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【シンエヴァ考察第2部】もう1度観に行って欲しいから過去の答え合わせをしよう

第1部ではアスカの入れ替わり説を検証すると同時に式波オリジナルが何者なのか、新2号機と13号機の戦いで何が起こっていたのかといったところからマイナス宇宙、ゴルゴダオブジェクト、ネブカドネザルの鍵についても説明してきました。
第2部ではテレビアニメ版と旧劇場版の世界と新劇場版の世界のつながりや仕組みについて書いていきますよ!実質これが過去の考察の【答え合わせ編】かもしれません。
一応第1部や過去の考察1〜4章を読んでいなくてもこの記事単体で読めるように1部での内容が出てきそうな所では軽く解説もしますのでご安心を。

【第1部】は物語前半の解説から式波シリーズを読み解きながらマイナス宇宙やゴルゴダオブジェクトにも言及
【第2部】は旧作の世界と新劇場版の世界のつながりを考えながらエヴァイマジナリー・黒き月・アダムス・槍と言ったハードの部分を解き明かすパート。
【第3部】は生命の書から分かる円環の構造やキャラクター心理の掘り下げ、エヴァのなくなった世界について
といった進行でシンエヴァの謎をできるだけ全網羅して解説&考察していきます。
どの順番で読んでもお楽しみいただけるよう書いたつもりではございますのでお好きな記事から読んでくださいね。

そして何度でも言いますよ!
今までの記事をご自身のnoteでご紹介してくださった各位、Twitterおよび各SNSにて紹介してくださった皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございます!
ここでも先に謝っておきますと、第2部ではかなりぶっ飛んだ理論が展開されてしまいます。そして長いです。ですが私が思考した記録が皆様の思考の一部分でも手助けになれるのなら光栄に思います。

では始めましょう。

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まずはインパクトの呼び方を設定しておく

ミサトは南極へ向かう時に「フォースインパクトの不可逆的な阻止」と言っていました。あれ?フォースインパクトってQで起こらなかったっけ?と一瞬思うかもしれませんが、破のラストに起こったニアサードインパクトと同じく、Qのフォースもガフの扉を開けただけのごく初期段階で中断されたため「ニアフォースインパクト」という扱いになっているのでしょう。
よってファイナルインパクト=フォースインパクトと捉えて良いと思います。
とりあえずまずはまとめておきましょうね。

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以降はQで起こった方を「ニアフォース」、シンエヴァで起こった方を「フォース」として説明していきますね。

インフィニティって何?

ゼーレはどうしてインパクトをやり直したいのか?
今作ではサードインパクトが進んでしまった結果、大半の人類はエヴァインフィニティというものになってしまっています。(ケンスケは「首無しエヴァ」と呼んでいましたね)
人類を補完してあげたいなら前回と同じくLCLにしてしまえばいいじゃないか。なのにどうして個別のインフィニティなんかにしているの?という話ですよね。
これは言い換えるとどうして前回と同じ方法を使わずに別の方法を使ったの?ってことなんですが、
別の方法を使うのはだいたいの場合、最初のやり方では上手くいかなかった経験があるからです。前回の結果に不満があるから手順を変えてやり直そうとしている。ゼーレは旧作の終わり方に満足していなかったんです。
その不満とは?という部分がカギです。

旧作でキール・ローレンツは自身もLCL化され目的を達成したかのように見えますよね。キールの意識は一旦ここで途切れますがこの後とんでもないことが起こります。
シンジ君が他人のいる世界を望み、LCL化を拒絶してしまいました。それにより人類は望めばLCLから復帰できるようになっています。(とはいえシンジ君は一度自力でLCLから元に戻っているので人類は元から復元能力を持っているのです。シンジ君の願いによってそれが“やりやすくなった”と言った方がいいかもしれません)
なのでゼーレからすると人類を一つにしてあげたのに結局元に戻れるようになってしまうと苦労して成し遂げたことが全てパーになります。
キール「ふ〜。起こすの大変だったけど無事にサードインパクトも始めれたしやっとみんなLCLになったぞ安心〜!………え?!碇の息子が元に戻れるようにしちゃった?!ウソでしょ〜〜〜〜!?急いでいたとはいえ、あんな奴をトリガーにするんじゃなかった!!その根本原因は全て碇ユイとゲンドウじゃないか!」
そして2回目の世界が始まる
キール「あぁっ!やっぱりみんな人の姿に戻ってしまった!面倒だがリベンジするしかない!!次こそLCL化完遂するぞ!!」
…と意気込むもしかし毎回ユイの神化を阻止できずシンジ君にLCLからの復帰を願われるため中々念願叶わない…という経験を何度も繰り返してしまいました。
これがいわゆる「円環」なのですが、ゼーレは自分達の納得いくまで徹底的にやり直すことを決めたのでそのための準備はしていました。その準備内容については後ほど解説します。

キール「はぁ〜〜やり方も変えたりして何度も頑張ってるのにどうして成功しない?」
ゼーレはLCL化がうまくいかないことを悩んでいました。いいかげんやり直し回数が多くてウンザリしています。
まず、どうして自分たちがLCL化をしようとしているのか、その本来の目的はなんだったか?を振り返って考えてみることにしました。

人には個性という違いがあり、心がそれぞれ違うことを考えるから悩み、個体にそれぞれの差があるから平等ではない。だから争いが生まれるんだ。それが愚かで不完全な人類の“原罪”。
心は邪魔なもの。個性は必要の無いもの。だからいらない。心も体も全部一つにしてしまえばもう悩むことは無い。その最適解が人類総LCL化だと思っていた。

キール「……分かった!LCL化に固執してしまうから良くないんだ!!」
そう、根本の目的に立ち返ってみるとLCL化がしたいのではなく「人から心と個性を無くす」ことが本当の目的だったことを思い出しました。
LCLとは、肉体が液体という集合体になって溶け合っているだけで、実はそれぞれの心は混ざり合っていつつも残っています。それ故に元に戻れてしまうのです。そこが問題だと気づいた。
そうしたらLCLではない物質にした上で個体に分けてしまおう!と対処法を思いつきました。
キール「人類を1体1体エヴァのコアにしてしまおう!あのユイですら初号機の中から出てこれないんだから人類程度が自力で出てこれるわけがない!これなら液体じゃないし復元できないだろフハハ!」
これが新劇場版のやり方、人類総インフィニティ化計画です。

ゲンドウがミサトとリツコに小難しいお話をしていましたが、あれは
「人は弱っちい生き物なので使徒に滅ぼされてしまうか、使徒を滅ぼして一体化し強い体を手に入れるしか人が生きる術はないですよ。ゼーレは使徒と一体化してインフィニティという究極の生命体に人類を進化させることを選びました」と言っているだけです。

フォースインパクトとアディショナルインパクト

ファイナルインパクトはフォースインパクトとアディショナルインパクトの2つを合わせたフィジカルとメンタル両方の補完で、ゼーレが目的としていた方はフォースインパクトまでです。
そしてゲンドウの目的はアディショナルインパクト。アディショナルとは英語で付加や補足という意味です。
つまりゲンドウはゼーレの計画に自分の計画を上乗せしたかったので2つの別々のインパクトを同時に起こしています。フォースインパクトを起こしてガフの扉を開けなければゴルゴダオブジェクトに行くことはできませんね。アディショナルインパクトはゴルゴダオブジェクトに行かなければ起こせないのでまずは普通のインパクトを始めなければならないのです。
マリが「ゲンドウ君は自分が補完の中心となることで願いを叶えようとしている。」と言っていましたが、旧作サードインパクトのトリガーが初号機でシンジ君だったためシンジ君の願った世界が作られたように、インパクト(補完)とは中心(トリガー)となった者の願いで世界が書き換えられるシステムとなっています。
なのでゲンドウが自分の願いを叶えるためには自分(13号機)がフォースインパクトとアディショナルインパクトのトリガーとなることが最重要だったのです。

フォースインパクトは“フィジカル(身体)“の補完
サードインパクトで人の体をインフィニティというエヴァ化させることで永遠に生きられる生命体にしておく。そこにフォースインパクトでコモディティ化させた人類の魂を入れ込むことで人類を完璧な生命体として完成させる。
旧作ゼーレはLCL化がダメなら今度は人類から心を無くしてしまおうと考えました。心(魂)を物理的に消滅させるというのはできないのでみんな同じことを考える機械のようにしてしまえばいいのだと。コモディティ化というのはそういうことです。エヴァインフィニティ化した人類は個体に分かれていても個性がほとんどないのです。
ゼーレはここまで出来れば満足でした。だからQでは人類の大半がインフィニティ化していたのでおおむね目的達成で後はゲンドウに譲り渡してもいいや〜という感じで消えてしまいました。
この後ゲンドウがトリガー(補完の中心)になることはどうでもいいのか?というと、ゲンドウの目的も自分とユイ以外の邪魔者はみんなインフィニティ化しちまえ!という考えだったのでだいたい一致しておりさほど問題ではありませんでした。

アディショナルインパクトは“メンタル(心)“の補完
ゼーレは肉体は分けといた方がいいが、個性は無くす。心も不要だと考えました。
ゲンドウは心(個性)があってくれてもいいけど、個体に分かれている上に個性があったら今の人類となんら変わらないので全て共有された心である方が良いと考えていました。心だけLCL化してる感じですかね。(個性がなくなってしまうとユイの魂も誰だかわかんなくなっちゃうじゃん!ということです)
それによりインフィニティ化し身体に寿命はなく個に分かれていながら精神は全て共有されている世界になります。
私はこれによく似た生命体をどこかで見たことがあるような気がします。確か情報統合思念体とかイ●キュベーダーって名前の…
そう。つまりゲンドウの目的は人類総インキ●ベーダー化計画だったということです!そんなのってないよぉ!

神殺しについて

新劇場版から耳にするようになった「神殺し」というワードですが、過去の考察では

ヴィレの神殺し→ゲンドウとゼーレを殺す
ゲンドウの神殺し→ゼーレを殺す
ゼーレの神殺し→自分たちよりさらに高次元の神を殺したい

だと考えていましたが、

ヴィレの神殺し→神と同じ姿をした機体、第13号機を封印。ゲンドウとゼーレもいなくなってほしい
ゲンドウの神殺し→ 新劇場版ユイが1人で神化することを阻止
ゼーレの神殺し→新劇場版ユイの神化を阻止

こんな感じに修正です。

ゼーレが諦観していた神殺し
Qではゲンドウが「諦観された神殺しは私が引き継ぎますので」とゼーレに言っていますが、ゼーレは神を殺すことをほぼ諦めていたようです。
ゼーレにとっての殺したい神とは誰だったのか?それは前の世界で自分たちの人類LCL化計画を最後に邪魔した上に初号機と同化して1人だけ神化しやがった旧作ユイです。
ゼーレは旧作ユイ(初号機)を神の座から引きずり下ろし、次の世界でもユイがまた神となってしまうことを阻止しようとしていました。これがゼーレのやりたかった「神殺し」なのですが、どの世界でもユイは神になってしまうことを止められず諦観されていたんです。

ゲンドウにとっての神殺しとはどうすることだったのか?
ネブカドネザルの鍵で旧作&2〜n回目世界の情報すべてを手に入れたゲンドウは旧作で神となったユイと新劇ユイは別物だということには気付いているはずです。
ですがネブカドネザルの鍵を使う前、破の段階まではそんなこと知らなかったのです。自分も13号機というエヴァの中に入って、ただただ初号機の中にいるユイと会いたかっただけです。
とりあえずLCL化してレイにユイのとこへ連れてってもらえばいいやっていう旧作の甘い考えから今作ではレイには頼らず自分でエヴァの中入って会いにいくって考えに変更されている所には少しゲンドウにも進歩を感じますね。
進歩に比例するかのように周りの巻き込み方もえげつなくなっていますが。
ですが鍵を使い、人ではなくなったゲンドウは過去の世界でユイが神になり続けてきていたことを知ります。
ユイが神になってしまうと旧作と同じく宇宙に旅立ってしまう可能性があり、それは現在の世界においてゲンドウとユイの永遠の別れになってしまいます。過去生で永遠の別れを何度も経験していたことを知ったゲンドウには今度こそなんとしてでもユイの神化はやめさせたいことですよね。
つまりゲンドウが行いたかった神殺しとは「新劇ユイを旧作らのユイのように神にはさせない」ということなのです。

具体的にどうやってユイの神化を防ぐのか?というところですが、そもそもゲンドウはユイが神になることは別に嫌ではありません。自分の魂の場所とユイの魂の場所が異なってしまうのが嫌なのです。ユイが独りになってしまうことと自分も独りになってしまうのが嫌なので結果として魂の場所がユイと同じ所にあればゲンドウは満足です。
神になれようがなれまいが、自分の肉体の形がエヴァになっていようが形がなくなっていようがどうでもよく、ユイが神になることを望むのなら自分も神になって横に並べばいいしユイが魂ごと消えたいと望むのなら自分も一緒に消える。最終的にユイと自分が同じ状態になっていれば良い。
ゲンドウの神殺しは言い換えれば「ユイをひとりにはさせない」ことです。
“YOU ARE NOT ALONE.”
序の副題はゲンドウがユイに宛てたものでもあるんですね。

