見出し画像

優しさってなんだろう/ドラマ「作りたい女と食べたい女」を見て

曾祖母。ひいばあちゃん。
104歳まで生きました。
曾祖母は優しかったです。
遊びに行くと、花札などのカードゲーム、クイズ、昔語りなどをしてくれました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

祖母。
実はこの祖母が私に厳しかった。
一緒に住んだ事はありません。
ですが、父が長男と言うこともあるのか、私は内孫扱いされていたようです。
やって貰ったと言えば、ご飯作りのコツくらいな物でした。
直接褒めて貰えた事は記憶にありません。
他の孫には優しかったです。
他の孫は祖母に懐きます。
ですが私は祖母には近付きたくはありません。
学生の頃は拒否反応していました。
いわゆる反抗期ですね。
手を出すとか口ごたえする訳ではありませんが、とにかく関わらないようにしていました。
今思えば、もう少し柔らかい対応しておけば良かったと思いますが、もう遅い。
94歳でこの世を去りました。

祖母は曾祖母の子供です。
曾祖母の子供とは思えない程、曾祖母と祖母は違いました。
家同士が近く。しかも100m程度しか離れていない。
祖母の家に行く時は、曾祖母の家にも行きました。
なので余計に差が目に付き、戸惑いました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

曾祖母も祖母も存命の頃。
フリース素材のベストを贈った事があります。
曾祖母はその場で着てくれて「ありがとう」と言ってくれました。
私は喜びます。
祖母にも喜んでもらえるかな?
曾祖母とは色違いのベストを祖母に贈りました。
すると。
「年寄りは身体が硬い。これでは着にくい。もう少しゆったりとした物にしなさい」と言われ、更に「着ないからお前が持って帰って着なさい」と突き返されました。
私はショックでした。
そして「二度と服は贈らない」と思いました。
実際、それから服は買わなかったです。

ですが、その後、考えるようになりました。
プレゼントは相手が喜んで貰えると贈った方も嬉しいですし、使って貰えるともっと嬉しい。
服もですが、身に付ける物(アクセサリー等)や香りなどは好みがあると思い、私が選ぶ物は食べ物が多くなりました。
その食べ物も、どんな物が良いか分からず、結局毎日食べるであろうお米に落ち着きましたが、これではお歳暮やお中元である。
何とも味気ない贈り物になったと今でも思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

昨年の秋、夫の父(私から見たら義父)が亡くなり、葬儀のため夫の実家に行きました。
夫の母、義母。
物理的な距離があるためか(私は北海道、義母は東京)行き来がほとんどありません。
なので、とりあえず良好だと思います。
コロナ禍もあり、久々の夫の実家。
義母も随分歳を取り、あまり歩けなくなっていました。
義父の葬儀や手続き等もあり、1週間ほど滞在したのですが、いつまでもお客さんと言う訳にも行きませんから、少しではありますが家事も手伝いました。

ある日、お茶を飲もうとしたら。
私が贈ったであろうお茶のパックが大量に置いてある事に気付きました。
更に粉タイプのお茶も贈った事があるのですが、それに至ってはカビていました。
とてもショックでした。
余っているなら不要、と言ってくれたら良いのにと私の勝手ではありますが、そう思いました。
おそらく、嫁から貰った物を無下にも出来ないと思ったから取っておいたのでしょう。
分かる。
それも義母なりの優しさだったのでしょう。
ですが、大量にあるお茶パックとカビたお茶を見た時、やはり私は悲しかったです。
そして、ふと祖母を思い出しました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

祖母にとって私は「文句を言える孫」だったのではないか?
そして「相手を気遣いなさい」と言うメッセージだったのでは?
不器用な祖母。
ちゃんと説明しないと私には伝わりません💦
私は直接的に言ってくれないと気付かない鈍感な人間です。
人の機微に疎い(うとい)です。
祖母を思い出し、義母へのお歳暮は義母が好んで食べていた物を贈りました。
喜んでくれたら嬉しいな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

贈り物は難しい。
そして贈られた側も対応が難しい。
どうしたら喜ぶかな?
年齢にもよるでしょう。 
食べ物一つでも条件が違います。
万人に喜ばれる物はおそらく無いでしょう。
現金。
これも受け取る側の受け止め方次第でしょう。
義母からは現金が送られて来ます。
何を贈って良いのか分からない。
だから現金を送る。
そんな所でしょうか。
送り返すのは無粋なので、子供の小遣いに回しています。
物理的に遠いのもあり、孫への節目や行事に渡せないから現金を送るのだと推測しています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

優しさとはなんだろう。
黙って見届ける事がいい事もあります。
手を差し伸べているつもりが、受け止め方によっては余計なお世話になる場合もあります。
難しいですね。
相手を慮る(おもんぱかる)
結局、それに尽きるのかな?
どう受け止めるかは本当にその人のその時の気持ち次第、と言う事もあります。
平時では大丈夫でも、気持ちが滅入っている時には不快になる事もあるかも知れません。
また、必要な物も、状況や経年によって変わるのかも知れません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

結局、祖母が直接、私を褒めた場面は知らずにいます。
ですが、私が結婚した時、家を建てた時、子供を産んだ時は喜んでいた、と母から聞きました。
本当かどうかは直接見ていませんから分かりません。
ですが、私の節目には喜んでくれたのかな?
私は祖母に節目をプレゼントしたのかな?
今はそんな気持ちで、祖母を思っています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回、ふと「優しさってなんだろう」と思ったのは、先日、NHKで放送された「作りたい女と食べたい女」の第2話を見たからです。
生理痛で動けない野本ユキに、春日十々子が何が必要か聞きます。
女性同士ならではの会話であり、痛みや何も出来ないもどかしさ等が共感出来ました。
春日十々子は野本ユキのために生理用品と鉄分を含む食品を買って来ます。
普段、そんな物を貰っても困ります。
ですが、平時ではない時、とても有難いですし、何より気持ちが嬉しいですね。
更にいつもは食事を作る側の野本ユキ。
ですが、この日は春日十々子が野本ユキのリクエストに応え、焼きおにぎりを作ります。
2人で出来上がった焼きおにぎりを食べます。
その後、春日十々子は帰宅し、野本ユキは1人になりますが、「誰かに作って貰えるのもいいな」とひとりごちます。
必要な時に必要な物を。
相手の気持ちに寄り添い。
このドラマを見て、ふと祖母や義母を思い出しました。
この「作りたい女と食べたい女」は人気だったのか、第2シリーズが放送予定です。
どんな料理が出るのかも含めて楽しみです。


ここまで読んで下さりありがとうございます。


この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?