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漢文語彙:イミ:解答

人物に関する語

◆一人称:私
寡人★:かじん:諸侯の謙称→「徳のすくない人」の意
★:しん:臣下男子の謙称
:しょう女性の謙称→ 和漢異義:日本→ めかけ

◆二人称
:けい:あなた→ 上の者が下の者を呼ぶ敬称
★:こう:あなた→ 上の者又は同僚に対する敬称
★:し:①あなた・②先生
夫子★:ふうし:①あなた・②先生
足下:そっか:人に対する敬称

◆同等・目下への呼びかけ
汝・爾・若・女・乃・而★:なんじ
吾子★:ごし:おまえ→ 友・年少者を親しんで呼ぶ
小子:しょうし:お前たち→ 門人・年少者への呼びかけ
ニ三子★:にさんし:お前たち→ 門人・年少者への呼びかけ

◆身分を表す語
天帝:てんてい: 宇宙を支配する神。
天子:てんし:天下全体の君主。天帝の子の意。中国の皇帝。
王・上・諸侯・卿・大夫・士★→ 周では、王・上(しょう)を最高位として、王から領地を与えられた家臣が諸侯(日本の江戸時代の大名に相当)、諸侯から領地を与えられた家臣が大夫(たいふ)、その中で大臣になったのを(けい)という。は彼らに仕える役人。 士大夫という呼び方で読書人・知識階 級を指すこともある
宰相・相・丞相★:君主を補佐する高官→ 日本で言えば総理大臣に相当:相は「相(たす)ク」と読まれる。
★:宰相に次ぐ高官
左右★:側近
官・吏★:役人
進士★:しんし:科挙の合格者

◆民衆を表す語
庶人:しょじん:庶民
匹夫★:ひっぷ:庶民・凡夫
百姓★:ひゃくせい:庶民・民衆→ 農民(ひゃくしょう)ではない。
布衣★:ふい:庶民→ 布衣之交★:庶民の交わり→ 庶民の衣服が布製であることから。

◆徳の有無を表す語
君子・聖人・大人(だいじん):有徳の人物
小人★:しょうじん:徳の少ない取るに足らない人物

◆名前に関する語
名:本名→ 一般には本名で呼ばない
★:あざな→ 男子成人、女子婚約時に付ける。これが一般的な呼び名。
:いみな→ 死後における生前の「名」
:おくりな→死後、生前の業績によって贈られる名
:ごう:雅号・ペンネーム

◆その他人物に関係する語
佳人:かじん:美人・賢者
★:かく:①居候(★食客)・②旅人★(孤客・異客)・③道に秀でた人(剣客)→ 和漢異義:日本:訪問者・商売相手
学者:学問に志す人→ 和漢異義:日本:研究者
傾城・傾国★=絶世の美女→ 美女は「国を傾ける」の意から
居士:こじ:高徳ながら官職にない人
故人★:こじん:古くからの友人→ 和漢異義:日本:亡くなった人
丈夫・大丈夫★:一人前の成人男子→ 和漢異義:日本:健康・頑丈・無憂
伯楽★:はくらく:馬・人材の善し悪しを見抜く力を持つ人
不肖★:ふしょう:愚か者→ 父祖に肖(に)ない愚かな者の意
遊子★:ゆうし:旅人
:ぎょう・:しゅん・:う→ 儒家における古第伝説の聖君
:けつ・:ちゅう→ 桀は夏、紂は殷を滅亡に導いた愚君
・友:とも:=同門・=同志
孺子★:じゅし幼児・子ども
★:き:死者。死者の魂
兄弟:けいてい:兄弟。また、広く他人を親しんで呼ぶ語
鴻鵠:こうこく:おおとり。大人物や英雄のたとえ:
燕雀:えんじゃく:小人物
壮子:そうし:気力のさかんな男。
弟子:ていし:年少者。父兄に対して言う。門弟。
為人★:ひとトなリ:人柄・性質

思想に関する語

★:思いやり
★:正しさ
★:きまり・作法
★:正邪を判断する知力
★:まごころ
★:言行一致・偽りのない言葉
五常:仁義礼智信
八徳:仁義礼智忠信孝悌
中庸★:ちゅうよう:偏らない中正な在り方
四書:論語・大学・中庸・孟子→ 儒教の必読書(朱熹が定める)
五経:易経・詩経・書経・礼記(らいき)・春秋→ 儒教教典
忠恕★:ちゅうじょ:真心と思いやり
無為自然★:人為を離れ自然のままに生きること
:みち:儒家=人としての道
★:たお:道家=天地万物の本源
兼愛:無差別平等な博愛

政治に関する語

禅譲★:ぜんじょう:天子が位を徳の高い人物に譲ること
放伐:ほうばつ:武力によって王位を奪い取ること
徳知★:為政者の徳によって治めること
王道★:仁義道徳により治めること
覇道★:力によって治めること
科挙★:官吏登用試験
左遷★:官位を下げること ※左が低い
宦官★:かんがん:宮中事務に当たる去勢された男子。権勢掌握ケース有。
夷狄★:いてき:周辺異民族の蔑称。東夷・南蛮・西戎・北狄の略称。
苛政:かせい:酷い政治
★:いさム:目上の人の誤りを正す:諫言
遊説★:ゆうぜい:自説の政策を諸侯に説いて回ること
:しいス:殺す→ 目下の者が目上の者(主君・親)を殺すこと
★:ちゅうス:とがめる。罪をせめて殺す。→誅殺
★:じょス:新しい官職に就ける。
★:ほス・ほセラレ:官職に任命する・される。
★:ほうズ:領地を与えて諸侯とする→封侯