シンジ君の精神電車に乗るまで、ゲンドウは初号機の中にユイがいると考えていたため本来の目的は自分も神ユイと同じ存在、神ゲンドウとなることでした。
ですがシンジ君の中にユイがいたことを知り、ゲンドウはこの時にやっとユイの本当の願いを悟ります。
ユイの目的は「人が生きていける世界を作る。」それは息子であるシンジ君が幸せになれる世界でありますようにという願いです。その世界をシンジ君が望んだ時、巻き込まれてシンジ君自身が魂ごと消えてしまうかもしれない懸念を防ぎたかった。
ゲンドウはユイが何を願い初号機に消えたのか、それを考えずに今までひたすら自分のエゴだけで周りを巻き込んできたことに気づき、自分の考えを改め下車しインパクトの主導権をシンジ君へ譲ります。(ゲンドウの後に乗車してきたカヲル君が「君は何を望むんだい?」と聞いていることからも主導権がシンジ君に移譲されたことがわかります)
シンジ君の願いを叶えることがユイの願いを叶えること。その結果、ユイはいつもひとりぼっちになってしまうから今度こそユイに寄り添いたい。それがゲンドウの願い。
ゲンドウは神としてユイと共に世界に在り続けることではなく、消えそうなシンジ君の運命を肩代わりしたユイに付き添い共に消滅することを選んだ。ゲンドウもついに補完されます。

ユイの協力者とイスカリオテのマリア
旧作のユイは冬月にのみ、自分が初号機の中に残る理由を話していました。
ところが今作ではゲンドウの回想内でマリが冬月とユイを紹介していることから、この2人は最初からユイの協力者であることが分かります。
冬月とマリの共通点はゲンドウを見届ける・監視者(冬月)、シンジ君を見届ける者(マリ)そしてユイに好意を抱いた者ですね。(漫画版14巻か愛蔵版7巻の「夏色のエデン」はよかったら読んでみてください)
旧作では冬月にゲンドウの側へいてもらうことはできるがシンジ君側が手薄だったのでそこで協力を依頼したのがマリだったんでしょうね。
シンジ君が14歳になる頃にはマリは本来の身体年齢なら40歳を越えてしまいます。そうなると司令室から命令出すぐらいのことしかできないので見守るにはちょっと不向きですよね。だからマリは自身のクローンを作り、魂ごとそちらに入れ替えることでシンジ君達と同年代に生きることにしたのでしょう。エヴァに乗れた方が生命を脅かすような何かがあった時物理的に助けてあげられるからです。

マリがやっていること、正直友情だけでここまでできるでしょうか?自分の身をクローンにしてまで友達の子供を守ってあげたいと思いますか?マリには家族だっていて親から反対されたかもしれません。
夏色のエデンでマリがユイに抱いた気持ちは恋でした。新劇場版のマリは漫画版のマリとだいぶ性格が違うので「Like」だったのか「Love」だったのかは分かりかねますが「Like」だったとしても親友として大好きだと思うぐらいユイとは仲が良かったのでしょう。好きだからこそその人のためにしてあげたいと思うこともある。愛は言葉ではなく行動で示すもの。ならそれだけマリの気持ちが本気だったということですね。
マリは神なんじゃないかとかほんとは使徒なんじゃないかというのも見かけますが、私はマリはゲンドウと同じ、「ただの人」だと思っています。
ですが、彼女もまたゲンドウと同じということは大切な人ができると自分が狂ったっていいし人を捨てても構わないし周りの目なんて気にしない、愛によってものすごいパワーを発揮できる人だということです。
マリは物語をぶち壊す者でありながら、繰り返されていた世界のループ(線路のポイント)を切り替えた存在でもあります。確かに神のように見えるかもしれませんが、全ては新劇場版の世界でユイが自分を好きになってくれたマリに「自分がエヴァの中に消えても息子の面倒を見てやってほしい」と頼んだことから始まっています。
大きな運命の線路が切り替わるきっかけなんて、ほんとに些細な行動からなのだと思います。

シンジ君は初号機の中に乗っているとインパクトで願いを叶える時に一緒に消える可能性がある。
そうなるとシンジ君の願いは叶ってもそこにシンジ君がいないことになる。おそらくゲンドウも自分と消える道を選ぶだろう。だからユイはシンジ君を連れ帰ってもらえるようマリに託していた。ユイの保険ですね。
以前の考察ではマリはシンジ君を見届ける者であることからキリストを見届けたマグダラのマリアであろうと書いていますが、それは合っていたと思います。

そして来るべき使徒の襲来に向けてエヴァを造りネルフを立ち上げるユイの計画。それに並行して進められていた人類補完計画。それを進めていた中心メンバーは冬月ゼミ生+ゲンドウです。
マリはこのメンバーの中から1人だけヴィレという反ネルフ組織を立ち上げる。計画的裏切りの演技をすることが確定していたから裏切り者の代名詞イスカリオテのユダからとって、「イスカリオテのマリア」と呼ばれていたんでしょうね。

冬月のゼーレの思惑通りか、というセリフは
「ここまでは全てゼーレのシナリオ通りか。」
これは全ての人の行動、言動までがシナリオに記載されその通りに進んでいるという意味のセリフではないと思います。
サードインパクトが中断してしまったらフォースインパクトはこの手順でやろう。フォースインパクトで上手くいかなかったらフィフスインパクトはこの方法に切り替えてみよう…といった対処法が何個も想定されていたという意味でしょう。
冬月のセリフも「俺たちがゼーレとは違う、独自の方法だと思ってやってきたことも結局はゼーレが計画していたことと同じことをなぞっていただけか…」というニュアンスになりますね。

これ、お仕事で何かを作ることがある方には割とわかりやすい考え方だと思うのですが、
ゼーレは目的遂行(ゴール)のためにあらゆるルートを用意しておき、なおかつ完璧な成果物を求めず、80%ぐらいの出来でも満足できる。
ゲンドウはたったひとつのやり方にこだわる上に完璧主義で100%の成果物にしなければ満足できない。
どちらが良い悪いというのはありませんが、高アウトプットな上に失敗に対処しやすいのはどちらなのか、分かる人には分かると思います。

ゼーレが旧作で納得いっていないから何度も世界をやり直していること、必ず完遂させようとしっかりとパターン予測を行っていたことは分かりましたが、具体的にどうやってやり直したのか?やり直すために必要な道具をどうやって揃えたのか?といったところが気になりますね。
それを考えていくとなぜ旧作と今作でいろんな設定が異なるのかが分かってきます。

インパクトの効果は地球だけ?

インパクトの効果範囲は宇宙規模での書き換えかと思っていましたが、どうやら地球範囲なだけです。でもこれは宇宙という規模で見れば納得なことです。
本来なら1つの星に神が与えてくれる生命の種は1種(アダムかリリス)のみなんですが、地球だけは事故で2種の生命が届いてしまいます。そして1つの星で生き残れる生命体は1種のみなのでそれがのちに使徒(アダムベース)と人類(リリスベース)の生き残りをかけた戦いに発展します。
本来インパクトとは間違えて発展してしまった場合などに一旦生態系をリセットするための行為なので、本来1種の生命体のみで星が発展していればそう起こされるものではありません。
ですが、アダムとリリスの2種を合わせると神と等しきものとなれるという性質を利用して地球ではゼーレが何度も自分たちの納得のいくインパクトが起こせるまでやりなおしされてきました。
もしインパクトの効果が宇宙規模で波及してしまうのなら地球のせいで他の星に届いていたはずの生命の種も巻き添えをくらってしまいます。神様もやり直しのたびに新しく生物の種を送っていたらきりがないです。
ゼーレが「神様〜もっかいアダムとリリス送ってよ〜」と言っても、神様からしたら「本来1種類しか届かないはずなのに2種類も求めやがって、しかもすぐにリセットして使い捨てるなんて傲慢すぎ。」と相手にするわけがないのです。
なので地球で起こしたインパクトは地球だけが効果対象範囲です。
月は毎回インパクトのために利用されてしまうみたいですが、地球の衛星ですから仕方ないでしょう。月は巨大隕石が地球に落下した衝撃で宇宙空間に飛び出た地球の一部などが集まってできたものとの説もありますので、地球の子供みたいなものなんですよ。全てが完了し役目を終えたらまた元に戻るのでしょう。
きっと他の星からの視点で地球をみると、あそこの星だけやけにリセット回数多いな?といった感じに見えているんでしょうね…。

インパクトの効果対象範囲が地球だけ…となると一体何が分かるのか
先ほど神様はもう生命の種を送ってはくれないと書きましたが、それはつまりインパクトを起こしてアダムとリリスを使い捨ててしまったり、うっかり殺してしまったりしたらもう元には戻せませんからね。最初からあったものだけでうまいことやりくりしてくださいね。ってことになります。
つまりは「エヴァの物語は基本が不可逆」なのです。過ぎた時間も失われたものも元には戻せません。
故にインパクトに必要なマテリアルが1つでも欠ければ正規の方法では起こせなくなるし、代用できるものを探すか、そもそも物をあまり無駄に使わないようにするといった方法しか取れません。
しかしゼーレは初回の世界で起こしたインパクトにどうも納得がいかず、なんとかやり直して今度こそ成功させたい!と思ってしまいます。が、旧劇ではインパクトに必要なマテリアルをいくつか使い捨ててしまっています。
その反省から、旧劇で使ったマテリアルの中から使いまわせるものはそのまま使うし、失ってしまったものは別で代用できるものを探したり、無くなったら困るようなものは何個かコピーしストックしておくという方法を駆使して、ゼーレは何度でも自分達が納得行くまでインパクトを起こせるよう準備を整えていきます。

それぞれをどうやって揃えていったのか、それをこれから説明していきましょう。

エヴァイマジナリーについて

ゴルゴダオブジェクトを残していたのは旧作ゼーレであると第1部で説明しましたが、要はこの中に保管されているものは全てゼーレの所有物なわけですね。
アダムスは旧作の量産機。量産機を作ったのはゼーレでしたからゴルゴダオブジェクトに保管されていたのも納得ですよね。
そしてエヴァンゲリオンイマジナリーもこの中にあった。ということはこいつもゼーレの所有物なんです。なので旧作の中にこいつになりうる要素を持った存在がいたということです。
ゲンドウは「お前の母もここにいた」と言っていたのでエヴァイマジナリーは旧作初号機なのかなぁ?と一瞬思ったのですがしかし、シンジ君の目には黒いリリスに映っている。ゲンドウの目にはどう見えていたのでしょうか?
エヴァイマジナリーは巨大綾波の姿になって地獄の門(ガフの扉)を通りこちらの世界に現れましたね。それがゲンドウの目に見えていた姿なんです。ゲンドウの目に映っていた“虚構”が2本の槍によって現実へと具現化されたのですね。

普段はイマジナリーとして存在しているわけですから、人類がその存在を知覚するためには自分が持っている記憶の中から似たものが選出され投影される。
シンジ君は新劇場版の世界で観たものしかまだ投影できなかったのか、ミサトに連れられて見たリリスの記憶が使われていました。
しかしシンジ君は「これは…エヴァ?!」と言っているのでもしかしたら我々の目には黒いリリスに映してもらえてるのかもしれませんが、シンジ君にはもっと別のものに映っていたのかもしれませんよね。ゴルゴダオブジェクトに来た段階でシンジ君は過去の記憶も流入していると思われるので、アニメ第1話で見た装甲が無い初号機の素体的なものが見えていたのかも…なんて。
ゲンドウもネブカドネザルの鍵で過去の自分の記憶を手に入れてはいても、それ含めても自分が見た範囲のものしかエヴァイマジナリーに投影することはできません。
なのでゲンドウの記憶にあるものを投影した姿(巨大綾波)とシンジ君の記憶にあるものを投影した姿(リリス)、両方の要素を持つ旧作の存在がエヴァイマジナリーの正体です。
旧劇でゲンドウは、レイと同化し巨大綾波となったリリスは目視していますがドグマで息絶えたため神化した初号機を見ていません。よってエヴァイマジナリーは旧作初号機ではない。旧作の巨大綾波化したリリスが今作ではエヴァイマジナリーとなっているんです。

エヴァイマジナリーはなぜか首が千切れて腕も無いですね。旧劇ラストでは巨大綾波は首が千切れ、腕も(片腕だけですが)千切れ落ちていたため共通点はあるわけです。(顔真っ二つになってたけど)
おそらく旧劇のラストで物語が終わってしまった後、ゼーレによってその残骸も回収されゴルゴダオブジェクトへ保管されています。
旧作の巨大綾波は風船みたいと言いますか、中が空洞ですり抜けができてホログラムのような、実体があるようで無い存在だったからイマジナリー(虚構や架空の、という意味)なのではないでしょうか。
ついでに旧劇では巨大綾波化リリスの中にアダムも同化していたため、巨大カヲル君も一緒に回収できているのでしょう。

リリスはどこから来た?

しかし旧作リリスがエヴァイマジナリーになっているというのなら、新劇場版の世界には実体を持ったリリスは存在しないことになるはずですよね?でも序破ではドグマにいましたし、Qで爆散してしまいましたが確実に存在していました。
この新劇場版リリスは一体どこから来たのでしょう?

