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【光の移ろい_1】 隈研吾 COEDA HOUSE

2023年4月14日木曜日、東京から日帰りで熱海まで行ってきました。

天気は晴れ予報で、青い海の絶景を想像していたのですが、
まさかの黄砂で視界不良…
自称「曇り女」、本領発揮しました(涙)
まあ今日のメインは夜ですから、気を取り直して楽しみましょう!


さてさて、今回どうしても見に行きたかったのは、
建築家の隈研吾さんが設計した、「COEDA HOUSE」です。

建築を語れるほど詳しくはないのですが、
初めて写真で見た時の衝撃たるや、、

土地と、海と、屋根の水平ラインの美しさ。
大地から木がそのまま生えてきたような生命を感じる力強さ。
ライトアップした木の輝き…

この衝撃を生で感じたく、いざ現地へ。
せっかくなので昼と夜の移り変わりも見たいと思い、朝から出動しました。


午前中にMOA美術館に行った後、
昼過ぎからCOEDA HOUSEのある、ACAO FORESTというフラワーガーデンへ。

山の傾斜面を利用してガーデンが作られていて、敷地がとても広いため、
登りはバスで頂上(ガーデンの出発点)まで連れていってくれます。
バスの運転手さん曰く、東京ドーム13個分とのこと!

植物・花好きとしてはこちらのガーデンもたまらなく興奮したので、
また別の記事に書いてみようかなと思います。


バスに乗って上まで登っていくと、ついにCOEDA HOUSEが見えました!

13:30頃

外から見ると、店内はまるで木陰のような心地よさを感じます。
これは人が集まるのも納得です。

最初に見た時は思ったより小さいと思いましたが、
じっくり眺めてみると、外と内の景色が完全につながっており、
周囲の自然と建物が混ざり合った広大さも感じられました。

ガラス越しとは思えない店内からの眺め

入店してみると、照明は点灯していましたが、
この時間帯は自然光がガラスを通して空間を満たし、
視界を遮るものは何もなく、公園の木の下でドリンクを飲んでいるような気分。
店内なのに外にいるような、気持ちの良い感覚でした。

近代建築とは、境界を自由にコントロールできる建築のことであり、
境界をコントロールするということは、人と人、人と物、人と自然の関係を繊細にコントロールし、調整することのできる建築である。          

隈研吾『境界ー世界を変える日本の空間操作術ー』p.6

「軒」や「縁側」のように、外とも内とも言えない曖昧な境界がそこにはあり、隈研吾さんの思想がシンプルに体現されていました。

店内天井裏

間近でみると、重なり合った木々はとても迫力があり、
自分がジェンガの中に埋もれているようなドキドキ感がありました。

この紐はなんだろう…?と思っていましたが、
中心から外側に大きく張り出した構造体(キャンチレバー)を支えるための、カーボン・ファイバーみたいです。
ゆるーく垂れ下がっているように見えたので、これが構造を支えていたなんて
にわかに信じられません。建築詳しい方にぜひ教えていただきたいです。

照明は至ってシンプル。
傾斜天井にグレアレスダウンライトが仕込まれているのみ。
夜が楽しみであります!

日没時刻が18:15。
早く出動しすぎたため15:30頃からだいぶ時間を持て余しましたが、
園内のレストランでハーブティーを嗜み、ピザを食べて、
海をぼーっと眺めてたらちょうど良い時間に。

17:45、意を決して再入園。登りのバスは1人だけ…
バスの運転手さんは変わらずガイドをしてくれて心温まります。

日没間際のCOEDA HOUSE。
徐々に照明の灯りが感じられるようになってきました。

18:00頃

そして日没… ついにその時がやってきました!

空が徐々に青暗くなり、森は真っ暗な闇に包まれています。
そしてCOEDA HOUSEは、大樹の中心から命がみなぎるように黄金に輝いていました。

18:30頃

自分の目で見た時は曇っていたこともあり、ここまでの青さはなかったのですが、
カメラのレンズが敏感に光を感じ取ってくれたおかげで、
青とオレンジの美しいコントラストを見ることができました。

間隔を開けながら、細い木が何層にも積み上げられているので、
内側からの光が程よく外に漏れて豊かな陰影が作られています。
おそらく2700K(電球色)の光が使用されていて、温かみのある木とは相性がよく、
それでいて光源が見えないので、暖炉が燃えているような心地よい空気感を生み出しています。

昼間は屋根に覆われた内部は影になっていましたが、
夜になるにつれ、屋根は空を反射して背景に溶け込み、
建物を支える木の骨組みが夜の森に存在感を放っていました。
昼と夜でこんなに表情が変わるなんて、光があるからこそですよね。

18:50頃

左奥に見えるのは、市川平さんの「バオバブプランテーション」という作品です。青・オレンジ・黄・緑、森の黒が見事な調和で、この時間にしか見られない奇跡的な瞬間を納めることができました。

木は、伐採した後も呼吸をする生き物だと考えていますが、
本当に血が通っているような輝きで、こんなにもエネルギーが宿った建物は初めて見ました。
それもこれも、建築・自然・光が一体となったからこそ。

心に残る夜散歩となりました。


拙い文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
まだまだ知らない光の魅力を、これからたくさん深掘りしていきたいと思っています!


#光 #陰影 #建築 #隈研吾 #光散歩 #熱海

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