戦争はつらいが戦直後もつらい

浮浪児1945を読んだ。

著者は各国を旅して海外の実際を見てきた方だ。

彼が調べて書くルポルタージュには、困窮や貧困について、核心に迫る書き方をし、とても的を得た内容になっている。

私は読んで学校図書にするのは、もちろん、大人も読まなければならない、と強く思った。

どうも人間というのは、過去の悲惨なことや、その中に居たことさえ、黒歴史にしたり、闇に葬り語りたがらないことがある。

しかし、ものごとが成り立つというのは、綺麗な部分だけでなく、目を背けたくなるようなことさえある。

はだしのゲンを学校から外すと話があったとき、ある戦中派は「なんで外すの?あれが事実でしょ!」と力んだ。

大人の善意が子供だけでなく、自分にさえ事実や真実を隠し、目を背ける習慣を作る。

貧困や困窮が分からない場合、その知識や体験談に触れない習慣は、生活の水準を比べられないどころか、貧困や困窮の何たるか?すらも分からなくなる。

浮浪児だったことを隠したがったり、晒すものでは無いという、当事者の声が書いてあった。

そうせざるを得ない生き方だったはずなのに、不理解や差別の感情は昔も今も根強くあると感じた。

たぶん当事者は理解あるか無いか?を見ながら、会う人間と付き合うのだろう、と思う。

理解なければ、または想像力がなければ、話しても無駄であるし、損をすることや(当時なら)危害を加えられることがあろう。

昔も今も、あの過酷さで生きられる方が僅かなのだ。

ドキュメントやメディアなどでは、大抵は軍とか戦後政府、大まかなことしか話さないが、巷の混沌さについては、詳しく語らない。
戦直後状況を知る入門書になる。

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