これはですね、新しいリリスがどこからともなくやってきたのではなく、旧作アダムが新劇でアダムスになっているのと同じように旧作の世界からリリスの代わりに使えそうなものを持ってきて再利用しリリスに見立てているんです。
旧作にあったものでリリスになりうるものを探してみると、1つしか考えられませんね。初号機です。
初号機はリリスのコピーが素体となっていました。旧劇のサードインパクトではゼーレによってリリスの代わりとして使われようともしましたね。そしてインパクトに参加した初号機は神と等しき存在になって宇宙に旅立ちます。
ところがどっこい。ゼーレにとってはそれすらも地球産の立派なマテリアルです。肉体を消耗させて実体を無くしてしまった本物のリリスに代わり、新しいリリスとして使える可能性があるため目をつけました。
なので捕まえて、一緒に漂っていた∞型の槍も一緒に回収し、“リリス”としてゴルゴダオブジェクトにアダムス達と一緒に保管していたんだと思います。
そして必要なタイミングがきたらドグマに移動させる。
新劇場版のドグマにいたリリス、あれは装甲を剥がした素体を使って再利用された旧作初号機なのです。
序でビル群のようなところから人型の発掘跡のようなものが見えているシーンがありましたが、あれはもしかしたら新しいリリスの発掘跡なのかもしれませんね。

ゲンドウは「私の妻、お前の母」つまりユイもゴルゴダオブジェクトにいたと言っています。ゲンドウの認識では新劇ユイは新劇初号機のコアにいるはずなのでゴルゴダオブジェクトにいるわけがない。そうなるとここにいたのはおそらく今までの世界で神化してきたであろうユイ、つまり旧作初号機。
「私の妻、お前の母もここに“いた“」と過去形で話したのはゲンドウがゴルゴダオブジェクトの存在を知った時にはもう旧作ユイは新劇場版世界のリリスとしてドグマへ移動し磔にされていたからなんですね。
なんで「ユイ」と言わないのだろうと思っていましたが、新劇ゲンドウが探し会いたがっているのは新劇ユイであって旧作ユイではないからでしょう。
旧作でユイは初号機と共に宇宙へ旅立ったから地球にユイの魂は無いはずなのにどうして新劇場版にもユイがいるのか?という疑問に関しても解決です。宇宙から連れ戻されて地球にまた放流されてしまったからです

黒き月が杯なのはどうして?

ゼーレが新しい世界でまたインパクトをやり直すためにはまず必要な道具を揃えておかなければならないわけですが、その中に「人類(リリスベース)の生命が還り新生を待つ場所」である「黒き月」も必須となっています。
ですが旧劇では黒き月、爆散しちゃってます…。でもこれも新劇場版の世界では復活してますよね?なぜか形状がゴブレット型になって…。
一旦見出しに戻りましょう。どうして今作の黒き月は旧作と形状が違うのでしょうか?
旧作ではサードインパクトが始まったと同時にドグマがせり上がってきて球状だということが分かりましたよね。それに比べ新劇場版の黒き月はめちゃくちゃ人工物って感じがします。
これって、旧作の黒き月は爆散したためもう存在せず新たに作り直す必要があったから人工物のような形になっているんじゃないでしょうか?

ゴブレットは日本語にすると「杯(はい)」が適切かと思いますが、旧作の黒き月は「胚(はい)」だったのだと考えます。
黒き月はリリスの子宮を表していて、人類が新しい生命体として生まれかわる(新生)ためには一旦黒き月(母体の子宮)へ還る必要があります。旧劇で人類の魂が黒き月に集まり綱々になっていく様はまるで受精卵の細胞分裂みたいでした。すなわち「胚」です。

今作の黒き月はどう見てもグラス形状なので「杯」ですね。
杯(ゴブレット)とは聖書だとキリストの血を受け止めたゴブレットがあります。
フォースインパクトが始まったことにより、人類の魂はコモディティ化してしまい紫色の粒のような、集合すると液体のようになっていましたが、本来はガフの扉から溢れ出てきたそれらを一旦受け止めて溜めるために黒き月はゴブレットの形をしていたのだろうと思っています。
しかし新しい黒き月は杯として液体となった人類の魂を受け止める機能はあるが、胚としての機能は持っていない。持てなかったのだと推測します。丸くないですし。
けれどインパクトを起こし人類の魂を浄化してLCLにしてあげるには一旦1つの場所(主に子宮となる場所)へ集めてあげなければならないので最初に「胚」としての工程は経る必要があります。なのでその役割は本物の月を胚として見立てることにしたのではないでしょうか。丸いですし。
もしかしたら反対なのかもしれませんね。人工物であるが故に胚としての機能を持たせることができず、本物の月を使うしかなくなり、月から滴る人類の魂(LCL)を受け止める形状(杯)にした…なんて。

となるとどっから新しい黒き月を作ったのか?という話です。
黒き月を用意したのはゲンドウではありません。ゼーレでしたね。
先ほど、世界をリセットしても、使い切ってしまったものは元には戻せないと言いました。なので残っている素材をかき集めて新しい世界をやりくりしなければなりません。

ゲンドウは黒き月を本来の方法では使用せず、2つに割ってそこから見知らぬ槍を作り出しました。
これって「黒き月から槍を作ることができる=槍は黒き月を新造するマテリアルになり得る」が成り立つと思いませんか?
マテリアルは旧作の世界にあったものから使いまわさなければなりません。
見知らぬ槍の形状を思い出していただきたいのですが、旧劇で初号機が作った∞型の槍に似てませんか?そしてさらに思い出してほしいのが、旧劇で初号機は∞型の槍を作るときに2つに折ってから作りましたよね?
ゼーレは宇宙を漂っていた旧作初号機と∞型槍も立派な地球産マテリアルとして回収しました。初号機は新リリスとして使ったので、ぜひ∞型槍も有効活用したいところ。
ゼーレは∞型槍を新しい黒き月の新造に役立てることにしました。

ところで、ゲンドウがどうして黒き月から槍が2本生成できると知っていたのか?という疑問も生まれませんか?1つのことが分かるとさらに派生して疑問が生まれるので大変ですね!
これって仮説や実証記録がデータとして残っていたことを再現したと言ってもいいですよね。
ゲンドウの性格的に、必ずできると確信を持っていないことはやりたがらない気がします。よって仮説を自ら実験して証明することはインパクトという本番中には行わないだろうと思うのです。だから誰かが一度実験したデータをもとに自分が確実に再現できることしか行いたくない。
それってつまり、「過去に黒き月によく似たものを使って槍が2本作られた」ことがあり、そのデータが残っていたからゲンドウは本番でいきなり黒き月から槍を2本作ることができたってことになるんです。
黒き月によく似たものなんて、1つしかありませんね。「白き月」です。
白き月を使った槍を2本生成する実証実験。そんなものどこでどうやって行われたのよ?と考えていきたいところですがその前に、まず白き月をどこで調達したのかを説明しませんとね。

黒き月が新造されたものなら白き月はどうなのか?

旧作の白き月はアダムと共に南極に埋まっており、そこではアダムが目覚めてしまう前に槍を使ってアダムを卵の状態まで戻す実験と、他の使徒も生まれてこないようにするための作業が行われていました。
結局アダムは目覚めてしまいセカンドインパクトが起きてしまったのですが、せめて使徒だけはこれ以上生まれてこないようにと白き月側のガフの扉が開いた瞬間に、中にあるガフの部屋(生まれてくる使徒の魂がいる場所)は熱滅却処理され、中にいた魂はみんな消えてしまい最初から世界中に散らばって眠りについていた15体の使徒以外は生まれてこなくなりました。(ひどい!)
これにより旧作セカンドインパクトで白き月は無くなってしまっていると思っていたんですが、黒き月がそもそも富士山よりでかいという事実から考えると白き月も相当なでかさのはずなんです。熱滅却処理(要は爆破)ぐらいでは壊すことはできないと思いました。
なので白き月自体は旧作から新劇場版までの間ずっと残っていたのでは?と。
白き月はアダムベースの生物の魂が還り新生を待つ場所です。それがなくなってしまうと使徒の魂は還る場所が無いので次の世界では現れなくなるはずです。新劇場版の世界に使徒が現れるのは旧作からずっと白き月が残っている証拠であると言えます。(使徒達の魂も旧作の経験を経て、少しずつパワーアップして新劇場版の姿になっているのかと思うと愛しくてたまりませんね。)
なのでゼーレからすると白き月はオリジナルが残っているのでそれを使いまわそう!新しく作る必要は無いから手間が省けたぜ!という感じです。

アダムはなぜアダムスに?

白き月は旧作からずっとそのまま、となればアダムはどこへいったの?という話です。
旧作で第1使徒はアダムだったはずが、新劇場版では量産機を再利用したアダムスという人工的なものに置き換わっています。本当のアダムはどこへ?
これは先ほど、エヴァイマジナリーは旧劇の巨大綾波を回収したものであると説明しましたが、旧劇ではこの中にアダムの肉体と魂も同化していたためサードインパクトが正規の方法で起こせていました。サードインパクトが始まり泣いているシンジ君の前に巨大カヲル君が現れたシーンがありましたが、あれはアダムがリリスと同化していることを証明していますね。
なので巨大綾波を回収すれば巨大カヲル君も一緒に回収できていることになります。よって旧作にいたアダムはエヴァイマジナリーとなった旧作リリスと同じ場所にいます。

旧作リリスがエヴァイマジナリーとして使われているから、新劇場版の世界にいるリリスは旧作で神化している初号機を再利用していると書きましたね。
それと同じで、新劇場版の世界にアダムを再現するには本物のアダムがいないため何か別のもので代用しなければなりません。
代用方法もリリスと同じです。旧劇サードインパクトで初号機と一緒に儀式に参加した奴らが9体もいましたね。しかもアダムのコピー素体だった上にS2機関まで持っています。もうこいつらをアダムとして使う以外考えられませんよね!ゼーレさんもさぞかし嬉しかったことでしょう。複数体いるのでこいつらをアダムの複数形で「アダムス」と名付けました。
そして地球上に置いていたら誰に利用されるかわからないのでゴルゴダオブジェクトに保管し必要な時だけ取り出して使うことにしました。

セカンドインパクトは実験である

さて、新劇場版の世界でも白き月が旧作の時からずっと埋まっているものだと分かりましたが、ゼーレはこの白き月を使って何をしようとしたのか?を説明していきたいですが答えはもう出ています。「白き月から槍が作れるかを試してみた」ただそれだけです。
過去の世界でトライ&エラーを繰り返してきたゼーレはゲンドウに計画の実行を全振りするのは良くない。他にもちゃんと自分たちのいうことを聞いてくれる信用できる人を作って分担して作業させようとしました。だから新劇場版のゲンドウはゼーレに知らされていないことがあったしあまり信用されていなかったのです。上辺だけの付き合いというやつです。
で、ゼーレが選んだのがミサトの父「葛城博士」です。
葛城博士のバックボーンにはゼーレがおり、ゼーレが入れ知恵したことを葛城博士が人類補完計画として提唱し、それを検証しようとしてセカンドインパクトは起こってしまった…ということなんですね。もしかしたら葛城博士が自分で提唱したものの自分の過ちに気づいて命がけで止めに行った…なんてことになっているのかもしれません。

南極にあるセカンドインパクトの爆心地「カルヴァリーベース」
ミサトが「地獄の門が再び開いている」と言っていたためセカンドインパクトで一度開いたと考えるべきでしょう。
破のセカンドインパクト回想で4体のアダムス、4つの光の翼、4本の槍が使われたことが分かりますので地獄の門(ガフの扉)を開けるために使用した。セカンドインパクトは「アダムの代わりにアダムスを代用してみたけど本当にインパクト起こせるのん?」ということを実験してみた場でもあるわけです。
セカンドインパクトはアダムスのみで起こそうとした例になりますが、生命の実と知恵の実を合わせた神と等しきものになる儀式にはリリスも必要なのでは?と思うかもしれません。
ですがあくまでもセカンドインパクトは“実験”なんです。アダムスは9体もいるけど本番に使うためのリリスは1体しかいないので何か事故でもあってリリスが消費されてしまうようなことがあったらもう取り返しがつきません。
まずは代用品でもガフの扉が開けるかどうか…?を実験してから本番を行いたかったんですね。

5本の十字架
さて、4体のアダムスを使ってガフの扉(地獄の門)を開けた。ここでインパクトを中断させたのだとしたら十字架って4本になるはずですよね。なのにセカンドインパクト爆心地には“5本”の十字架がありました。え?残り1体は何者…?何を封印したの??
そう。これが「白き月から槍が作れるかを試してみた」実験の結果なんです。
振り返ってみてほしいんですが、アディショナルインパクトが始まるとエヴァイマジナリーは巨大3D綾波になって地獄の門を通過し現世に姿をあらわしましたね。これと同じことをセカンドインパクトでもやろうとした。つまりマイナス宇宙から「何か」を呼び出そうとした…。
ゲンドウはエヴァイマジナリーを人類(リリン)にしか見ることができない存在と言っていました。どうみてもリリスですしねぇ。
しかしセカンドインパクトはアダムベースのみを使って起こされているのでリリスはお呼びで無いんです。ならばマイナス宇宙から呼び出された「何か」はアダムベースにしか見ることができないアダム版エヴァイマジナリーなのではないでしょうか?
これは先ほどエヴァイマジナリーは旧作巨大綾波であり、一緒に巨大カヲル君(アダム)も一緒に回収できていると述べていますが、完全一致です。
セカンドインパクトで地獄の門から呼び出されたのはアダム版エヴァイマジナリーとなった巨大カヲル君だと思われます。と言ってもリリン側にはどういう姿で映っているのかは謎ですが。

