読みやすくした遠野物語④座敷童

古い家には「座敷わらし」という神様が住んでいることが少なくありません。
この神様はたいてい12歳か13歳くらいの子どもの姿をしています。
時々、人々に姿を見せることがあります。

土淵村大字飯豊に住む今淵勘十郎さんの家では、最近、高等女学校に通う娘が休みで家に帰ってきたとき、廊下で座敷わらしに遭遇してとても驚いたことがあります。
それははっきりと男の子の姿をしていました。

同じ村に住む佐々木さんの家では、母親が一人で裁縫をしていると、隣の部屋から紙がこすれるような音がしました。
その部屋は家の主が普段使っている部屋で、その時は東京に行っていて家にはいませんでした。
不思議に思って戸を開けて見たけど、何も影はありませんでした。
しばらく座っていると、また頻繁に鼻を鳴らす音がしました。
やはり座敷わらしだと思いました。
この家にも座敷わらしが住んでいるという話は、昔からよく知られています。この神様が宿る家は、富と幸運があると言われています。

座敷わらしは、家の守り神の一種です。この神様については『石神問答』という文書にも記述があります。

座敷わらしには女の子の姿をしたものもいます。
山口家という古い家族には、女の子の座敷わらし二人がいると長い間伝えられています。
ある年、同じ村のある男性が町から帰る途中、見慣れない二人の美しい少女に出会いました。
少女たちは物憂げな様子でこちらに近づいてきました。
どこから来たのか尋ねると、「山口の孫左衛門の家から来た」と答えました。
これからどこへ行くのか聞くと、「あなたの家に行く」と答えました。
その男性は少し離れた村に住んでおり、今も裕福に暮らしています。

周りから孫左衛門家が衰退する時が来たのだと思われていましたが、それからそう長くないうちに、その家の人たちがキノコの毒に当たって一日で亡くなり、7歳の女の子一人だけが残されました。
その女の子も歳を取って子どもがいないまま、最近病気で亡くなりました。

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