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【自作紹介】超えられない壁にもがく日々。悩んだ末に、初めてとなる作品取り下げ。

 こんばんは、それともこんにちは? 花音です。
 あと半月ほどで自分の作品が書店に並ぶということで、嬉しい反面、不安と緊張でいっぱいです。
 書影を公開した際には、多くの反応を頂きましてありがとうございました。

 というわけで、ここでもさっそく宣伝です。 

 ――再び出会った君が、後悔ばかりの私に前を向かせてくれた

「3日戻したその先で、私の知らない12月が来る」

【2023年8月中旬発売予定!!】
ISBN : 978-4-434-32479-6
 
 サコ様(@35s_00)に描いて頂いた侑と拓実を、ぜひご覧くださいませ✨✨

◇ ◇ ◇

 では、前置きはこのくらいして、本題である作品紹介に入ります。
 この当時、押しも押されもせぬ自信作であった「あの日見た空の色も青かった」を完成させた私。この後も同作品に追いつき追い越せと、続々ライト文芸作品を手がけていきました。
 今回は、その過程でもがき苦しみながら書いていた作品を三つ紹介していきたいと思います。

 これまでと同じく、下記のように作品の情報を羅列していきますね。

①作品名
②ジャンル
③文字数。改稿による変遷を含めて
④初稿を書いた時期
⑤投稿サイト ※ 2023年八月現在の投稿場所です。当時の話とは異なります。
⑥あらすじ、簡単な紹介など


開いた心の扉から

①開いた心の扉から
②ライト文芸 ⇒ 青春
③137000 ⇒ 159125
④2019年四月
⑤アルファポリス、小説家になろう、ノベルアッププラス
⑥……広瀬慎吾(ひろせしんご)、渡辺美也(わたなべみや)、阿久津斗哉(あくつとおや)。仲が良かったはずの幼馴染三人は、互いに想いを寄せ合いながらも、いつの間にかギクシャクしている自分たちに思い悩んでいた。
 やがて三人のトライアングルに、聴覚障害を持つ女の子、桐原悠里(きりはらゆうり)が加わり、文化祭の催し物として決まった「ロミオとジュリエット」のジュリエット役に桐原悠里が決まると、次第に彼らの関係も変化していく……。

 前作「あの日見た空の色も青かった」をなんとか越えようと、意気揚々と執筆に取り組んだのが本作です。
 この作品を書くに辺り、明確に意識していた点がいくつかありました。

①物語が転がり易いように、登場人物を多くしよう。

 これは前作の反省点を踏まえての対策で、登場人物を多く出せば、自然と話が転がるだろう、という安易な(笑)考えによるものでした。
 そのため、既存作品である「バレンタイン・デイ(ズ)」の隣のクラスを舞台にしてみました。
 バレンタイン・デイ(ズ)の登場人物をゲストとして絡めつつ、新キャラクターを描こうという魂胆ですね。新キャラ考えるのが面倒で使いまわした、とも言える。

②視点は〝あえて〟一人称にしよう。

 時々あるじゃないですか。「SIDE:○○」の様に、エピソードごとに視点を変える一人称小説が。それを真似してみようと考えたのです。
 今にして思えば、これはちょいと愚策でした。ただ、悪いことばかりでもなかった。
 基本的に私、口語調の一人称って苦手なんですよ。ところがこの作品、視点が変わると地の文にも変化が生じていたんです。極々自然に。
 苦手な部分を克服する糸口をつかめたという点では、本作を書いた意義もあったのかなと。

③絶対に、10万文字を越えよう。

 コンテストの参加要項に「10万文字以上」という内容が含まれていることがあるため、文字数を目標として強く意識し始めたのがこの頃でした。
 これらすべてを満たして、なおかつ前作を越えようと試行錯誤して書き進めた結果、「大好きな物語ではあるものの、いくつか致命的な欠点を抱えた問題作」となってしまいました。

 欠点その①
 四人全てを主人公と位置づけた結果、視点を変えながら全員の葛藤や過去を描く必要が発生し、とにかく導入部分が長くなった。
 まあ、私は全員を愛して執筆したので良いものの、読者視点だとこれはどうなんだ? という疑念は今も拭えてません。

 欠点その②
 やはり一人称による視点切り替えは愚策だった。
 特に中盤以降は視点の切り替えが多めになり、エピソードごとに主人公が変わっていました。終盤は、メイン二名の視点で固定されるものの、そこにたどり着くまでに読者にギブアップされそう。