ここまでくると葛城博士も自分はマズイことをしでかしていると気づいたのかどうなのかは分かりませんが、なんとかして止めないと!と動くことになり、アダム版エヴァイマジナリーを封印するための槍を生成しようとします。それに使われたのが「白き月」です。
Qとシンでは黒き月は出てきましたがアダムベースの生まれ故郷「白き月」は出てきていません。ですがそれっぽい描写はあり、破のセカンドインパクトの回想で光の翼と共に地球外へ丸い玉が出てきているのでおそらくそれが白き月だと思われます。旧作からずっと南極に埋まっていたと書きましたね。人が主導でインパクトを起こすと埋まっていた黒き月がせり上がってくるように、アダムベース主導のインパクトが起これば埋まってた白き月がせり上がってきます。
シンエヴァでは黒き月が2つに割れ、見知らぬ槍が2本生成された。もう槍ってなんなんだろう…と頭を抱えるトンデモ設定でしたがその理論でいけば白き月も2つに割られ槍になっています。そのうち1本をアダム版エヴァイマジナリーにブスッと刺して封印!これがセカンドインパクト爆心地に合った5本目の十字架の正体です。これにてセカンドインパクトは無事中断です。
もう一本の槍はどこに行ったのかって?これは後で説明しますが多分カシウスの槍あたりに使われています。
フォースインパクトを起こすためにゲンドウが行ったとにかく想定外だらけの方法は全てセカンドインパクトで葛城博士が実証したことであるが故にデータが残っていた。ゲンドウはそれを再度再現すればよかったということです。

ん…?ということは白き月という魂の帰る場所を無くした使徒達って、次は人として生まれ変わってしまうかもしれないってことですよね…?
え……?(絶望)


さてさてさて、気を取り直しましょう。
セカンドインパクトでアダムスが4体使われたことから、今度はアダムスの使い道をハッキリさせていきたいところ。
私は過去の考察でアダムスってなんぞや何体いてどう使われとるんやということを延々と考えてきたわけですが、もうここでケリをつけます!
でもその前に分かりやすくしておくために一旦まとめさせてください。

ゼーレが用意したものまとめ

【旧作アダム】
→旧劇でインパクトに使用され巨大カヲルに→回収され新劇場版では使徒側にしか見えないエヴァイマジナリーとしてゴルゴダオブジェクトに保管されていたがセカンドインパクトで召喚されそうになり封印される
【旧作量産機】
→ 旧劇のインパクトにてアダムに代わる神的存在となる→新劇場版ではアダムスとなりゴルゴダオブジェクトへ保管される
【旧作リリス】
→ 旧劇でインパクトに使用され巨大綾波に→回収され新劇場版ではゴルゴダオブジェクトにエヴァイマジナリーとして保管される
【旧作ユイと初号機】
→ 旧劇のインパクトにてリリスに代わる神的存在となり宇宙へ旅立つ→新劇場版では捕まってゴルゴダオブジェクトへ一旦保管されるがその後ネルフのドグマへ移動させられ新劇場版のリリスとなる
【旧作の白き月】
→旧作でガフの部屋は熱処理されて空っぽになるが本体(外殻)は健在→新劇場版世界にも残っており、セカンドインパクトで2本の槍に転用され1本はセカンドインパクト中断に使用しもう1本はカシウスの槍へ
【旧作の黒き月】
→ 旧劇でインパクトに使用され爆散。もう無い。→新劇場版では別のものから人工的に新造されている
【旧作のロンギヌスの槍】
→旧劇のインパクトで2つに折られ∞型の槍になり初号機と共に宇宙を漂う→新劇場版ではそれも回収され人工的な黒き月の新造に使われる

こんな感じです。
まとめてみると、旧作からものすごく素材をやりくりして使い回していますね…。
第1章でエヴァの世界設定についてまとめていなかったらここまでたどり着けなかったでしょう。第1章と2章を書いていた自分に感謝ですね。

ゼーレはまだ生きてるの?

これだけいろんな準備をしてやり方も変えて、何度も世界をやり直してきたゼーレですが、Qでは大枠願いが叶っていると満足して消えてしまいました。しかしその後インパクトの主導権がシンジ君に渡り、エヴァの無い世界を望まれてしまいます。そうなるとそれに気づいたゼーレがまたやり直そうとしてくるのでは?という懸念がありますね。大丈夫なんでしょうか?

ゼーレはLCL化が失敗しやすいならインフィニティ化という方法へ変更して人へ戻れなくしてやろうとしました。サードインパクトで人類の大半はインフィニティになったし残ってる人がどうにかして元に戻せるもんでもない。それでもまだユイが神化するという懸念は残りますが、ゲンドウがインパクトのトリガーとなってしまえばシンジ君が邪魔してくることも無い。ゼーレとしてはこの時点で願いは大枠叶ったため満足して消失します。
(まさか最後の最後にゲンドウがシンジ君へ主導権を渡してしまうとも思っていなかったでしょう。ゼーレは毎回最後のツメが甘いのです。)

たしかにエヴァがある世界ならインフィニティから人への復元は不可能でしょう。しかしなんとか人に戻そうとするとシンジ君はエヴァの無い世界に書き換えるしか解決方法がなくなります。
ですがそれでいいんです。エヴァがそもそも存在しないのだから人はエヴァインフィニティなんてものにならないんです。
エヴァが無いということはアダムもリリスも使徒も存在しません。シンジ君はアダムベースもリリスベースも等しくみんな“人“として生きていけるようにしてしまいました。
エヴァの無い世界にしてしまうことでゼーレもアダムスを使うことはできなくなり世界に干渉すること自体が不可能となります。だって回収するアダムスが消えちゃったんだもの。リリスに再利用できそうなものもいないから回収できない。アダムスもリリスもいないならガフの扉も開けられないからもうインパクトも起こらないしやりなおしもできません。ゼーレはガフの扉の向こう側にいる高次元の存在になってしまっているため通信手段も断たれてしまいました。
シンジ君の願ったことは結果としてゼーレがこの世界にもう手出しすることができなくなってしまうことに繋がっているため、ある意味神(ゼーレ)殺しも達成されています。
さようなら。あばよ!全てのゼーレ。

アダムスにケリをつける

ゼーレにあばよしたのはいいんですが謎はまだ残っているのでちゃんと考えていきましょうね。
先ほど新劇場版におけるアダムスとは旧劇で出てきた「量産機9体」だと説明しましたし過去の考察でもそう書いていました。しかし、シンエヴァで判明した事実を踏まえて過去の考察をちょっとだけ修正すると、
序のラストで月にあった9個の棺桶に入っているカヲルがアダムス…ではありませんでした。ミスリードでしたね…。
量産機9体のダミープラグに入っていたカヲルクローン9体がアダムス本体であることは合っているでしょう。しかし月の棺桶に保管していたわけではなかったんです。月にある棺桶達、あれは“ただの“クローン体です。
アダムスの保管庫はマイナス宇宙にあるゴルゴダオブジェクトですが、実体の無い世界なのでそれを現実世界に持ってきて準備をするためには実体のある場所で行わなければなりません。だから月は実体のある準備場所としてゼーレに選ばれています。
一旦まとめておくと

月にたくさんある棺桶の中のカヲルクローン=魂の無いただのクローン体
ゴルゴダオブジェクトに保管されているアダムス=旧作量産機のダミープラグから引っ張り出された9体のカヲルクローン。魂があり使徒である。

ならば序の最後に月の棺桶から目覚めたカヲル君はなぜ使徒なのか?彼はアダムスじゃないのか?という疑問がわくでしょう。
大丈夫です。アダムスの使い道を考えればちゃんと読み解けるようになってますので説明していきますよ。しかしその前に、なぜ月へあんなにたくさんカヲルクローンを用意していたのか?という部分から説明させてください。

円環の構造を用意しておいたのは旧作ゼーレ
地球はインパクトが起こると天変地異並みに世界がぶっ壊れたり気候変動が起こったり生態系もリセットされてしまいますが月はある程度ノーダメージですのでゼーレの作業場として選ばれています。地球で他人に見つけてほしくないものやインパクトに巻き込まれてほしくないものはここに置いておけばいいんです。
どうやってカヲルクローンを用意していたのかというとかなり簡単なことで、旧作量産機のダミープラグに入れる用のカヲルクローンを作った際に余剰分を地球圏外(月)に置いていただけです。
つまりゼーレは旧作でインパクトを無事に起こせても自分達が望まなかった世界になってしまった場合もう一度リドゥしやすいように念のため保険をかけていたことになります。最後の詰めは甘いくせに用心深いですね〜。

インパクトが終わればそのまま地球は2回目の世界に突入するのでその度に月に置いていたカヲルクローンの1体へアダムスの魂1体分を入れて起こします。すると前の世界での記憶を引き継いだ第1使徒「渚カヲル」が誕生します。だからQでカヲル君は自分のことを第1使徒と言ったし、前の世界の記憶を持っているんですね。

円環(やり直しループ)の仕組みを作っておいたのはゼーレですが、カヲル君は「碇ゲンドウ、彼が円環の元だ」的なセリフを言っていますね。
この辺についてはまた後ほど説明しますのでご安心を。とにかく今はアダムスをなんとかしたいのです!

アダムスの使い道へ終止符を打つ!!あと槍の数も

さてついに来ました。アダムスは旧作量産機9体。これは確定だと思いますが、新劇場版にはあれもこれもアダムス?!ほんとは9体以上いるんじゃないの?!というものが多く登場します。なのでどうやって使ったのかをしっかり整理していきましょうね。
いきなり結論だけドンッと出してこいつは何を言っているんだ?と思われてもアレなので私は恥ずかしくとも自分の思考プロセスをある程度残します。たとえそれが闇歴史となろうとも(だから長くなるんですけど)
それにプロセスがあれば読んでいて別の見解に気づける方もいるかもしれません。それはとても素晴らしいことです。ぜひ共有してください。
結果だけ知りたい!という方はスクロールしてくださいませ。

さてさて、前述していたようにアダムスって要は複数体いるアダムです。
使い道はエヴァの素体にしたり渚カヲルになったりさまざまですね。一旦アダムスだと思わしきものを全部書き出しておきましょう。(天使の輪のようなものが出てくるのが見分けポイントです)

・セカンドインパクトで使われた4体
・渚カヲル
・Mark.06
・初代Mark.09
・2代目Mark.09
・Mark.10
・Mark.11
・Mark.12
・第13号機
・ヴンダー含めた戦艦4機

…どう数えても9体以上います。
でもですね、過去の考察でも私はアダムスを肉体と魂に分けてそれぞれ別に使ったのだろうと推測していました。その考え方は今でも変わっていません。
なぜかというと第13号機が「アダムスの“生き残り“」で初代Mark.09は「アダムスの“器”」と呼び方が違うからです。同じアダムス素体エヴァなのに、です。
肉体は魂の入れ物(器)って言葉、聞いたことありませんか?「器」とはイコール、肉体のことを指している。
初代Mark.09はリツコにはヴンダーの“主”と言われていました。つまり戦艦1機と主となるエヴァ機体1体はワンセット、元はひとつのアダムスだったんです。
今回シンエヴァでは戦艦とその主がたくさん出てきてくれたことでとても考えやすくなりました。
アダムスAというのがいたらそいつの魂だけを戦艦に内蔵し、肉体をエヴァ機体へと使う。エヴァ機体には魂がありませんから器でもあり、戦艦という魂を入れるための肉体(主)という意味でも「器」だったと分かります。
こうしてアダムスは肉体と魂を別々にして使うことができるので、9体いるアダムスって実質は18個の使い方ができることになるんです。

では上記で挙げていたアダムス候補を肉体と魂で分けてみましょう。

画像2

……???なんだかあぶれている機体が出てきてしまいました。
これじゃあMark.06と2代目Mark.09はアダムスじゃないのかよ!となってしまいますが彼らにもちゃんと天使の輪がありましたのでアダムスのはずです。
そこでちょっと思いつきました。
13号機の呼び方は「アダムスの“生き残り”」でしたよね。これは

①まだ何にも使用されていなかったアダムス
②セカンドインパクトの“生き残り”

のどちらか2つの意味が想定できます。
なんとなく言葉のニュアンスからして災害を生き延びた的な感じを受けるので②じゃないかと思いました。

そうなればセカンドインパクト跡地からどうやってアダムスの肉体回収すんねんという話にもなってきます。
まぁしかしですね、フォースインパクトでは戦艦4体が光の翼を出した後しれっとアダムスの器Mark10〜12が外に出てきたり、ヴンダーの中から実質リリスになっているはずの初号機が13号機に回収されてしまったことを思い出してほしいんですが、光の翼出して儀式さえ始めてしまえば魂の器、つまり肉体は用済みなわけですよ。なのでセカンドインパクトで使われたアダムスの肉体も回収して再利用も可能…かもしれないんです。
ということで表を書きかえてみます。

画像3

よっしゃなんかええ感じになってきたぞ!!あとちょっとのところまで来ている気がします。
アダムスの肉体残り2つの使い道を考えていきましょう。
…その前にちょっと待て!!私は第1部のアスカ入れ替わり説検証の部分でネブカドネザルの鍵についてすでにあれもアダムスの1つだと定義していたことを思い出しました。

