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わかろうとすること、わかってもらおうとすること

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 横臥している。外は夏だ。僕は夏が好きだけれど、夏に旅行に行くのが一番好きだ。
 ただ、いまは旅行に行くのも難しいので、夏の楽しさが半減してしまいそうな気がする。

 さて、上記の文章に対して、皆さんはどんな風に思っただろうか。
 共感を覚えてくれた方がいるかはわからないが、「ふーん、そうなんだ」とか、「へぇ、自分は夏は苦手だな」とか、そういった感想を持った人はいそうである。

 ここでもう、タイトルと繋がってしまった人は、以下を読む必要はないかもしれない。おそらく、自分で問いを立てて、取り組むことができるだろうからだ。
 なので、ひとまずこの段落まで読んだら、その次を読み進める前に、自分で考えてみるのをおすすめする。

 さて、ここからは僕の考えだけれども、「わかろうとすること」と「わかってもらおうとすること」は基本的にセットメニューである。
 この世には「夏が好き」という人がいて、「夏は苦手」という人がいる。「夏が好き」と言う人に対して「夏は暑いからクソ! 冬が最高!」と言うのはちょっとどうかな……と思うわけである。
 それよりは、「自分は夏は苦手なんだけど、どこが好きなの?」とか、「そっかぁ、自分は冬が好きなんだけどさ、ちょっと冬のよさについてプレゼンさせてよ」みたいなのが好ましいと思う。
 セットメニューと言ったのは、「夏のいいとこ教えてよ」と「冬も素敵なとこがあるんだよ」が揃うと、「相手の意見や好み、立場を尊重したうえで自分のそれも表明できる」という形になるからである。

 もうだいたいの人が気づいただろうけれども、この文章のテーマはコミュニケーションとか多様性で、バランス感覚で無用な断絶を回避できるかもしれないことを書いた。
 とはいえ、実際に人生のすべての局面でこれをやるのは相当に難しい。誰しも絶対に譲れないものや、認めてしまったら自己肯定感を喪失する「事実」などを持っているからだ。
 運用面でもバランスが必要というわけで、うまいことやっていくのはとても難しいことですねと書きながら思った次第である。

(これより下に文章はありません)

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