』を読んだ

舞台は信州中南部。ということは木曽か? いや伊那の方か。まあ広く信州と見れば、奇しくも積読リスト上では3連続で地元と縁のある小説が並んでいたことになる(間にリストに無かった西尾維新が入ってるし、『豊久の女』は主人公の出身地というだけだったが)。なかなかアグレッシブなタイトルに惹かれて購入。初めて読む作家。 呪物めいた大伯父の日記がやってきた瞬間から、ホラー演出マシマシで立て続けに怪現象や怪言動が頻発する。あざといくらいに起きる。なかなか無惨な描写も豊富で、映像で観たらちょっと

4/30 『鬼怒楯岩大吊橋ツキヌの汲めども尽きぬ随筆という題名の小説』を読んだ

ウフフフフ爆笑。いや爆笑はさすがにしてないし、ウフフフフとも声をあげて笑いはしなかったが、終始ニヤついて読みたくなる小説だった。まあニヤつきながら本を読んでいたら不気味なので、結局無表情で読み切ったわけだけど……多分。気持ち的にはウフフフフ爆笑。 一言でまとめるなら、「西尾維新の特長ともいえる無駄に手の込んだ言い回しや野放図な言葉遊びが、手段ではなくそれ自体を目的として書かれた小説」とでも言うべきか……あるいは「西尾維新が『西尾維新みたいな小説書いてください』って言われて書い

4/25 『木曽川 哀しみの殺人連鎖』を読んだ

『豊久の女』に続き木曽ものが続いている。いや、狙ったわけではないけど。購入した時期も違うし。初めて読む作家だが、お名前はなんとなく存じ上げていた。中学校の学級文庫に作品が確かあって、ちょっと数ページ開いてみた記憶がある。ミステリはミステリでもあまり馴染みのないタイプの、テレビドラマ感のあるタイトルだがたまにはこういうのもと思って手にとってみた。実際テレビドラマになっているシリーズであるらしい。 秘書の友人が高級時計盗難事件に巻き込まれ、その捜査をしている内に時計店の社員が木曽

4/17 『豊久の女 下』を読んだ

上巻に引き続き関ヶ原の戦いが描かれ、いよいよ正念場、「島津の退き口」が間近に迫る。俺もそこそこ歴史もの、または歴史ものを題材にした様々なエンタメ作品をそれなりにたしなんできたので、さすがに関ヶ原の戦いに関しては大まかな流れとかは頭に入ってきつつある。それでも島津の視点から西軍が天下分け目の決戦にいたるまでどのように動き、また動かなかったのか、とかはまだまだ知らないことも多く、そうした描写が丹念に盛り込まれていたので面白かった。やはり勝ち戦よりも負け戦の方が見るべき部分が多いと

4/10 『豊久の女 上』を読んだ

書店で、別の本を取ろうとして、うっかり手をぶつけて落としてしまい、その音が結構店内に響いたので、気まずくてそのままレジに持って行ったのが本書とのなれそめだった。いやもちろんあらすじを見て面白そうだったってのもある。『ドリフターズ』で一躍有名になったあの島津豊久と、わが故郷である木曽の出の女との主従もの、とは。木曽生まれの父と鹿児島生まれの母を親に持つ身として、見過ごせないものを感じた気がする。気まずさの方が圧倒的に感じていたけど。出版元も長野の小出版社でなかなかレアだし、文字

4/4 『プラントピア』を読んだ

最初、作者が参加しているソシャゲか何かのノベライズ作品なのかな、と勘違いしていた。そうではなく歌やフィギュアなどとのメディアミックスプロジェクトの一環としての小説作品、ということのようだった。作者の九岡先生はその中での世界設定や物語担当だったとのこと。なるほどだからこんな綺麗でスラっとしたデザインで、植物という穏やかなイメージを纏ったキャラクター達が、動きだしたら暴走機関車みてーにガッツンガッツンバトったりしてたんだな。最初ギャップに戸惑った。 ただ自分で言うのも何だけど、勘

積読リスト(2024年4月現在)