ネブカドネザルの鍵についておさらい
ネブカドネザルの鍵を自身に使ったゲンドウは人の理を超えた情報を得たと同時に使徒ビームが出せるようになっています。
私は勝手に使徒ビームなどと呼んでいますがまぁ要は本来ならアダムベースの力を持っている者しかアレは出せないのです。つまりゲンドウは鍵によって使徒の力を宿していることが分かります。
次に「人の理を超えた情報」とは普通に人として生活していれば知りうることはない自分の過去生でしょう。過去生を知るにはゴルゴダオブジェクトに行かねばなりませんが、そこに行くにはまずガフの扉を開けなければいけません。鍵を使えばそこまで行動を起こさなくてもお手軽に自身へ過去生の記憶を上書きしてあげられる。
これと似たようにお手軽に全ての世界の記憶を保持して目覚めた人物が思い当たると思いますが、渚カヲルもアダムスの魂を埋め込まれた存在ですよね。
つまりアダムスの力=過去生の記憶を手に入れる力。よってネブカドネザルの鍵は「アダムスの力を注入する装置」であり要はアダムスのひとつなんです。

ならカヲル君もネブカドネザルの鍵でアダムスの魂を入れられたのか?となるとちょっと違います。
上記のアダムスの肉体と魂の使い道表からもわかるように魂の欄は埋まっており、空いているのは肉体の欄だけです。
カヲル君にはクローン体という肉体がすでにあります。なのでアダムスを入れようと思っても肉体は用意されているので魂だけ入れてあげればいいので余ったアダムスの肉体は別のものに使えます。
ネブカドネザルの鍵の形状を思い出してみるとちょっと人体っぽかったですよね。
アダムスの肉体と魂を分け、魂はカヲルクローン体に入れて「渚カヲル」へ、余った肉体はネブカドネザルの鍵へと加工されたのでしょう。

さて、残るアダムスの肉体は1つですね。
これの使い道はMark.07(ナナシリーズ)ではないかと思っています。

7シリーズもアダムス?
すごいたくさんいましたけど、みんなアダムスの輪がありましたのでいわゆるアダムス量産計画みたいなものもあったんだと思います。7は神聖な神の数字とされます。新劇場版の世界のゼーレも7人に減らされていますし、7という数字はゼーレ・アダムスに関係した数字であると言えるでしょう。
Mark.04(ネーメズィスシリーズ)がマリに「使徒モドキ」と呼ばれたように、エヴァを限りなく使徒に近づけたからそう呼ばれ、
Mark.07(ナナシリーズ)はアスカに「エヴァモドキ」と呼ばれました。アダムス(使徒)を限りなくエヴァに近づけたからの呼称なのでしょう。こいつらの形状が他のエヴァ機体と比べてすごく人体に近いというか、有機形態な感じがなんともキモチワルイ…。Mark.04は機械的、Mark.07は生物的で対照的ですね。私は無機質な使徒が好きなのです…
(山下いくとさんがツイートしていたネルフ戦艦のラフ案では戦艦本体からネーメズィスシリーズの4Aらしきものが自動で生み出されている設定もあったのでアダムスの魂を内蔵された戦艦、要は使徒から生まれたからネーメズィスシリーズは「使徒“モドキ”」なのかもしれませんね)

7シリーズはあまりの多さにエヴァインフィニティと合体でもさせるのかとも思いましたが扱いはネーメズィスシリーズと一緒かな、と…
しかしなぜ貴重なアダムスを銃弾一発当たれば死ぬような雑魚に使ってしまったのか甚だ疑問です。足止めには質より量を選んだということなのか。
まあ目的を果たしたゼーレからもう必要ないから好きにしな〜と譲られたものですからゲンドウ達がどう使うも自由なのですが…

ということで表が埋められそうです。

画像4

やったー!!スッキリ!
…と言いたいところですが、ゲンドウが恐ろしいセリフを残しています。
ゴルゴダオブジェクトには「アダムスと“6本の槍”」が残されていたと言うのです。
なんてことを言うんだゲンドウ!!また考えなきゃいけないじゃないか!!

アダムスが解決したら次は槍の数だ

ひとつ解決したら疑問がまたひとつ…エヴァとは恐ろしい作品です。
むしろシンエヴァは槍についてのぶっ飛んだ設定が怒涛の展開で出てきたことによって「槍の物語」と言っても過言ではないかと思います。
まずはわかっているかぎりの槍を書き出しておきましょう!

・セカンドインパクトでアダムス4体に刺された槍4本
・Qでリリスに刺さっていたロンギヌスの槍2本
・黒き月から作り出された見知らぬ槍2本
・ヴンダーの脊椎から作り出したガイウスの槍1本

お得意の表作らんのかい?と思った方もいらっしゃるでしょう。しかし表を作る前に疑問があるのです。
ゲンドウは槍が6本あったと言っていました。でも槍の数は母たる存在(アダムとリリス)の数分だけなければならないというルール(?)のようなものがあります。
軽く説明しておきますと、1つの星に生命の種が到着した時にその中には始祖的な存在(アダムorリリス)が入っているのですが、その始祖的な存在が暴走したり何かあった時の制御棒として1体につき槍が1本セットになって入っているんです。旧作でもアダムとリリスの2体分、槍も2本あったんです。槍はインパクトを起こすことにより消費されて無くなってしまいますので旧作ではセカンドインパクトで消費され1本しか登場しませんでした。
よって新劇場版でもアダムスの数+リリスの合計分の10本槍が存在するはずなんです。

槍が6本しかなかったのなら内訳はリリスの槍が1本で残りはアダムスの槍が5本となるでしょう。
6本中4本はセカンドインパクトで使用され消失、残った2本がずっと残っていたロンギヌスの槍とカシウスの槍…と考えると一応ぴったりっちゃぁぴったりなんですが、でもアダムスを旧作量産機として9体いるとするなら槍の本数が合わない。

まずアダムスが9体に対して絶対槍の数も揃ってないといけないという固定概念から疑った方がいいかもしれません。そもそもアダムスなんてゼーレが人工的に作り出したものですし。が、しかしゼーレが残してた6本の槍、これってどこから持ってきたの?といった疑問も生まれませんか?(先ほど説明した白き月から作った槍が1本余ってるよ!というのは一旦忘れてください)
インパクトに必要なマテリアルはほとんど旧作の世界からかき集めているわけですからこの6本の槍も旧作の世界から持ってきたものであろうと考えられるのですが、すぐに思い当たるとしたら旧作量産機が持っていたロンギヌスの槍コピーがあります。ですがあれは旧劇のラストにて初号機が発した光によって破壊されているため存在しないはず。

旧作から槍が作れそうなものは
うーん…この他に旧作の世界で良いマテリアルはまだ残っていたでしょうか…。一旦新劇場版の世界に戻って考えてみます。
そういえばミサト達はヴンダーの脊椎から槍を作り出しましたね。あれにはぶったまげました。そんなことしちゃっていいのかよ!と。
でも逆に考えてみるとですね、これ槍から戦艦作れるんじゃないかと思うんです。まーたぶっ飛び論出たよって感じなんですけど、だって戦艦の脊椎から槍を作れたんならその逆だってあり得ないことないんじゃないかって…。
ということは「槍⇄脊椎⇄戦艦」と仮定できます。どこかからなんらかの脊椎を仕入れてくれば槍が作れる。槍が作れるなら戦艦も作れる…。
アダムスの魂を内蔵されているネルフ戦艦達ですが、その躯体の中心となるのは旧作の世界にあったなんらかの生き物の脊椎でしょう。そんなこと言ったって使えるものあったっけ……?
……もしかして石化しエヴァ機体としては使えなくなった旧作量産機から脊椎だけを再利用し9本の槍にすることもできるんじゃないでしょうか?槍というか、脊椎は槍にするか戦艦にするかどちらか選べる材料と言いますか。
私の頭の中で北上ミドリちゃんが「ありえないっしょ!」と言っていますが私だってありえないに全面同意したいし自分何言ってんだろなって思ってます。しかし私の中のマギコピーがそう回答しているのです。困った。
私が言っていることなんてAがBを経由してCになったのならBはAになるしCもAになるんじゃないかぐらいのことですが、ミサトがリツコに求めたのはBはFになるかもしれないからやってみてほしいという無茶振りなのでそれに比べたらかわいいもんだと思うことにします。
それに人間も死んだら肉は腐ったりいろいろしますが骨はしばらく残りますよね?なので石化した量産機も骨だけは使えたんだと思います。旧劇で石化した量産機から見えていた背骨、ヴンダーの脊椎結合ブロックにそっくりでした。縄文時代は動物の骨を削って銛や釣り針にしていたのですから量産機の骨から槍が作られるのも理にかなっているような気がしてきましたよ!

おっとそうしたら急に槍が9本に増えてゴルゴダオブジェクトに保管されていた6本の槍と数が合わなくなってしまいました。
しかしですね、ゲンドウがゴルゴダオブジェクトおよびその中にユイがいたこと、アダムスと6本の槍があったことに気づいたのって多分Qあたりだと思われるんですよ。あの変なゴーグルみたいなやつ。おそらくアレを使い始めたあたりか、フォースインパクトが始まる直前にネブカドネザルの鍵の入ったケースを持っていたのでそのタイミングで自身に鍵を使ったのではないかと。
何が言いたいかといいますと、ゲンドウがゴルゴダオブジェクトの存在とそこに残されていたものの数を認知したのはセカンドインパクトの後だということです。アダムスや槍をゼーレが使用し残った物を保管していたのであれば、本来の数を知るためにはセカンドインパクトで使用した分も数に入れなければならない。セカンドインパクトで使われた槍4本は引くべき数ではなく、むしろ足して考えるべきかもしれません。
よってゴルゴダオブジェクトに保管されていた6本の槍にプラスしてセカンドインパクトで使用され消えてしまった4本の槍で元々の槍の数は10本。
そのうち9本は旧作量産機9体の脊椎が槍にされたからアダムスの数と合う。残り1本は白き月を2つに割って作った槍が余っていたのでそれをリリス用にする。
ややこしいので先ほどまとめたアダムス使用表に合流させましょう。

画像5

※補足
旧作初号機がロンギヌスの槍から作った∞型槍→新劇場版黒き月へ→見知らぬ槍2本へ→フォースインパクトで使い捨てし消失
旧作白き月→そのまま新劇場版白き月へ→セカンドインパクト時に槍2本へ→1本はアダム版エヴァイマジナリーを封印し消失、余った1本はカシウスの槍へ

あら綺麗にまとまりましたね〜!(無理矢理)でもちょっとスッキリしました。
アダムスって要は使徒なのだから槍が無くてもインパクトは起こせるんじゃないの?という疑問もあるかもしれません。
まぁその通りでしょう。願いを叶える目的無しでガフの扉を開けるなら簡単です。しかしアダムスを使うのは結局人間です。人力でインパクトを起こして“願いを叶えたかったら”橋渡しの道具となる槍は必要になりますので槍も多く持っておくにこしたことはない道具です。

ゼーレも目的達成に向けてすごく頑張ってたんですね。これぞリユース・リデュース・リサイクル(リデュースはしてないかもしれませんが)
やり直しに必要なマテリアルをどうやって集めたのかを考えると新劇場版の世界がどうやってできているのかがなんとな〜く分かってきませんか?
土台ができたところでやっとシンエヴァ本編の解説に行けそうです。ここからはまた時系列で説明していきますよ!

戦艦は何のために作られた?

ゼーレおよびゲンドウ達は戦艦をどう使うつもりだったのでしょうか?
マリは戦艦達を沈めた際「さよならアダムス達」と言うので4つの戦艦はアダムスなのですが
リツコは戦艦達のことを「ガフの守人として建造されたものはトリガーにはできないはず」と言っていました。
先ほどまとめたアダムスの表を参照しながら考えると、戦艦達はアダムスの魂が内蔵されているが、肉体は無い状態であることが分かります。なぜかというと肉体は戦艦の主達であるMark.09〜12の素体として使われているからですね。オップファータイプのエヴァ4体は1体をヴンダー乗っ取りに、残り3体は2〜4番艦の主になっていましたが改8号機はMark.09〜12をオーバーラッピングで食すことによりアダムスの力を手に入れていました。
なら戦艦(アダムスの魂)とエヴァ機体(アダムスの肉体)が揃えばインパクト始められるのでは?と思いますがここまでならガフの扉を開くことぐらいは可能でしょう。
ですがエヴァの機体というものはアダムベースの力を持った者かシン化の影響を受けた者がパイロットとして乗っていないとトリガーとして使えません。
上の表に載っているエヴァ機体の中でトリガーになれるのはアダムスの魂を持つ渚カヲルが乗る予定だったMark.06と第13号機のみです。
なので戦艦達はアダムスの肉体が無い状態だからトリガーになれない。主であり肉体の持ち主であるMark.09〜12のどれか1体でもいればもしかしたらトリガーになれるかもしれないが、結局機体の方にもアダムベースのパイロットが乗っていないと意味が無い。乗っているパイロットはアドバンスド綾波シリーズであってアダムベースでは無いからトリガーにはなれない。という結論になります。(しかもMark.09〜12のどれかにアダムベースのパイロットを乗せたらそれだけでトリガーとして完結するので戦艦はいらないのです)

となるとリツコの説明通り、ゼーレは戦艦をガフの扉を開けるためだけの存在、ガフの扉の向こう側に誰も行かせないように見張る「守人」にする以外は特に考えていなかったのでしょう。あとはサードインパクトとニアフォースインパクトがポシャった時に使えばいいや、といった保険ですね。オプファーはドイツ語で生贄。それはアナザーインパクトに使う為の贄という意味なんでしょうね。実際そう使いましたし。
ヴンダーが主機(初号機)も補機(N2リアクター)も失ったのに奇跡的に浮いていられると言っていた理由は簡単です。ヴンダーもアダムス製だからですね。
アダムスという名の使徒の魂を入れてある戦艦なのですから他の使徒と同じく浮遊できてしかりです。

