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小説

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記事一覧

私的まんじゅうこわい

 田舎から送られてきたのだがどうにも処理できないから、と会社の茶飲み仲間が大量の野菜を持…

椎橋 萌美
3年前
5

ねむるまで 春夏秋冬

浮遊 雲を纏う 上昇 とめどなく 下降 急激に 停止 突如 浮遊 列を成す 夢の形を握りしめ …

椎橋 萌美
3年前
2

赤提灯と北風

曇天空の冬の下、男二人が居酒屋へ。 駆け込み駆け込み千鳥足。 駅の前だが深々と、人は疎らな…

椎橋 萌美
4年前
3

ふつうの日

 納骨の日は、澄み渡るような秋空だった。お寺で法要を済ませ、お焼香の残り香を漂わせた私は…

椎橋 萌美
4年前
6

紫陽花の咲く頃に

 雨でけぶる六月の毎日に、きよらは一本の稲妻のように僕らのクラスにやってきた。  雨でじ…

椎橋 萌美
4年前
2

コミックシェルター

今日の卵焼きは塩辛かった。 弁当を彩るその黄色は紅葉の時に空からはらりと落ちる銀杏の葉の…

椎橋 萌美
4年前
3

老人と涙

こんな夢を見た。 そこは死んだ老人をなんらかの方法で、それは発展した医学だったり、魔法だったりで蘇らせる実験をしている現場だった。  老人は二人いて、一人は目を覚ますのと同時に、歓喜の声を上げた。またこの世界に蘇ることができたことに幸福を抱き、涙を流した。  その傍らで、もう一人の老人が目を覚ます。彼は実験室に並べられたベッドから身を起こすといきなり喚いた。  どうして蘇らせたりなんかしたんだ。とても楽しいなんて気分になれない。自分が死でしまったという事実があることには変わ