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何年経ってもツンデレな美人さんへ。

我が家には3匹の猫がいる。全部別ルートからの保護したメス猫。
飼うなら保護猫にしようと思った訳では無く、一緒に住むならご縁で出会った猫にしよう、と私が軽〜く考えたからだった。

今日は1匹目のこーちゃんについて・・・ちょうど○ーグルフォトさんがこの猫の写真をまとめて送ってきた(最近のアプリはそうやって昔の写真を見せてくれるから便利だ)ので懐かしく思いながら。

彼女は 猫を飼おう、という私の提案で2009年に家族四人でレスキューセンターに行き出会った猫だ。
そこは獣医さん経営・公費からの補助が多少入るレスキューセンターで、犬猫のほかにウマとかニワトリとかから爬虫類までいるという話だった。受付で猫が欲しいというと、猫のケージがならんだ部屋に案内された。
子供達は大喜びであれこれの猫と戯れる。その中でこーちゃんは開け放たれたケージから出てこない猫で、それが逆に私の気をひいた。

「昨日治療棟からこちらのオープンルームに出てきたばかりなんですよ」

あの猫を触らせてもらえますか、とお願いしたら、職員さんがケージからその猫を抱き上げながら言ったのだ。

いわく、前の飼い主さんのところでは外猫だったらしい。ある日交通事故にあって、飼い主さんがその治療費は払えない、ということでそのままこのセンターが治療をしながら保護したようだ。

「背骨を折る大怪我で。でもやっと回復して今のところ大きな不具合もなく暮らしています。ただ、この先事故による後遺症が出ないとは言い切れませんが」

もともとの性格もあるらしいが、きっといろんな治療を受けたせいもあるのだろう、警戒心が強く人間に触られるのを嫌う猫だった。でも私はもうこの猫を連れていく、とひとりで決めていた。子供達はどの猫もかわいくて決められず、結局この猫を私達は引き取ることにした。引き取り賃とセンター運営への寄付分ふくめて、$150くらいだったと思う。

こーちゃんと呼んでいるが本名はSquirt(ぴゅっとでる、ほとばしる、とか「生意気」とかという意味). 

家族になった翌朝の写真。初めて「我が家」になるところに連れてこられて不安だったのだろう、子供たち用のバスルームの、洗面シンクに丸くなって収まっていた。

Squirtという発音は、もう最初から「私の発音出来ないヤツだ」と諦めて「こーちゃん」という愛称をつけた。オットが「こーすけ」と呼ぶもので、よく雄かと間違われるのだが、美人さんのメス猫だ。というか、名前の通り高飛車でワガママなので「女王様」とも呼ばれている。

室内猫にしようと決めていたが、こんな姿をみていると時々は庭にだしてやろうか、という気になる。でも家から離れるのは怖いらしく、すぐ帰ってくるしそれほど外にいたいわけでもないようなので、夏の朝とか、気持ちの良い季節だけちょっと庭に出してやる。

雪が降っていると飽きずにじーっと見ているのは人間の子供と一緒。

私達に触られるのを今でもあまり喜ばない。撫でても機嫌がよくないと「しゃーっ」という。これはもうトレードマークみたいなもので、最近は思い出した様にこの「しゃーっ」がでるとみんな大笑いするほど。

家族にした当時に小学校に上がるか上がらないかくらいだった子供達を、「自分が面倒みないといけない」と思っているフシがある。いまだに娘(もう21歳になる)が泣き真似をすると慌てて寄ってきて「私がいるから泣かないで」というように甘えるし、息子が大学の休みで帰省するとものすごく嬉しそうに息子の部屋に入り浸って一緒に寝起きする。なかなか近寄って来ないこーちゃんがこんなに近くにいるのはほとんど彼にだけだ。

泣き真似する娘と愛想を振りまくこーちゃん。娘はすでに笑いが堪えられない。
猫じゃらし(おもちゃ)がある場所を覚え、こっそりそれを出そうと引き出しを開けることを覚えた。留守中に引き出しの中身が散乱し大変なことになったので、この猫のおもちゃを置く場所は変えた。
TVやモニター上の動く点と戦うことも。家人が見ているのに気付くと慌てて止めるけど。これは多分ピタゴラスイッチの「10本アニメ」と戦っている。

2009年に「1歳くらいの猫(誕生日は不明)」ということでレスキューセンターから家族に迎え入れてから13年。当時細かった猫だったが、いまは幸せそうにふくふくとしている。

2010年、子供達に宿題はやらせない、私と遊べと言わんばかりなこーちゃん。
2022年、いつの間にそんなに丸くなったんだ、君は。かわいいけど。

最近子供達が大学で家を出てしまい、家ががらんとしたのが寂しいのだろうか。こんな気むずかし屋でも時々私やオットのところにきて近くで座り込んだり、ちょっと撫でてみ?とすり寄ってくる。(何度か撫でると「もういい、もう触るな」と機嫌の悪い声を出すところは変わらない。)
私達が旅行前にスーツケースを引っ張り出すと、その上だったり中だったりに「座り込みボイコット運動」をしかける。数日留守にしたり、誰かが長期の旅行なんかに行くとこっそり家の中で嫌がらせをしたりする。
そして家をあけていた家人が帰宅すると、嫌でも目につく場所からじっと見つめる、「まずアタシに挨拶は?」といわんばかり。

多分すっかり「家族」なので保護したと思い出すこともほとんどないし、ましてや保護してあげた、とも思わない。家族になってくれて、今心を許してくれていることに、そこで寝ていて撫でると「やめろぉ」と言いたげに機嫌の悪い声を出す相変わらずの女王様でいてくれてくれることに、ただ感謝と愛しかない。

それでも、愛する家族のことを書いておくのはいいかなと思った。
今日も不機嫌そうに、でも「おはよう、ちょっとなら撫でてみてもいいわよ」的に足許に座るこーちゃんは本当に愛おしい。一度目撫でたときは小さく「にゃっ」と言い、もう一度撫でると不機嫌に低く「うにゃーーーーー」という。抗議の気持ちが声に乗るのがオカシイ。照れなのか、その声は?ツンデレも毎日だと ただのギャグだ。

もう老猫というくくりに入りそうだけれど、もう少し そのツンデレで皆を笑わせて欲しい。あなたを大好きな息子が帰省したい気持ちになるように、元気にしゃーしゃー言い続けて欲しい。

箱や袋があれば入ってしまうのは猫の性。



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