戦艦達にもちゃんと名前がありましたね。
ヴンダーはヴィレがつけた名前で、元々はブーセ(ドイツ語で贖罪)
2番艦エアレーズング→ドイツ語で救済
3番艦エルブズュンデ →ドイツ語で原罪
4番艦ゲベート→ドイツ語で祈り
といった意味があります。ゲンドウは4つの戦艦によってガフの扉が開けられた際に「これで全てのホースマンは揃った。」と言っていましたが、黙示録4騎手に当てはめてのホースマンなんですね。神の怒りの代行者たる死の天使達の通称。

ヴンダーとネルフ戦艦は未完と完成の違いと言われていましたが建造中だった未完状態の時に加持さん達に強奪されたから他の戦艦と形状が違うんでしょう。ヴンダーも完成していたら同じ形になっていたんですかね?
ネルフ戦艦に乗っていた冬月は「元来有人仕様ではない」と言っていたのでアダムスですし人を乗せるとコア化してしまい本来危険なことなんだと思います。ヴンダーがネルフ戦艦に比べていろんなものを載せられているのは有人搭乗可にするために必要なことなのでしょう。
マヤも脊椎結合ブロックで作業員達に「ここは危ない」と言っていたことからも直接アダムスに触れる恐れがある場所はヴンダー内でも危険区域指定されていたということですね。プラグスーツを着ていればそれなりの時間は平気なんだと思います。

ところで4機いる中でヴンダーだけ種子保管ユニットを備えていました。
建造中の時から備えていたものなのか、強奪された後に加持さん達によって後付けされたものなのか、どちらなんでしょう?
種子保管ユニットにはヴィレのマークも書かれていたので後付けのものなのかな〜と思っています。が、ゼーレが最初から建造計画に入れていたとしたらどうするつもりだったのかも考えてみたら楽しそうなのでちょっとだけ…
人類およびリリスベースの地球の生命体全般に興味が無いはずのゼーレはヴンダーに一体何を保管するつもりだったのか?選ばれた優秀な生命体だけを乗せてあげる予定だったのでしょうか?
しかしインパクトで魂のコモディティ化をされてしまうと、まぁ平均化するみたいな意味なのでヒトも他の動物もなんなら微生物も魂がみんな同一になってしまうため優劣もくそもないでしょう。
なのでリリスベースの生き物を方舟に乗せる気は元より無いなら、インパクトの影響を受けて綱々になってしまう月に置いてあったカヲルクローンの新しい保管場所としてヴンダーの保管ユニットを使おうと予定していたのでは?と思いました。
もしくは保管ユニットって射出できますし、インフィニティを数体入れて、他の星にばら撒こうとしてたのでは…?という妄想をしておきます。
生命の実と知恵の実を揃えた完璧な生命体を他の星にも提供してあげるよ〜!…と。勝手に人類総LCL計画立てて他の星にまで侵略計画を立てるなんてありがた迷惑な親切心ですね。

人工的なリリスの再現
セカンドインパクトは4体のアダムスを使って引き起こされましたが、フォースインパクトも同じように戦艦(魂)+主(肉体)でワンセットのアダムスとなったものを4セット使って引き起こしました。
セカンドインパクトは生命の実を持つ生物・アダムス“だけ”で起こされていますが、神と等しき存在となるためのインパクトには生命の実だけでなく知恵の実を持つ生物・リリスも必要です。なので冬月はヴンダーを媒体としてアンテナみたいなところからリリス(初号機)の力(情報)を出力することで人工的にリリスを再現しました。
初号機の中にはリリスの魂を持つレイが保存されているので、ヴンダーが1体のアダムスとしても1体のリリスとしても機能しているんですね。
ガフの扉を開けた後にしれっとMark.10~12が出てきて動いていたりしましたのでガフの扉を開いて「リリスという情報」だけを送り込めばあとは自由にしたって良いみたいです。

どうしてシンジ君はゲンドウがヴンダーに来たことが分かったの?
この時シンジ君の目が紫になっていたのはヴンダーを通してリリスとなってしまった初号機とリンク状態になっていたからなのでしょう。破のラストで初号機と高シンクロしすぎたことによりシンジ君は一度LCL化しているので、実質初号機化していたようなものです。
シンクロ率∞、シンジ君は初号機で、初号機はシンジ君になっている。
初号機とリンク状態になることでゲンドウがヴンダーに来ていることにも気付けたのではないでしょうか。もしくはミサト達の声は艦内放送で聞こえるようになっているのかもしれませんけど。

マイナス宇宙でシンジ君がすぐに綾波のところにいけたのも初号機とリンク状態になれたからでしょうね。Qでは白波の魂は初号機の中に保存されていると冬月から聞いています。
シンジ君は破の時には綾波は綾波だ、とレイのことを個人として見ようとしてはいますが、レイがお母さんのクローンだと知らされてからレイは他人ではなく女の子として生まれていた場合の自分、ツインレイ(2つの光・魂の双子)、自分の片割れ、双子の妹のように感じているのだと思います。
なのでシンジ君が初号機と同化していたことによってレイ=シンジ君という状態でシンクロしており、Qで一度分離されますがそれが再度リンク状態となることでシンジ君はレイの場所を捕捉できたのだと考えています。

13号機の覚醒とシン化

以前の考察では13号機がダブルエントリーなのは2本の槍を持つためにアダムス+アダムスコピー体という2つの素体を合体させて作っているから片方を覚醒させるために第12の使徒を食ったんじゃないかと考えていました。
ゲンドウもQのラストで「第13号機も覚醒に導いた」と言っていたことから、13号機はアダムス+コピー体の2体を使っているという見解はシンエヴァ視聴後も変わっていません。
ですが、不思議なことがあります。
アスカは第9の使徒化し、「使徒の贄をもって」と13号機に噛み砕かれ生贄として捧げられてしまった時(でもこの時噛み砕かれたのは実はアスカではなく式波オリジナルなんですけど)13号機のアダムスの輪が1つしか出ていませんでした。
Qの終盤で第12の使徒を噛み砕いたことで13号機は覚醒したのになんの必要があってまた使徒を食べるの?と思っていたんですが、プラグを噛み砕いたことで輪は2つになりました。Qで覚醒したから最初から輪は2つ出るはずでは??と。
使徒化アスカのプラグを噛み砕いた13号機はまた覚醒をしなければならなかったのでしょうか?
ちょっと振り返ってみることにしました。

エヴァ機体の覚醒についてちょっとおさらい
破のラストで初号機は覚醒してしまいましたが、そもそも覚醒ってなんぞや?と軽く説明しておきます。
考察第2章では確かコピー素体エヴァがアダムスと同等へランクアップすること的な書き方をしていたかと思いますが特に訂正もなくそのまんまです。
本来ならS2機関を持っていないエヴァ。それはアダムスやリリスをコピーした素体を元に作ってしまったからです。S2機関を持っていないとそのエヴァを使ってインパクトを起こす作業が行えません。
そのため使徒を捕食したりなどしてS2機関を取り込み覚醒し、アダムスと同格にならなければインパクトに参加すらさせてもらえないんです。

エヴァを覚醒させるには条件があり、まずは先述のとおり使徒のコアを噛み砕くことでS2機関を取り込んでおくことが必須です。
しかしですね、破のラストで覚醒した初号機って実は3号機事件の時に使徒のコアと化したエントリープラグを噛み砕いたことでS2機関をすでに取り込んでいました。ならばその時とっくに初号機は覚醒しているはずです。でも覚醒しなかったということは使徒のコアを噛み砕くこと(S2機関の摂取)は覚醒するための必要材料の一つではありますが即時覚醒に至るものではないのです。
初号機が覚醒した第10の使徒戦を振り返ってみると覚醒のための材料としてもう一つ、エヴァとパイロットが強くシンクロしていることが必要なのではないかと考えます。特にプラグ深度が+にふれた者、つまりシン化もしくはシト化の影響を受けたパイロットが。
よってエヴァ覚醒の条件は

①使徒のコアからS2機関を摂取
②シン化かシト化しているか元から使徒のパイロット、エヴァと高シンクロできる者が乗っていること

だと仮定します。
だからシン化したシンジ君とシト化したアスカには覚醒を防ぐためのDSSチョーカーがつけられているのでしょう。
ちなみにマリにもチョーカーがついていたと分かるシーンがあります(最後の方の「おまたせ。シンジ君」のシーンです)
マリはエヴァの呪縛にかかっているとはいえ、シン化シト化とは対極に位置するビースト化の影響を受けていますが、ヴィレがエヴァパイロットに持つ覚醒の懸念は皆一律なのでしょうね。

となるとQでシンジ君がネルフに鹵獲されたのも納得が行くんです。13号機は2体の素体を使っており、片方がアダムスでもう片方がおそらくコピー素体です。なので13号機をインパクトのトリガーにしたければまずコピー素体の方も覚醒させてアダムスと同格にしておかなければなりません。ただのパイロットを乗せるだけでエヴァが覚醒させられるのならQで13号機を覚醒させるのはカヲル君と式波オリジナルだけで足りるでしょう。
しかし覚醒の条件に式波オリジナルは当てはまりません。13号機を覚醒してあげられるのはシン化の影響を受けるほどシンクロ率の高いシンジ君かシト化している式波アスカだけになります。
ヴィレからアスカをなんとかして捕まえて13号機に乗せるという手もあるでしょうがアスカにはすでにDSSチョーカーがついているため13号機を覚醒させようとしたらアスカは自爆を選ぶでしょう。シンジ君の時のようにカヲル君がチョーカーを外してくれるとも思えません。
でも、だからこそカヲル君がチョーカーを外してくれるだろうことを見込んでのシンジ君がネルフに連れてこられたんですね。

そこで改めて疑問点に戻ります。第9の使徒が13号機に噛み砕かれたと同時にアダムスの輪は1つから2つへ増えました。13号機はQですでに覚醒済みなので最初から輪は2つ出るはずなのでなぜまた覚醒をしなければならなかったのか?
もしかしたら実はまた覚醒したかったのではなく、別の何かを行いたかったからではないかと考えてみました。

覚醒と同時にシン化が起こる
Qで13号機が第12の使徒(光ファイバー君)を食った時と第9の使徒(アスカ)を食った時の共通点として、直後に13号機が白く発光することが挙げられます。
破で初号機が覚醒した時も思い出して欲しいのですが、咆哮をする初号機は白く光っていましたね。あの状態は「擬似シン化形態」と呼ばれるためエヴァ機体は覚醒したと同時に白く発光する「シン化」というものがセットで起きます。
覚醒したという証拠に白くなるだけなんじゃないの?と思うかもしれませんが、Qで一度覚醒しているはずの13号機がシンエヴァで再度使徒を噛み砕いていることからなぜ同じ手順を2度も踏むのか?という疑問がわきます。
これはつまり覚醒とシン化は別物であり、セットでも起こせるが別々に起こすことも可能である。しかしまずは覚醒という手順を踏んでからでなければシン化は行えないということになるでしょう。
13号機が第9の使徒を噛み砕いたのは再度覚醒したかったというよりも、“再度シン化したかった“からではないでしょうか?

じゃぁシン化って何のためにあるんだろう?と考える前に、エヴァ機体のシン化に必要な条件を明らかにしておこうと思います。
使徒の贄を捧げた時にシン化が行えるのであれば

・破では初号機が第10の使徒を贄としたことで擬似シン化
・Qでは13号機が第12の使徒を贄としたことでシン化
・シンエヴァでは13号機が第9の使徒を贄としたことで再度シン化している。

でもどうして初号機覚醒時は"擬似"シン化だけに留まってしまったのでしょう?
それに対し、Qで13号機が覚醒し白くなった時にアスカは「コイツ、擬似シン化形態を超えている?!」と言っているので13号機は初号機以上の状態、完全にシン化した状態であると推測されます。初号機と13号機の違いは何なのか?

先ほどエヴァ機体の覚醒の条件も定義し、その中に高シンクロパイロットが必要だとしていましたが、もしかしてシン化の条件にもパイロットが関係しており、覚醒とシン化で必要なパイロットが違うのではないかと考えました。

擬似シン化した初号機のパイロットはシンジ君
Qでシン化した13号機のパイロットはシンジ君とカヲル君
シンエヴァで再度シン化した13号機のパイロットはカヲル君と式波アスカ

ちゃんとシン化できた13号機にはカヲル君が乗っていることが分かりますよね。
リリンだけではエヴァ機体を覚醒と擬似シン化までしかさせてあげられない。
使徒であるパイロットのみエヴァを完全にシン化させてあげられるのではないでしょうか?