 欠点その③
 どうしようもなくタイトルが弱い。
 どういう訳か、終盤までタイトルが決まらない珍しい作品でした。六割以上原稿が溜まったところでようやく決まったタイトルも、なんとなくインパクトに欠けるもので……最早泣きっ面に蜂です。
 
※タイトルについてはのちにテコ入れをしました。そうして変わった現在のタイトルが、「見上げた空は、今日もアオハルなり」です。これもまた、別に強いタイトルではない(笑)

 くっついたり離れたり、部活動に精を出したり、時には互いの感情を激しくぶつけ合ったりと、恋愛と青春を青臭く描ききった本作は、内部にいくつか致命的な歪みを抱えながらも、私の中で一~二を争うお気に入りです。
 特に、後半から出番が激増する阿久津くんのカッコよさは特筆ものではないかなと。
 けれど、作品として根本部分に欠点を抱えてしまった以上、決して自身作ではありません。
 改稿する方法はわかってます。主人公の何人かを切り捨てて、シンプルに物語を再構成すればいいんです。
 でも……無理なんですよね。
 四人全員を私は愛しているので、(ついでにいうと、脇役にも凄く好きなキャラが結構いてこれもまた困る)今さら無かったことにはできません。
 だから駄作かな、と思いつつも修正できない。でも作者的には凄く好き。なんとも微妙な立ち位置にある作品が、この「開いた心の扉から(現、見上げた空は、今日もアオハルなり)」なのです。

Three days rewind(スリーデイズリワインド)

①Three days rewind (スリーデイズリワインド)
②ライト文芸
③156000
④2019年四月
⑤アルファポリス
⑥……三日間だけ時間を戻す超能力を持つ女子高生、煮雪侑(にゆきゆう)。彼女は大きな未練を抱えていた。それは、初恋の相手、田中(たなか)君に謝れないまま彼の転校で関係を引き裂かれたことだった。
 彼を描いた未完成のままの水彩画を部屋の片隅に押しやり、絵を描く情熱をBL漫画に向けて現実逃避を続ける彼女の元に、ある日、長谷川拓実(はせがわたくみ)という転校生がやってくる。
 やたらと馴れ馴れしく接してくる彼に惹かれていくうちに、忘れかけていた様々な未練が浮き彫りになってくる。

 前作が主人公を増やしすぎて収集がつかなくなった反省を踏まえ、主人公を一人に絞った一人称。どんでん返しのあるラストを書きたかったので、後半部分のトリックを最初に決めて書き始めた作品でしたが、当初の思惑通りにはいきませんでした。
 とにかくこの作品の失敗点は、次の一言に尽きます。

「主人公が多趣味すぎて節操がない」

 もうね。10万文字越えなくちゃという意識が強すぎて、色んな要素を話の中に詰め込んでしまった。
 趣味である水彩画。
 BL漫画。
 部活動してのバドミントン、適わないライバルの存在。
 初恋の相手やら家族との確執、葛藤……。
 特にバドミントンは私が好きなこともあって、結構しっかりとした描写で書いてあり、丸々試合の内容を綴った話すら存在する。
 これさあ、興味ない人はきっとしんどい。
 ハイクリアだのドライブだのカットスマッシュだの言ったところで、果たして何人がついてこられるのか? でも、もったいないんで修正する気も消す気もないんですが(苦笑)

 結末は、結構想定外のものを準備できました。
 驚かせる自信も相応にある。
 けれど、色んな方向に物語が向いたり戻ったりするので、最終章まで読み手を導けないだろう。そんな感じのまとまりが弱い作品になってしまいました。この作品も感想を貰ったことが一度もないので、第三者の目でどう見えるのか? まったくわからないのですが。

 自信がないので、アルファポリス以外には転載していません。
 もうね。書いてる途中から「あの日見た空の色も青かった」を越えられないのが自分の中で明白になり、本当に書いてて辛かったです。ブクマも一個~二個レベルしかつきませんでしたしね。
 それでも、執念で書き上げました。
 たぶん、私が煮雪侑(にゆきゆう)という主人公を気に入っていたからでしょう。私が描く主人公にしては珍しく、前向きでアクティブな性格なんですよね、彼女。煮雪がいてくれなかったら、この作品は完結してなかったと今でも思う。

