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うつは治るの?

うつとの共存

うつになってしまうと、不安なことはたくさんある。
中でも
「自分は治るだろうか?」という不安を抱える人は多い。

うつには精神的な症状をメインに
身体的不調もあるし、経済的不安もある。
そして、よくなるかどうかは大きな不安で
精神的にもこれには滅入る。

結論から言うと、
「完治はない」というのが大概の意見だと感じる。

大うつになって以来、9年ほどお付き合いしているが
「完治した」という方は聞いたことがない。

一度、うつになると一生付き合っていくものなのだ。
中には20年物のうつという人もいるし、再発する人も多い。

うつがよくなることを「寛解」という。
「完治」という言葉は心理学的にもない。

抗うつ薬がばっちり合って、
薬だけでよくなれる人はごくわずか。
私の知ってる範囲では、うつ仲間に一人だけいる。
放心状態で退院して、2年経って会ってみたら
営業職の役職に返り咲き、全国を飛び回り、
とても一緒に入院していた時と
同じ人だとは思えないくらいの寛解を果たしている。

それ以外の人ほとんどは、
日常生活を送れているが、投薬は続けていたり
(毎日とか、調子が悪い時だけとか)、
うつと付き合いながら生活している。
寛解しつつある、といった感じ。

「ストレスを避ける」
これは病気のおかげで
何が自分にとってストレスか学習した証。
「調子が悪くなりそうなときは、早めに回避」
これも、病気の時に調子が悪くなってみて、
その入り口を学習したからこそ。

そんなこんなしながらではあるが、
周囲に精神疾患とわからない程度には、
多くの人がなれる。

うつはよくなるの?

よくなる兆候は人それぞれ。
共通する点があるとすれば、
「元に戻ることを諦めること」。

自分からそうするか、自然とそうなるか
道は2つあります。

残酷な言い方かもしれないけど
そこからしか始まらないのが事実なのです。

むしろ、うつの悩みの中で見えてきたもの
自分が一番大切にしたいこと・人
自分を大切に扱ってくれる人
自分が本当にしたいこと・したくないこと
自分が大事だと思える感覚。

そして、もっとも大事なのは
「自分に素直な、ありのままの自分でいい」
心から思えること。
これが「元に戻る」と正反対であることは明白。

元に戻るということは、
うつになる前の状態を指しており、
そこには、うつになるスパイラルが歴然とある。

だから、元に戻るのではなくて
まずは病気になった「事実」を認め、
その事実に対してどう向き合うかを考えていく。

ただ、
向き合って、冷静に考えられる状態になるまで
非常に個人差がある。

よくなっていく過程

向き合えるようになると
自分を包み込んでいた石膏のようなものが
ホロホロと崩れていく感覚になる。

そして、
視界が開けてくる。
思考が変わる。
自分が変わってくる。

気がつくと
「病気になったのは悔しいけど、
あの状態(親からのあの育てられ方)の私では
避けようのないものだったんだ」
と、うつとなった原因への恨みは減っている。

気がつくと
できなかったことができるようになる。
・朝起きる
・ご飯を食べる
・部屋から出る
・散歩をする
・TVを見る
・お風呂に入る(毎日でないにしても)
・本が読める
・音楽を聴くのが楽しい
・友人と会ってみようかなと思える
・辛かった仕事のことは「思い出」になり、痛みはない。
・趣味がまた楽しく取り組める
・etc…

自発的に取り組み、
できるようになったということもあるけど、
そんな気力がない時も多い。

だから、私は
「できるようになったことを探してみて」
とtweetしている。

そして、気がつくと
「元に戻りたい」とか思わなくなっている。

よくなっている実感

自然とできるようになることに気がつくと
初めて「ああ、自分変われたな」と安心して、
自信がもてるようになる。

石膏の剥がれ方がスピードアップする。

自信がもてるようになると、精神的に安定して、
また、いつの間にかできることが増えていく。

その繰り返しの中で、
病気になった自分を受容することができている自分に
ふと気づく。

鶏が先か、卵が先か

自分から変貌することにチャレンジする人もいるし、
時間の流れの中で変化を手に入れる人もいる。
今までいろんな見てきて、実感としては半々くらい。

チャレンジすることはいいことだけど、
それが自分の首を絞めることになる人には
じれったいかもだけど、後者をおすすめしたい。

「今は苦しくて、何もできない」だとしても
とにかく、今日から明日へと命をつないでほしい。
明日かもしれないし、
半年後、いやもっと先かもしれないけど、
いつか、今より楽になる時がくる。

それだけを信じて日々を生き続けてほしい。

よくなると信じて耐えてみる、
よくなる自信はなかったけど、耐えてみたらよくなった。
この2つしかよくなるアプローチはありません。

本当に「鶏が先か、卵が先か」のような
返答しかできないけど、
個人的な経験やうつ仲間や入院仲間、うつの知人を
見てきて感じたことをそのまま記しました。

おわりに

うつは治りません。一生の望まざる伴侶です。
ですが、付き合い方や距離を調整することはできます。

そのために、
敵のペースに飲み込まれないことが大事です。

どうせ一緒に暮らしていくなら、
飼いならしてしまいましょう。

今日は飼いならすまでの道のりについて触れました。

うつで苦しむ方にとって、
少しでも希望になったら幸いです。


ご相談はカウンセリングサイトへ。
https://risunohokenshistu.moe/

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