画像6

シンジ君は破のラストで高シンクロによりシン化の影響を受け目が赤く発光しましたが結果はリリンモドキで留まってしまったため初号機はシン化しきらなかった。
それにQのニアフォースインパクト開始時にシンジ君の目は特に赤くなったりもしていないので13号機のシン化にシンジ君は関わっていないことになります。
13号機が擬似シン化形態を超えることができたのはもう1人のパイロットであるカヲル君の使徒の力によるもの。だからDSSチョーカーも反応したのでしょう。
13号機が再びシン化できたのもカヲル君が乗っていたからだと考えます。

ところで第3村でアスカは黒波に「私たち(クローンの)エヴァパイロットは人の域を超えないように“調整“されている。」と言っていました。
アスカは使徒に侵食されたためイレギュラーに人ではなくなってしまいましたが、マリが高シンクロパイロットなのにリリンモドキで留まっているのはクローンであり調整されていたからでしょう。ではリリンモドキのシンジ君はクローンではないのか?と疑問が生まれます。
そういえばどうして式波オリジナルではなく式波アスカがパイロットとして選ばれたのか?という話で式波オリジナルにはコアに母親の魂が入っていないとエヴァに乗れないからコアに誰の魂も入れなくていいクローンが選ばれたのだと説明しました。
それと同じでシンジ君は本来なら初号機にしか乗れないはずです。でもどうして13号機に乗れたのか?やっぱりクローンなのか?と思いますよね。
なので一旦そこの疑問も解決しておきましょうか。

シンジ君はクローンじゃないの?
結論を先に書くとシンジ君はクローンではありません。シンジ君だけは生身の人間でオリジナルです。
初号機だけはユイがコアに入ってしまった時点で生身の人で尚且つユイの息子であるシンジ君でなければ乗せることができなくなっています。クローン化させておくとコアに魂が必要なくなりますがオリジナルの魂とクローンの魂は別物になるので、クローンシンジ君を初号機に乗せようとすると今度はコアに入っているユイが拒絶してしまいます。
だからゲンドウはシンジ君でなくても初号機を動かせるようにするにはクローンという方法がとれないからダミープラグを使うしかなかったのです。それすら拒絶されてしまいましたが。

それにシンジ君だけでなく式波オリジナルも生身の人間ですが13号機には乗れていました。それはもう1人のパイロットがカヲル君だったからです。彼はエヴァとシンクロなんてしなくても外部からエヴァを自在に動かせた使徒です。13号機のコアはひとつでしたのでアダムスであるカヲル君がいればもう片方のパイロットの母親は必要ない。起動には2人のパイロットが必要ですが、人数さえ揃えられれば片方クローンでもない生身の人間であってもカヲル君の能力経由で起動させられるのだと思います。まぁなんと言いますか、車の仮免みたいなものや限定解除装置だと思っていただければ。
コアに母親の魂が入っていない、クローンでもない生身の人間を無免許とすると、エヴァに乗る時は隣に渚カヲルという教官が乗っててくれたらエヴァに乗って公道走れるって感じです。

ではクローンではないシンジ君はどうしてリリンモドキで留まってしまったのか?
それはシンジ君が生身のリリンだからです。シン化の条件はパイロットが元々使徒であるかシト化した者であるためシンジ君は初号機を完全なシン化にしてあげられず擬似シン化にとどまってしまった。擬似シン化にとどまったから人の域を外れずにリリン"モドキ"で済んでいるんです。
よってシンジ君がクローンだから抑制されて擬似シン化になってしまったわけではない、としました。でもシンジ君がもしビースト化を行なっていたら抑制機能が備わっていないのでもしかしたら人じゃない何かになっていたかもしれませんね。

…とまあ、よくよく考えたらシンジ君以外組全員クローン体っていう中々な設定ですよね。

レイ→言わずもがなクローン体。オリジナルはユイで魂はリリス
アスカ→新劇場版でクローン発覚、しかもオリジナルはもう一体の方
マリ→オリジナルはユイの同級生だが記憶を持ちながらもシンジ君達と同世代に生きるためクローン体へ
カヲル→旧作の時からゼーレが保険として用意していたクローン体でオリジナルは旧作24話のカヲル。アダムス1体の魂を入れてあるため記憶を保持している。

これってオリジナルがリアリティ(現実)でクローンがイマジナリー(虚構)と見ることもできますよね。
でもシンジ君にとってそんなことは関係ない。たとえクローンであろうと自分を好きになり、愛してくれたことは変わらない。目の前にあることだけがリアリティなんですね。

実は生き返ってるカヲル君

ところでここまで話してきて、いろんなことがカヲル君の持つ使徒の力でサポートされてきている事がわかりましたが、カヲル君は死んだはずじゃないの?肉体無いのにエヴァは起動できるの?という疑問も沸くかと思います。
実際問題ダミープラグの中に魂の無いレイの肉体が入れられていることからも、エヴァの起動には魂よりも肉体が必要であることが明らかです。
カヲル君の魂は13号機のエントリープラグ内に保存されていますがQで爆死したため肉体はもう無く、肉片も全部LCL化しているはずです。しかし現実にはカヲル君の力を借りてないとどうにも証明できない事が数多く起こっているので“存在している”わけです。
彼が13号機の中に“いる”というのは式波アスカが式波オリジナルに干渉された時に分かります。アスカの目の前に式波オリジナルが現れたちょい手前にカヲル君の影らしきものが一瞬見えるので次観に行く機会があればぜひ見てください。私は初見時13号機には絶対カヲいるや〜んって思いながら見ていたのでむしろ式波オリジナルに気付く前にカヲル君の影へ先に目がいってしまい「やっぱりいた〜!!」と歓喜していたら目の前にもう1人アスカが現れて「??」と混乱しました。

カヲル君が生きてる、とすれば魂の入っていないクローンを1体プラグの中に投入したんじゃないか?となるわけですが、これは4月11日に行われた監督陣舞台挨拶時の前田監督の「13号機にはカヲル君の“複製体“が入っている」というコメントと、その直後に山下いくとさんがツイートしてくださった「装置」の内容から真相が分かっています。
なんとカヲル君が入っていたエントリープラグに「再構成装置」なるものを入れて、LCLに戻ってしまったカヲル君の肉体を時間をかけてでも元に戻そうとしていました。だから13号機の再起動に時間がかかったんです。13号機に乗っていたカヲル君は複製体ではなく"再構成体"と呼ぶ方がいいのかもしれませんね。

これ、考えてみれば納得なんですが、カヲル君のクローン体はゼーレが月に保管しているため取りに行くには苦労しますし、空白の14年間中にゲンドウと冬月が彼の遺伝子情報を手に入れようとしても使徒で睡眠の必要もないカヲル君が簡単に捕まるわけがないのでネルフでクローン体を用意することは物理的に困難でした。
13号機を動かすだけならアドバンスド綾波シリーズをもう1体作っておいて式波オリジナルと一緒に乗せればいい話なのですが、ゲンドウの願いは13号機と一体化しトリガーにならなければ叶いません。そしてアダムス素体である13号機をインパクトのトリガーにするにはアダムスの魂を持つカヲル君をエントリーさせていることが絶対条件ですのでアドバンスド綾波シリーズではダメなのです。
アダムスの使用表を参照していただければ分かると思いますが9体いるアダムスの魂はそれぞれ別のものに使われているので、たくさんカヲルクローン体を用意していても1つの世界でアダムスの魂を入れてもらえるのは1体だけです。なので魂を入れてもらっていないクローン体はアダムスの力を持っていません。よってカヲル君の魂は替えがきかないのでエントリープラグを抜き出して他のカヲルクローンが入ったプラグを入れたって13号機はインパクトのトリガーにはなれないのです。
そのためカヲル君のプラグを抜き出すことも新しい肉体も用意してあげられないけどなんとかして13号機を再起動・インパクトのトリガーにしたいゲンドウはカヲル君の肉体を「再構成」するしか方法が無かったんです。
ということはですね、13号機が再起動したと同時にカヲル君の肉体は再構成が完了しているんです。

でも舞台挨拶で前田監督は「“不完全な“カヲル」とも言っていました。
‪おそらくカヲル君の魂はプラグ内に入ったまま、再構成された肉体に魂は入っていなかったんじゃないかと。これは山下いくとさんの再構成装置ツイートにも「魂はもうそこにはなくとも」と書いてあるのでプラグ内で肉体と魂はまだ分離してる状態だったことは確定でしょう。
それでも肉体さえあればエヴァは起動できる。ダミープラグに近しい状態にしたという事でしょうね。

ゲンドウ君の目的は使徒化した姫か!

13号機を再度シン化させるためには使徒の贄が必要ですが、この時点で使徒として機能しそうな存在はもうほとんど残っていませんでした。アダムスを使おうにも魂と肉体をバラバラに使ってしまっていましたし。(7シリーズなんて意味わからないものに使わずに取っておけばよかったのに)
そうなると使徒を体内に封印していて、向こうからノコノコやってきてくれそうな子を待っていた方が楽じゃないか?となるわけです。
3号機起動実験は初号機に使徒のコアを摂取させる目的でしたが、この時点でアスカを使徒化させておくのもゲンドウの準備の一つだったのかもしれませんよね。
でも使徒の贄として使うだけなら使徒化した式波アスカのプラグを噛み砕けば手間が少なくていいのでは?何故わざわざオリジナルに使徒の力だけ奪わせそちらを贄にしたのか?と思ったのですがこれはゲンドウの慎重な性格が出ているな、と感じる答えに辿りつきました。
噛み砕かれる前に式波アスカがDSSチョーカーを作動させ自殺されるおそれの防止でしょう。
アスカが先に死んでしまうと噛み砕く意味が無くなりますから、確実に使徒の贄として捧げるにはまず式波オリジナルに使徒の力を奪わせチョーカーを外させた上でオリジナルの方の使徒化したエントリープラグを噛み砕いてしまうのが安全策です。

式波オリジナルは使徒だったのか?
というと使徒では無いと思います。もし使徒だったなら13号機のパイロットはアドバンスド綾波でも乗せて最初から式波オリジナルを噛み砕いてしまえば事足ります。
13号機にはATフィールドがないのでカヲル君の力を借りればどんな機体にも侵食し干渉できるでしょうから新2号機を手刀で刺した時に13号機は物理侵食をしています。式波アスカのエントリープラグの中に式波オリジナルが現れた…その前にカヲル君の影が映っていたのは“カヲル君の力を借りて干渉してきた”という意味でもあるんでしょう。
Qの時からこの機体はなんでATフィールドないんやろ?と疑問に思っていましたがこういう時のために、他のエヴァへ容易に干渉できるようにしてたんですね。13号機は2人乗りなので何かあって片方のパイロットが欠けた時に他のエヴァ機体からパイロットを奪いやすいようにしていたのかもしれません。

式波アスカから使徒の力を奪ったことで今度は式波オリジナルの方が使徒となっているわけですが、13号機に噛み砕かせることでパイロットはまた1人不在となってしまうため、新2号機から引き抜いた式波アスカのプラグを入れ替わりのように入れています。
式波アスカの方はそこからしばらく13号機の中で気絶していたのですが、
ゲンドウがカヲル君を自爆に追い込み一旦魂と肉体を分離させた後に肉体だけ再構成したのも、アスカから使徒を奪い気絶させたのも、13号機を起動させるための体だけが欲しいからです。
全てはゲンドウ自身が13号機と一体化し、意のままに動かしたいから。それにはカヲル君やアスカ本人達の“意思“が邪魔だったんです。
実はこれがエヴァ機体のシン化を読み解くヒントでもあります。

なぜエヴァ機体のシン化が必要なのか?

使徒を噛み砕くことが覚醒に必要なことならなぜQですでに覚醒済みの13号機はシンでまた必要工程を繰り返そうとしているのか?シン化を起こす条件は整理しましたが、そもそもシン化とは何のために必要なんでしょう?
それが分かりそうな決定的シーンがありました。
ゲンドウが13号機の口の中に入ったシーンです。ゲンドウを取り込んだと同時にシン化はおさまりますので、もしかしたらシン化ってダイレクトエントリーに必要なことなのではないでしょうか?(13号機、コア丸見え機体なのにゲンドウは口から入るんですね…原初的方法)
なら先ほど述べた、ゲンドウは自分が13号機を意のままに動かしたいから乗っているパイロットの意思が邪魔であるというのも納得がいきます。

13号機に入りたいだけならユイが初号機に入った時と同じ機械使えばええんやないのん?と思ったのですが、それは必ず成功するとは限らない方法なのでしょう。
コアの中に先に誰か入っていたら次の入居者は拒絶される可能性もありますし。
「シン化」とは、コアにたとえ誰が先に入っていようとも有無を言わさず追い出してダイレクトエントリーできる確実性の高い方法、「強制ダイレクトエントリーモード」なのだと推測します。
ゲンドウがどうして保険に保険をかけるようなほど確実性を求めるのか、それは本人の完璧主義な性格もありそうですが、
肉体を無くしてもなお13号機のコアに入って計画の邪魔をしてきそうな脅威となる存在がいたからだとも思っています。もちろん渚カヲルですね。
コアに誰が入っているのかは入ってみないと分からない。いるかもしれないし、いないかもしれない。ここで誰か入っているかもしれないし追い出されるかもしれないけどとりあえず試してみる人と、念には念をで確実に自分がコアの主になれる方法を選ぶ人に分かれると思いますがゲンドウの性格的に後者ですね。

じゃあQでシン化した13号機や破で擬似シン化した初号機はなんなんだ?と考えると、この「シン化=強制ダイレクトエントリーモード」論の信憑性が高まるので説明していきましょう。

Qでシン化した13号機は何のため?
ゲンドウはそもそもQのフォースインパクトこそが本命で、そこで全てを完了させるつもりでした。
なので13号機がシン化したタイミングでゲンドウは乗り込もうと思っていた。
→渚カヲル「させるか!(槍ブスッ!)」→シン化も解除されインパクトも中断
だったためダイレクトエントリーは未遂に終わっています。
でもカヲル君死んだらパイロットが足りずに13号機動かせなくなるんじゃないの?と思うかもしれませんが破ではパイロット無人のはずなのにダミープラグを拒絶しまくってた初号機の例があるように、コアにダイレクトエントリーさえしてしまえばあとはパイロット不要で動かせるので問題ありません。
カヲル君とシンジ君の悲愴な会話シーン中にいきなり親父が入ってきたら2人はびっくりしてしまうと思いますので未遂で済んで良かったなぁと思います。

破で擬似シン化した初号機は何のため?
初号機がゼルエルこと第10の使徒のコアから引き抜いた零号機のコアは真っ赤な巨大綾波となり初号機のコアに溶けて入っていくシーンがありましたがこれがシン化によるコアへの強制ダイレクトエントリーとなっています。
初号機のコアにユイの魂とレイ(リリス)の魂を一緒に保存しておくことこそがゲンドウの計画の重要項目です。

ということで、覚醒とシン化は使徒を噛み砕くことで同時に起こせるがその効果や必要なものは別だということが分かりました。
まとめると

「覚醒」とは
コピー素体のエヴァをアダムスと同格までランクアップさせること。実質エヴァの使徒化です。使徒のS2機関を摂取することで覚醒可能になります。コピー素体のエヴァをインパクトのトリガーにするには覚醒しておくことが必須条件。

「シン化」とは
人がエヴァのコアへ強制ダイレクトエントリーするためのモード。
すでに覚醒しているか、元々アダムス素体のエヴァが使徒の魂を「贄」として捧げることで発動するモードです。

さて、シン化が何なのかが分かったところで、もう一つ判明したことがあります。

ユイはどうしてシンジ君の中にいた?