注1:ここ、文章をリテイクせずにこのまま転載しました。内容で察した人もいるかと思うのですが、現在の「3日戻したその先で、私の知らない12月が来る」のことです。
 のちの大賞受賞作品も、書き上げた当時はブクマ3個。感想ゼロ。自信もゼロ(まあ、作品としては結構好きでしたが)という惨憺たる状況だったのですね。
 まとまりがない作品だったということは、まとめることができたら傑作になるわけで。
 テーマを真ん中にしっかり添えて改稿した結果、受賞につながる作品へと生まれ変わったのです。

 そして、次に紹介するのが最大の問題作。ついに自身初めての、「未完作品」となります。

彼と彼女が、新たな目標を見つけて前を向くまでの物語

①彼と彼女が、新たな目標を見つけて前を向くまでの物語
②現代文学
③120000文字くらいで完結予定でした。未完なので、なんとも言えませんが。
④2019年六月
⑤アルファポリス (現在は、作品の取り下げをしたため残っていません)
⑥……プロ野球選手になる夢を挫折した進藤新(しんどうあらた)。初恋の相手を忘れられず、それでも大学デビューを果たして女遊びに耽る三嶋蓮(みしまれん)。教師になる夢を叶えたものの、日々、理想と違う自分に思い悩む霧島七瀬(きりしまななせ)。
 小学生の頃に埋めたタイムカプセルから出てきた、今の自分に宛てた手紙。その内容に触れた彼らは、かつて描いていた理想と現実のギャップに戸惑いながらも、それぞれ答えを見つけて前を向く。

 主人公三人の話を順番に描いていく、リレー形式で書いた作品でした。

※それにしてもひどいタイトルですね(苦笑)

 これも「あの日見た~」という作品のインパクトを越えたいと躍起になりながらも、やはり10万文字を越えるという目標を念頭に置いて書き進めてました。
 三人の物語は各々独立で完結していきますが、三人は小学校の同級生でもありますので、視点が切り替わっても他の登場人物がゲストとして出演してきます。また、裏では繋がりがあるという設定になっていて、運命は微妙に絡み合いながらも三人が顔を揃えてエピローグを迎えます。

 ここまでプロットも決まっていましたし、第一章:進藤新、第二章:三嶋蓮と順番に完結させました。そこでいよいよ霧島七瀬を主人公にした最終章の執筆に入ったのですが、五~六割ほど書き終えたところで筆を置きました。
 一度手が止まるともう一切書けなくなってしまい、初めてとなる作品の取り下げを行いました。
 理由は……いくつかあります。

①「あの日見た空の色も青かった」を越えられないのが明白だった。

 自信作だったはずの作品は、いつの間にか越えられない壁として立ちはだかっていました。過去の作品を越えなくちゃ、と気負い過ぎていたような気もします。

②主人公の中に、お気に入りの登場人物がいなかった。

 これは致命傷だったと思う。三人全てを社会人と設定したのがダメだったんですかね? とにかくキャラに感情移入できなくて、ずっと筆が走りませんでした。前作までは必ず好きなキャラがいたのでモチベーションに繋がってたんですが、この作品にはそれがなかった。

③読まれてなかった。

 なんだかんだ言って、これがトドメ。
 唯一ついていたブックマーク一つを励みに頑張ってたんですが、それが剥がされた瞬間に心が折れました。「誰も読んでない作品を、こんなに苦労して完成させる必要があるの?」と思ってから取り下げまでは早かったですね、

④並行して、他作品のリメイクを始めていた。

 この時、「冴えない俺と、ミライから来たあの娘」の改稿作業を並行して行ってました。
 こちらの改稿作業は比較的順調で、かなり完成度が高くなりそうだという自信もありました。これにより、モチベーションを完全に奪われてしまったんですね。

 とはいえやはり、この作品を仕上げられなかった未練は今でも残っています。もちろんのこと、八割がた完成している原稿も、ね。
 いつ、とは今はまだ言えそうにありません。でも、絶対にどうにかしなければならない、とも思っています。
 再び筆を取る日が来たならば、当時から不満だったタイトルは、変えなければならないでしょうね。

注2:さて、ここもあえて原文のままで転載しました。この作品は、のちに大幅な改稿をくわえ、二つの作品に分割するかたちで日の目をみます。
「進藤新」を主人公としたパートは、後半部分との親和性が弱かったので、独立させて中編「見つめる未来」としました。
「三嶋蓮」「霧島七瀬」の二人の部分を繋ぎ、後半のつまっていた部分を加筆して「嘘つきな私のニューゲーム」としてこちらも完成させました。
 なんというか、ここまでくると執念ですよね。
 自分でもよくやったと思います。 
 

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