社会・世界・生活に関する語

海内:かいだい:天下
四海:しかい:天下
家書:かしょ:家族からの手紙
干戈:かんか:戦争:干たて・戈ほこ
社稷★:しゃしょく:国家
人間★:じんかん:人の世・俗世間
天命:天から与えられた使命
名利★:めいり:名誉と利益
富貴★:ふうき:富と地位
逆旅:げきりょ:やどや・旅館
乾坤★:けんこん:天(乾)地(坤)
恒産★:こうさん:一定の職業・収入
恒心★:こうしん:一定不変の道徳心
叩頭:こうとう:頭を地にすりつけてお辞儀をする
人口に膾炙す★:じんこうニ かいしゃス:広く人々の口にのぼりもてはやされること:膾=なます(生肉)・炙:あぶり肉
莞爾トシテ★:かんじトシテ:にっこり笑う様
:いたル:ゆきつく・学芸が深みに達する:造詣

地理・場所に関する語

:こう:長江・河川の総称
:か:黄河・河川の総称
:すい:河川
★:じょう:城壁・都市
★:ゆう:むら・みやこ・むら

時間・暦に関する語

一日★:いちじつ:ある日・一日中
重陽:ちょうよう:九月九日の節句
期年:きねん:丸一年
光陰:時間
千載★:せんざい:千年・長い年月
須臾★:しゅゆ:わずかな時間→しゅゆニシテ:しばらくして。
百代:ひゃくだい:永遠
三五夜:さんごや:十五夜
食頃:しょくけい:わずかな時間
:あした:あさ →翌日ではない。
頃・姑・暫:しばらク:しばらく・まもなく・わずかの時間
乍・忽:たちまチ

年齢に関する語

伯仲叔季:兄弟の序列
志学★:十五歳
而立★:じりつ:三十歳
不惑★:四十歳
知命★:五十歳
耳順★:じじゅん・六十歳
従心★:じゅうしん・七十歳
弱冠★:じゃっかん:二十歳
還暦★:六十歳
古稀★:こき・七十歳

★同訓異字

■すなはち
則・即・便・輒・乃・曽→ 大まかに言えば「則・即・便・輒」は単純接続、「乃・曽」は屈折感のある接続とまず括ってみると理解がしやすいかもしれない。その上で「則・即乃・輒」のニュアンスを明確に押さえたい。


①「A 則チB・Aハ即チB:そこで・~は」くらいのスムーズな接続をする場合と、②「AスレバB:~ならば・そのときには」のように仮定・確定の条件節を表している場合がある。
①の場合にはそれほどの注意は必要としないが、②の場合は「 レバ 則」と呼ばれ、白文で読む場合に「未然形・已然形+バ」の送り仮名を求められるケースが多い。(ただ漢文では「ば」への接続は未然形・已然形の区別が厳密ではなく仮定条件の場合でも未然形であったり已然形であったりする)
・便★・輒★
」は「ぴったりつく」、「便」は「差し障りがない」意から両字とも、時間的な近接「すぐに・そのまま」、論理的な近接「つまり」などのスムーズな接続を表す。古文であれば「やがて」、英語であれば「just」と意味が近いか。「」は動作の近接を表す字であるらしい。「そのたびごとに」という意味と「すぐに」という
★・
」は「そこで・そして」などと意味を取ればいいケースも多いが、便・即・則がストレートな接続であるのに対し、時間的心理的屈折がある場合に用いられ、このケースでは「やっと・なんと意外にも」などと意味を取りたい。「」も 出てくる頻度は少ないと思うが、「なんと・意外にも」のニュアンスで用いられる。屈折接続という点では「」と関連して覚えたい。

★同字異訓・異義語

いわゆる多義語である。多義語としてあげたい漢字は無限にある。例えばということでいくつか採り上げてみるが、本文に用いられている漢字がその漢字のどの意味で用いられているのか熟語で考える・・そういう漢字に対する興味を普段から持っていることはとても大事だと思う。


①楽しむ:遊覧・遊山・遊戯
②ぶらぶら歩く:遊歩
③あちこちを巡る:★遊説
④★故郷を離れ他郷に行く:遊子★(旅人)・遊学
⑤ぶらぶらする:遊民
⑥交わる:交遊


①いたス:招く・引き寄せる:招致
②【名詞】趣:風致


①いフ・となフ:呼ぶ:呼称・敬称
②かなフ:つりあう:対称
③しょうス★:ほめる:称賛称揚


①ひとつ・いち:一村:一つの村
②ある★:一村:ある村
③全部★:一村:村中
④いつニ:いったん・ひとたび・ひとえに・まことに
→ 上の例のように文脈によってニュアンスが変わる。特に、★② one(一夕:one evening)と★③ all (一掃・一切)の意味に注意が必要。


①まツ:招待・待機
②たいス★:もてなす:待遇・歓待


①あげる:挙手
②褒める・登用する:推挙
③あゲテ★:こぞって・みな→挙国


①述べる★:陳述・陳情・陳謝
②並べる★:陳列
③古い:★新陳代謝・陳腐


①負ける:勝負
②背負う★:負債・負担
③受ける:負傷
③頼む・頼る★:自負・抱負

◆その他、ちょっと気になるが採り上げきれない漢字をメモしておく。
★:いささカ:ちょっと・ひとまず
★:すこぶル:すこし・かなり
:すべテ:すべて・すっかり
★:たまたま:ちょうどその時
差・稍・良・少:やや:多少
:あ:~に次ぐ:亜鉛・亜熱帯

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