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香り

香りが好きだ。
香りというと、20代の頃は香水が好きだった。
だが、次第に年齢なのか、心のせいか私自身が香水の香りが苦手になってしまった。
電車などで隣に座った人の香水の匂いに敏感に反応してしまい、避けてしまうことも多々ある。
香水を付けなくなった私は、外へ出るときは無香性のデオドランドスプレーを使っている。

そんな私が使う香は主にアロマオイルとお香だ。
家では主にお香を使っている。
お香はその日の気分に合わせて、炊いている。
香りが色々(金木犀、ヒノキなど)あり、値段もそれほど高くないので毎回選ぶ楽しみもある。
何より、香りそのものに癒される。
いつもと同じ空間にいるのに、少し贅沢な気分にもなる。

そうやって、色々はまっていくうちに、実際の仏壇で炊くようなお香も買ってみた。
心が落ち着く感じがするのだ。
ヨガをするときや瞑想するときなど、静かにリラックスしたいときに使っている。

お香の香りを嗅ぐと、祖父母の家を思い出す。
大きな仏間があり、玄関に入るだけでお香の香りが漂っていた。
私は子供の頃、その匂いが苦手だった。
慣れない匂い、仏壇という亡くなった人の前で炊かれる香り、怖くて、古臭いイメージがあった。
それから、20代、30代になり祖父は亡くなり、祖母とも会う機会がなくなる。
そんなとき、お香の香りを嗅ぐと、祖父母のことを思い出すようになった。
特に遊んでくれた祖母のことを思い出す。
放課後、毎日のように入り浸り、ぽたぽたせんべいを食べたこと。
二人でトランプをしたこと。
そんな懐かしい香り。

香りは記憶を想起させる。
私が今お香を炊いて心が落ち着くのは、香りそのものの効果もあるのだろう。
でもそれだけでなく、子供の頃の祖父母との関わりや祖父母の家で過ごした日々の思い出のせいもあるのかもしれない。


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