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ずる休み

ずる休みをすることにした。
なんだろう、この言葉のもつ後ろめたさ・・・いや、ここは「えー、ずるやすみ、ってなんか響きがかわいくない?」くらいで笑っておこう。そう思っておかないと後ろめたさで自分を責め殺しそうだ。

そう、響きがカワイイ「ずる休み」を決行するんだ、今日は。

たいしたことではない。
私の所属する人権擁護団体で、92歳になる支部メンバーNさんのちょっとした「トークイベント」をするというだけ。
なぜか成り行きでその窓口になってしまい、その日の仕出し弁当の数を取りまとめたりしていた。それも別にいいのだ。普通にやったらたいした事じゃないから。
問題はその92歳のNさんの娘さん、P嬢とのやりとりが私の生活時間を無視して食い込んできたこと。
何度も言ったのだけれど、もういい加減腹が立ってずる休みをすることにした。こういうとき持病持ちは口実があっていい。

P嬢はとにかくすぐ電話をかけてくる、私に。ここ最近は1日に4-5回。私のオットになるひとですら結婚前2-3日に一回だったぞ。(今は家の中でテキストしあう二人です)

私は電話が苦手だ。英語なら尚更。
でもそれ以上に頻回の電話、しかも「それ聞いてどうするの」な内容、そして「夜九時以降でも平気でかけてくる」のが理解できない。夜7時以降はプライベートの時間なので出ませんよ、と言ってもかけてくる。
ねぇ、世の中では親しいわけじゃ無い人に、明日まで待てる話でも普通に夜に電話かけるものなんですか?(もっというと、仕事でこういうナンでもかんでもすぐ電話してきて尋ねる、みたいなことをする同僚がいたらもう口をきかないとおもう。)

P嬢の気持ちが全くわからないわけではない。お父様のNさんは人生をかけて家族・友人を守るために忠誠心を示すために志願して軍人になったわけだし、そのひとりの人の人生から学ぶことは沢山あると思う。ましてや実父で、そのことを伝えたいという気持ちは素晴らしいし、自分がプロモートしなきゃ、というのはよくわかる。
でも日系アメリカ人の70代〜90代の方はみんなそんな感じなのだ。おなじ苦しい中から家族を守るだけでは子々孫々まで守れない、と、政治の世界に出たり法律という武器を身につけて立ち上がったり地域をまとめたり、本当にみんなスゴい人たちだ。そして申し訳ないけれど、Nさんご自身のストーリーは素晴らしいのだけれど私達の団体の中ではありふれたもの。というか、会員の7〜8割がそういう人の家族で今も人権意識は高い。
そんな中でNさんの(身内からの依頼で)トークイベント準備に、忙しい会員や役員達の時間をそんなに使うべきものか、私には(というか私達役員一同)よくわからない。

50年も支部会員だし「このお年だし」ということで今回の会を請われるまま予定したけれど、いやほんと、私は仕事の部下ですか、これはそういう重大な仕事ですか、な勢いで私の時間に食い込んでくる電話。
一昨夜11時の電話の内容は「それで、ここの支部からは何人参加してくれるの」だった。(寝ていたのだが留守電に入っていた)「あとで時間のあるときテキストして」と入ってたから、それを読んだ早朝の3時半に返信した(もちろん怒り心頭で)。私は夜11時前には普通に寝ます。

わからんかな、ひとには生活のリズムってもんがあって、「生活をかける仕事」以外でそこに電話をかけるっていうのはプライベートを無視した行動だって事を。ついでにいうと参加人数は昼間にメールとテキストで送ってあったんだが。というか連日2回聞かれるからその度答えてたんだが。

そして昨日のこと。日中ではあるが私が他の用事をしている最中に(いくら私でも他の人との約束や、中座できない会合とかだってある)続けざまに3回の電話。それも「今電話に出られない」というメッセージが折り返しのテキストで届くようになっているにもかかわらず、だ。そして相変わらずどうでもいい話だった。

その用事のあと、留守電でP嬢に頼まれたその仕事を片付けて そのまま役員全員へのメールに送った。
「すいません、体調不良で明日参加出来そうにありません」

ずる休みすれば片付くことではないと分かっている。

本当に、時々だが距離感を勘違いするひとの多いことよ。
私は世の中で一番高いものは それぞれのヒトの時間だと思っているからかもしれないが、久し振りに堪忍袋の緒が切れるところまできた。

だから今日は仮病。
たまには、いいでしょ。


まぁ、電話の好きな人、というのは確かにいるからね。
でもずる休みを決意するくらい私を苛立たせた人は本当に十数年ぶり。私の時間を奪ってる自覚、持てよなぁ。
でもはっきり自覚はした、私の価値観の中で「個人(相手)の時間」を大事にするという考え方はかなり重要なんだなぁと。

ずる休み、を選択肢に入れられる立場で良かったよ。

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