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④春の嵐〈祭り〉

「てのひらに春」春のパン祭り開催中。

今年はデイリーイシザキのお店でお弁当やおにぎりを買っているので、どんどん点数が貯まっていく。このペースでいくと白いお皿が2枚もらえる可能性が高い。少し深さのある皿らしいので、2枚もらえるとサラダを入れたりスープに使ったりできるな…。そんなことを考えている藤原灯の2024年春だ。

以前、白いお皿の話を恋人にした時、呆れられて「普通に白い皿を買ったらいいんじゃない?」とアドバイスしてもらったことがある。私も少しそうは思っているけど、これは毎春恒例のイベント、決して諦めることはできない自分との闘いなのだ。もうイシザキのパンは食べたくない!途中でそう思っても、頑張って食べ続けるのだ。最低でも白いお皿を一枚はもらう。そう自分に課して生きている。白いお皿のシリーズを集めて普段から使う。それが大人になってからのミッションとなった。

「平和な毎日だ」灯は呟いた。仕事帰り、電車から降りるとそのまま駅前にあるデイリーイシザキのお店へと吸い寄せられるかのように入っていった。

最近のコンビニエンスストアは、地元の野菜やフルーツ、肉などが売られている。にんじんが2本で120円とか、小ぶりな玉ねぎは2つ入って100円とか。お弁当やおにぎりは、店内キッチンで作っていて、人気が高い。牛乳などはスーパーマーケットより高いが、大概のものはここで揃う。まさにコンビニエンス。スーパーマーケットよりもよく行っているかもしれない。ポイ活もしているので、貯めたり使ったり。便利なお店だ。

毎日同じ店に通うのもなにかな?と思い、違うコンビニエンスストアへ変えたりもする。なんだかんだで、どのお店からも顔を覚えられているようで、気恥しい。

でも、この時期はそうも言っていられない。毎日シールを集めるために、同じ店へしつこく通う。この4月の1ヶ月間が重要だ。転職したばかりでアタフタしている毎日ではあるが、こうゆうことに関しては頭が働く。子どもが30点まであと何点必要か、教えてくれる。効率よくシールを集めるために、日夜研究の日々を送っている。

そう、平和な日々だ、順調に新しい仕事に慣れてきている。

(この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません・笑)

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