いちおう3ヶ月で10冊以上は読めているので及第点というところではあるが、積読自体の消化はあまり進んでおらず、むしろ追加されたものの方が多い。まあ今回はお誕生日でいろいろ買ったり、懇ろにしてるネットストアのhontoが紙書籍の取り扱いを止めちゃうから買い納めにいろいろ買ったりしたのでむべなるかな。『ニューロマンサー』を平らげただけで今四半期は満足している。 最近のトピックとしては、先日インフルエンザに罹った。さいわい、熱や症状も大したことはなく高校生時分以来のタミフル投与で無事

3/30 『激ヤバ』を読んだ

随分とさらけ出している。国ちゃんよりも、少なくとも文章という媒体においては、より鮮明に顔が見える。ランジャタイのネタとか、テレビでもそんなに自己主張しないし、シャイなんだろうなと思っていたけど、文章では実に赤裸々に自身のことを語るのだ。意外だった。文章だとさらけ出せるタイプか……わかるな。ていうか名エピソードがてんこ盛りで、めちゃめちゃ話せるじゃん! もっとこういうのテレビで披露しなよ! と読んでてしきりに思っていた。有名な、NSCでトガりまくってて大暴れした結果クビになると

3/22 『Fate/strange Fake ⑨』を読んだ

次巻が最終巻だと……そんな、まだ何も片付いてないし謎も明らかになってないじゃ……いや、わりとなってる、いつの間に。いろいろと明らかになってるし最終決戦とおぼしきマッチメイクも決まってきている。ただアヤカの正体とか、明らかになってるけど「こういう謎のものがいろいろあってこうなりました」みたいな、「こっちの謎はあるけど今回の話には直接関係しないことが明らかになりました」みたいな、論文か何かかって感じなのが癪ではある。 他にも相変わらず時系列が錯綜しててリアルタイム時刻表示欲しいと

3/18 『エンタングル:ガール』を読んだ

TVアニメ『ゼーガペイン』にて繰り返される舞浜の夏は、作中では2022年の夏という設定だったらしい。いつの間にか我々はあの夏を突破していたとは。 本作の舞台は時系列的には――『ゼーガペイン』という作品においてそれがもっとも難しい問題かもしれないが――TVアニメで描かれる、その一つ前のループということになるのだろうか。もしくはそれ以前に繰り返されてきたいくつものループの一つか。ひょっとしたら、章と章とでも別のループだったのかもしれない。ちょっと不自然に思うくらい章やイベント事が

3/12 『水滸伝 一 曙光の章』を読んだ

初北方謙三にして、初水滸伝。いや、水滸伝の方は登場人物の名前くらいならいくらか耳にはしていた。北方謙三もまた名前だけならよく存じ上げていた。 よくよく記憶を辿ってみると水滸伝は確か小学生か中学生の頃に、全1冊のやさしい本を読んだ覚えがあるような気がする。伏魔殿から108つの星が飛んでったとか何とか。お話について全く覚えていないのは、その後ジャイアント・ロボを観て豪快に印象を上書きしてしまったからだろうか。あとはFGOとか、昔ジャンプでやってた水滸伝モチーフのマンガ……くらいの

3/4 『ニューロマンサー』を読んだ

何年か前の誕生日に、古典名作SFを読んでみようということで買ったのだった。やれ難解だの文体がヤバイだのと評判を聞いて、そのたびに戦々恐々としてきたが、そうは言っても俺も今やニンジャスレイヤーの物理書籍を読破したしXやnoteの連載を現在も追い続けている身、たとえSF史に燦然と輝く難解さを誇っていようと、その後発作品を手がかりにして読み進めていけば、イケるのではないか。ほら早速さらりまんとかヤクザとかザイバツとか手裏剣とか出てきてる……イケるのではないか!? ……イケないー! 

3/1 『へんなの』を読んだ

巻末に漫☆画太郎先生の友情出演マンガが掲載されているのが、もはや答え合わせに等しい。子どもの頃に読んだマンガに魅了され、子どもの頃に読んだマンガに出てくるような芸人になれているというのは果たしていかなる運命のなせる業か。長らく地下にいたのが良かったのかな。半端に地上に出ていたらいろいろと歪んでしまっていたかもしれない。よくぞこうまで素敵なかたちを残したまま育ててくれた、ありがとう地下芸人界。漫☆画太郎より生まれ、地下芸人界によって育ったのがランジャタイであり、国ちゃんなのだと