本日のＢＧＭ

いつもの電車に乗って帰宅していた。

仕事が終わって頭真っ白なまま、ボーっと電車にのっていた。

気がついたら斜め後ろにアラブの民族衣装をまとった豊かなひげの男性が立っていた。

私はそっと左につめて、彼は私の横のつり革を掴んだ。

彼が動いたとき、その足元には向かいのおじさんのカバンから伸びた肩紐が絡んでいた。

彼は足でそれをよけた。

ちょっと嫌な気持ちになってそれを見ていたとき、ふと思っていた。

「この人がイスラム国のひとで、今身体に爆弾を持っていたら私は死ぬ」

なんてくだらない発想なんだ、と笑われてしまうかもしれない。

でも、わたしにとってはとても切実に感じられた。

人生ではじめて

「今ここで死ぬかもしれない」

ことについて必死に考えた。

①周りの人に感謝する

②こんなことになるならもっと好きに生きればよかった

③ただアラブの民族衣装を纏っている男性がいるだけなのに、自爆テロを連想してしまうなんてひどい人間だ

④となりの車両なら少しは助かるかしら

⑤彼もいい迷惑に違いない

⑥でも彼が自爆テロを起こさないなんて言い切れるはずがない

なんてことをぐるぐる考えていた。

結局彼は私と同じ駅で降りた。

すぐに見失ってしまった。

格好悪い自分と、切実な問題に気づいてしまった。

いつ死んでもおかしくないんだから、好きなことをしなくちゃ。