ゲンドウはシンジ君と精神電車の中で対話した後にユイの魂がシンジ君の中にいたことに気付き、電車から下車します。
私はユイとレイの2人は初号機のコアに入っていると思っていたのでなんでユイの魂が2箇所に分かれてるの??と疑問でした。よくある心理描写なだけか?とも。
ですが、先ほど破で初号機が擬似シン化したのは何のためか?と説明しましたが、それで分かりました。実はあの時ゲンドウの計画外なことが起こっていたんです。もはや事故に近いです。

ユイはコアへのダイレクトエントリー実験で消えてしまったため、序破までは初号機のコアの中にいたことは確定です。ダミープラグを拒絶していたりすることからゲンドウもそうだと思っていたわけですし。
Qで冬月はシンジ君に初号機の中にユイとレイの魂を保存しておくことがゲンドウの計画であると教えていますが、実はなんとこの時点ではもうユイはすでに初号機から離脱しており初号機の制御システムはレイになっています。
破のラストでシンジ君の魂はシンクロしすぎによりエントリープラグ内のLCLに溶けましたが、レイはコアの方へ溶けてしまいましたね。なのでQでシンジ君がサルベージされた際にレイは復元できなかったというわけです。
ここまでは考察第3章後編でシンジ君のシンクロ率が0%なのはなぜか?というところで解説したことと変わらず、レイがシンジ君をシンクロさせないように初号機に残っているで合っていました。

ゲンドウの計画では、レイがユイの遺伝子から作られたものなのでコアに入ればユイ(オリジナル)へ同化してくれるだろうと思っていました。
ですが、擬似シン化し強制ダイレクトエントリーモードでコアにレイが入ってきたと同時にユイは追い出されてしまいます。
入れる魂の数は1つしか無いのか、まあエヴァ機体を人の体だと思えば納得なのですが、1つの肉体に霊魂が2つ入ってるってありえないですよね。初号機はリリスのコピーを素体としていますし、所詮はユイも人の魂なのでエヴァからしたら異物です。ならば本物のリリスの魂を持つレイの方が初号機と強く結合できそうです。

なぜレイがオリジナルのユイに同化できなかったのか?
それはレイの魂が変質しユイとは別物になっていたからなのではないかと思います。
シンジ君と出会ったばかりのレイの心はゲンドウに向いていたためレイ≒ユイでしたが、破ではレイの心が成長しなんとなくユイとは別の女になってきているなぁと感じていたのでレイ≠ユイとなりました。
レイを変えたのはシンジ君への恋心でしょうかね。綾波タイプは第3の少年に好意を持つよう調整されていたそうですが、それが仇になりましたね。
そんなことがあり破のラスト時点で初号機のコアにはレイが、ユイはシンジ君の中に身を隠すことができています。ユイが自分の意思で初号機から出てシンジ君の中に入ったのかもしれませんが。
なのでゲンドウはアディショナルインパクトを起こしこれでやっとユイに会える!と思っていたのに初号機の中にいたのはなぜかレイだけだった…という状況だったのです。
「もういいのか?レイ」と聞いたり「どこなんだユイ!ここにいるのはみんなレイか!」と言っていたのはそういうことですね。ゲンドウはまさか初号機の中にもうユイがいないということに気づいていなかったんです。
と言ってもユイは最後にまた初号機の中に戻ります。シンジ君の代わりとなって…

ゲンドウはシンジ君の中にユイを見つけたことで、シンジ君の願いを叶えることがユイと一緒にいられることなんだと悟っています。ユイが初号機の中に残りっぱなしだったらゲンドウはユイの真意も知らないまま無理矢理ユイに再会して怒られていたかもしれませんね。

ゲンドウの補完

「ユイを再構成するためのマテリアルとしてシンジが必要か否か最後までわからなかった」とゲンドウは言っていました。
「第3の少年がヴィレに戻った」と冬月が報告していることからもわかるように、インパクトを起こしてユイに会うためにはシンジ君が必要なのではないか…?という疑念があったんですね。
ここまでやっておいて、シンジ君を連れてきていなかったがためにユイに会えなかった…となるとゲンドウがやってきたことは水の泡ですから。結果としてユイは初号機の中にはおらず、シンジ君の中にいたためシンジ君を連れてきておくことは正解でした。
しかし結局のところシンジ君を見るとき、ゲンドウは間にユイを経由している。ユイという目的無しにシンジ君と直で向き合うことが怖くてできなかった。それでもユイを再構成したいという目的のためにシンジ君を呼ぶしかなくて、自分の目的を知ったらシンジ君は母越しに見られていることに傷ついてしまう。
シンジ君を意図的に遠ざけていたのはゲンドウなりの贖罪で、ものすごく不器用ながらも息子を愛していたんですね。不器用すぎるぞ…。

ところで旧作ではシンジ君含めみんな何かしらの欠点や勝てないものがありました。それに比べて新劇場版ではそれを克服してるなぁと思うことがあって、

(例)
旧作で団欒が苦手だったシンジ君→今作では平気になってる
人形だったレイ→かなり早い段階で自分は人形じゃないと思うようになってる
数字や順位を気にするアスカ→他人に勝てない部分を認められるようになってる
生きる意味も死ぬ意味も分からなかったカヲル→生きたいと思うようになってる
上司としては不十分なミサト→最後までシンジ君の上司として責任を全うした

という感じでもちろん他の人達にもそれを感じる部分がありました。
旧作はシンジ君が自己と他人を認識し向き合っていく物語だと感じていましたが今作はシンジ君ってもう自己のことも他人の存在も認めていて、今度はシンジ君が大人になっていくための物語になってるんです。シンエヴァで旧作の登場人物達を救済することはあっても、自己に向き合う必要はもう無いんですよね。
その中でしかしまあなんというか、ゲンドウだけ旧作からあんまり進歩してないぞ?とも感じていました。

それってもしかして、旧劇でゲンドウだけが補完されなかったからなのかもしれませんね。(死んだあとにLCL化したかもしれないけど爆死したミサトでさえ綾波のお迎えが来ていたしゲンドウにはお迎えが来ていない)
旧作と新劇の間に2〜n回目の世界が存在したということは旧劇後に何年、何千年かかったのかはわかりませんがみんなLCLから復元されたのでしょうし、LCL化によって他人と自己も記憶も共有することにより人は自分の欠点を少しだけ補って次の世界にいけたのかもしれません。その何度も繰り返されてきた世界でゲンドウだけはずっと補完されてこなかったんじゃないかと。
最後にユイと、エヴァと一緒に消えるという道を選びましたがゲンドウもやっと補完されたんだなぁと感じてます。シンエヴァはセカンド旧劇。今度はゲンドウが自分と向き合うためのお話でもあったんですね。

ガフの扉と地獄の門は別物?誰がいつ開けたのか?(2021/09/01追記分)

シンエヴァではなぜ南極で「再び地獄の門が開いて」いたのか?誰がいつどのタイミングで開いたのか?もし開くとしたら13号機が第9使徒を贄としたタイミングではないのだろうか?と
Masaki kuwako様からのコメントにてご質問いただき、私も説明が抜けていた部分だと感じましたのでこちらにて追記を兼ねて説明を行っていきますね。

まず問題のセリフとなるのがセカンドインパクト爆心地を降下するネルフ戦艦を見た際ミサトの「地獄の門が再び開いている…」という部分。
その後にすぐ「まさか…セカンドインパクトと同じ方術でフォースを起こすつもりか」と言います。
しかしインパクトの開始時に開くものと言えば「ガフの扉」ですので、わざわざ「地獄の門」と別名称で言う必要はないと思うのです。

推測ではありますが、シンエヴァではネルフ戦艦2機が降下していく時にガフの扉(赤い同心円状の模様)は広がり、その向こうにはナスカの地上絵のような模様とその中心に穴が開いている景色が広がっていました。
おそらくこの穴が「地獄の門」ではないかと。つまりガフの扉と地獄の門は別物で、ガフの扉を開けた先にさらに地獄の門があるという認識です。
巨大綾波と化したエヴァイマジナリーはこの門を通って現世に現れていました。
ここの記事に書いた内容と照らし合わせると、セカンドインパクトはアダムベースのみで開始されたインパクトですのでガフの扉を開いた後にこの地獄の門からアダムベースにしか認知することができないエヴァイマジナリーが召喚されている…ということになります。
当時ミサトはそれを目撃しているはずです。しかしミサトはリリン。リリスベースである生物には認知できませんので地獄の門が開いたことは目視できても何が起こっているのかは分からなかった。そしてミサトは父が起こしたなんらかの行動により地獄の門が閉じたことも見ていた…のではないでしょうか。
(もしかしたらリリン達には見えていないだけで、セカンドインパクト跡地にある巨大な5本目の十字架の下にはアダムベースのエヴァイマジナリーがずっと封印されていたのかもしれませんね…)

ではフォースインパクトで使用されることとなるその地獄の門およびガフの扉は誰が開けておいたのか?というのが次の疑問となるわけですが、シンエヴァのどこを見渡しても誰もガフの扉を出現させる行動を起こしていません。
(コメントくださったMasaki kuwakoさんにお見落としは無いと思いますのでご安心ください。)
これはセカンドインパクトの時から開きっぱなしだったのではないか?と考えています。
破やQのラストでも描写されているように初期段階で止めればガフの扉は閉まり、消失してしまうはずのものです。
ですが、破でゲンドウと冬月が月に行く宇宙船の中から地球を見た時にちょうど南極のインパクト跡地が見えますが、虹色のガフの扉がずっと残っていて、アップで映った際に虹色の部分が微妙に動いていることと中心に4本の十字架が立っていることが分かります。
このことからセカンドインパクトは終了したというよりも一時停止状態であり、地獄の門は閉じることに成功しているかもしれないがガフの扉は開いたままで再開に必要な代替品(主にアダムス)を揃えてあげればまたすぐに門を開くことができる状態であったのだと仮定できます。

セカンドインパクトで地獄の門を開くことに使われたアダムスは4体、となればフォースインパクトで代替されたアダムスはネルフ戦艦3機(Mark.10〜12)と7シリーズの大元であろうMark.07か13号機のどちらかを使いヴンダー(リリス)が到着するより先に門を開いておいたのだろうと思われます。
2代目Mark.09とヴンダーでアダムス1体と換算し戦艦4機で門を開けることもできるでしょうが、ヴンダーのことをリリスの情報だけを送り込む装置としてしか使わなかったのは念には念をでヴィレに抵抗され目的遂行の邪魔をされる心配を極力排除したかったから。というのが私の出した結論です。

─────────────────────────────────────ということで第2部では新劇場版の世界がどうやって構成されていたのか、ゲンドウの目的は何だったのか、どうしてシンジ君に主導権を渡すことにしたのかなどなど、だいぶわかってきましたね。
個人的にはアダムスのあたりをストンと腑に落とせるとこまでもっていくことができたのが良かった。これを書き終えた今とてもスッキリしています。
第3部ではシンジ君が主導権を持ったインパクトがどうなったのかや、マイナス宇宙での出来事、エヴァが無くなった世界はどうなっているのかについて考えていきます。

この記事を読んでははぁ〜なるほどね〜だけで終わっちゃだめですよ!
私がこれを書いたのはシンエヴァを120%楽しんで欲しいからなんです!
こいつの言っていることの真偽を確かめに行ってやる!ともう一度旧劇を観直してみたり映画館に足を運んでいただきたいのです!そしてあなた様なりのエヴァンゲリオン解釈を組み上げてほしい。
そして碇シンジ君を100億の男にするのです!!!ぜひご協力お願いいたします。(追記:シンジ君、100億の男になりましたね!!)


第2部は長めでしたが、ここまで読んでくださりありがとうございました!
シンエヴァ解説&考察3分の2読了記念に「スキ♡」していただけますと私も好きになってしまうかもしれません。(noteアカウントを持っていない方でもどなたでも押せますよ♡)

続けて第3部も読む!

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