シェイクスピア全集(松岡和子訳):④夏の夜の夢・間違いの喜劇/⑧テンペスト/⑨ウィンザーの陽気な女房たち
シェイクスピア全集はいくつか出ているが、最新は、ちくま文庫の松岡和子さん訳のものだ。
ちくま文庫の全集は全部で33巻からなる。
SNS(スタディプラス)のお友達の「全冊制覇!」の記録を見て、私も読んでみたいな~と思い、チェック。
過去に他の方の訳で読んだことのある8冊を除き、番号の若い方から図書館で借りてみることにした。
昨年の秋から始めて、現在進行形だけど、読んだ順に少しずつ感想を書いていこうと思う。
(感想は読み終わったときにメモしてあるので、なるべく変更しない形で載せる)
『シェイクスピア全集4 夏の夜の夢・間違いの喜劇』
記念すべき1冊目が、この本。
全集4は、2つの喜劇が収録されている。
「真夏の夜の夢」
難しい話ではないし、以前、シュールな映画(確か、ケネス・プラナーだったか)を見たことがあるので、ストーリーは何となく覚えている。
喜劇というのは、読んだ場合はあまり面白いものではない。ストーリーを知っているとなおさらだ。
これは舞台で、役者さんたちが表情や身振り豊かに演じることで魅力が出てくるのだろう。
「間違いの喜劇」
双子を扱った名作と言えば、シェイクスピアの「十二夜」を以前読んで、気に入った覚えがあるが、こちらの「間違いの喜劇」は、ただバタバタとして終わるだけの感がある。
ストーリーを知らなかったのと、妖精などが出てこないで、より現実味があるのとで、「真夏の夜の夢」よりはまだ楽しめたが。
2編とも、割とサッサと読んでしまってから、後ろの解説を読んで、え~!となる。
特に河合祥一郎氏の「真夏の夜の夢」の考察は、何げない一言、何気ない場面にそんな深い意味があったのか!と驚かされるような話が満載だ。もう一度本文を確認したくもなるが、そうすると全集制覇が遠のくので、今は先に進めることにする。
と言っていると忘れちゃうんだけど。
『シェイクスピア全集8 テンペスト』
テンペストというから、「嵐」が起こるんだろう、「大騒ぎ」ともひっかけているのかな、という程度の予測だけで、内容は何も知らずに読み始めた。
本文が163ページと短い割には、たくさんの人や人でない生き物も登場するが、そこは戯曲のいいところで、はじめに登場人物の名前と役割が書いてあるし、すべての会話は誰が話したかも明らかなので、ストーリーも追いやすい。
その辺を割り引いても、前回読んだ「夏の夜の夢」や「間違いの喜劇」よりも冗長な部分が少なく、テンポよく読める。
そうか、明らかな悪者が懲らしめられるから楽しめたのか。(笑)
でも、考えてみると、もともと平和に暮らしていた妖精たちを自分の奴隷のように扱っている、プロスペロー自体も、本当にいい人なのか、疑問が残る。
新大陸を「発見」して原住民を征服した西洋人のようではないか、とさえ思った。
読み終わって、河合先生の解説を読むと、それらしいことが書いてあってちょっとうれしくなる。この本は、さほど長くないし、難解でもないから、解説は後のほうがいいかも。
また、訳者のあとがきも興味深い。
『シェイクスピア全集9 ウィンザーの陽気な女房たち』
フォルスタッフという名前に聞き覚えがあるなあ、と思ったら、やはり「ヘンリー4世」に登場していた。「ヘンリー4世」は読んだことはないが、以前、ドラマを見たことがある。ハル王子(のちのヘンリー4世)と遊び歩く、太った酒飲みのおじさんだったような。
他にもその時つるんでいた何人かや、関係者も登場している。
名前は同じで、キャラも似ているが、時代設定が違うので、同一人物というわけではないらしい。
今回のドタバタ喜劇の裏では、若い二人の恋物語もちょこっとあって、親が決めた結婚を何とか逃れようとするパターン、「真夏の夜の夢」とも近いものがあるか。
100パーセント喜劇、深く考えずに、楽しめばいい作品かな、と思う。
何冊か読んでくると、シェイクスピア劇にはまった当時の人々の気持ちがちょっとわかってくる。
楽しいパターンや、成功したパターンなど、二番煎じと思わず、何度でも惜しげもなく使うので、笑う準備もできるというものだ。
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