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ようこそNIKONOS III

私のフィルムカメラは、LEICA MP 0.72とRollei 35Sの二台体制で必要十分、完璧なラインナップで、もうフィルムカメラを買う必要は無いはずでした。しかし、どうしたことかNIKONOS IIIを迎えてしまいました。これには深い?理由があるのです。

サップで何をするか?

キャンプでのアクティビティとしてカヌーかサップ(スタンドアップパドルボード)かで迷っていましたが、先日、半額セールでサップが手に入ると紹介され、SLINGSHOTというブランドのサップ(CROSSBREED 11' AIRTECH PACKAGEを購入しました。サップはクルージングだけではなく、プラスアルファのアクティビティで楽しみが広がります。例えば、釣りをしたりヨガをする、もしくは読書なんかも出来ます。

私の場合、趣味の写真をサップでも楽しみたいと思ったわけです。ただ、LEICA MP 0.72やRollei 35Sを持ち出すには勇気はありません。万が一、サップから落ちたらカメラは水没してアウトです。というか、落ちることは多々あるでしょう。

水中カメラ

そこで、物色したのが水中カメラです。今まで水中カメラは全く考えた事が無かったので、ネットで色々と勉強して行き着いたのが NIKONOS IIIです。このカメラは、ニコノスシリーズの中で完全機械式の完成形です。これ以降は、AE搭載のモダンなカメラに進化します。これはこれで魅力的なフィルムカメラです。しかし、あえてフルメカニカルに挑戦してみました。

NIKONOSの歴史

NIKONOS I、II、III はすべて、1950 年代にベルギー人のJean de Wouters氏がJacques Cousteau氏のサポートを受けて設計したCalypsoをベースに、ニコンが量産化した水中ハウジングを必要としないカメラです。50m の水深に対応するように設計され、ダイビングだけではなく登山やキャンプなどアウトドアで幅広く使えます。ベトナム戦争でも活躍したそうです。NIKONOS IIIは、1975年に発売されました。

スペック

スペック的にはRolkei 35と近しいが、レンズ交換式とサイズ感が異なる。

このカメラは、レンジファインダーではなく目測式です。Rollei 35Sで目測式は馴染んでいるので問題ありません。また、シャッタースピードは、1/500までです。これもRollei 35Sと同じですね。つまりスペック的にはRollei 35Sと思って間違いないです。違うのはレンズ交換式というところです。35mm と 80mm は水陸両用で、他のレンズはすべて水中撮影用に特別に設計されているようです。私が購入した個体には、標準レンズのNIKKOR 35mm F2.5が付いていました。

第一印象

このカメラは、多少の使用感がある完動品の個体を$119(ebay)で購入しました。もっと綺麗な個体もあったのですが、ガシガシに使いたいということで、あえて傷は気にしませんでした。樽型の独特なスタイリングが魅力的で若干エイジングされた外観は本当に格好が良いです。完全機械式で歴史的名機をこの値段で購入できることに感動しました。35mmと80mm は水陸両用のレンズなので、もっと評価されても良いかと思いす。
持ってみると「重い、、、」まさに鉄の塊でした。重量を測ってみると、レンズ込みで800gでした。ちなみにLEICA MP 0.72 とElmar-M 50mm F2.8の組み合わせで812gです。水中なら重さはあまり関係ないかもしれませんが、サップボードの上で使うには少し重いかもしれません。これは、唯一心配なところです。

構造

本体、筐体、レンズという三つで構成されています。筐体は厚い金属で作られており、50mの水圧に耐えられるというのがヒシヒシと伝わってきます。

筐体から本体を外すには、まずレンズを本体から取り外して、カメラストラップのヒンジを兼ねた金具を使ってテコの原理で上に押し上げます。非常に簡単です。よく、こういうアイディアを考えたものです。これも萌えポイントです。

操作感

このカメラは、巻き上げレバーがシャッターも兼ねているという、非常に独特な構造になっています。レバーを手前に押してシャッターを切ると、そのレバーが前方に飛び出て、それを押し戻すとフィルムが巻き上げられます。シャッターと巻き上げを、手前に押すという同じ動作で出来るインターフェースは意外と使いやすいです。

レバーを手前に押すというアクションで、シャッターと巻き上げができる優れたインターフェース

両側にある 2 つの大きなコントロール ノブは、絞りとフォーカスを設定するためのものです。両方のノブは、レンズの窓に示される矢印を機械的にコントロールします。変更を加えると、矢印が移動し絞りと距離での被写界深度を表します。フォーカスをすばやく設定する優れたシステムだけではなく、カメラの基本を学ぶのに最適なカメラです。

これら水中で操作するための様々な工夫が機能美となり、独特なスタイリングに昇華しています。

軽いテスト

さて、本当に防水性はあるのでしょうか?非常にライトなテストですが、蛇口から流れる水流でテストしてみました。

カメラにじゃぶじゃぶ水をぶっかけるのは、かなりドキドキします。

そして、中を開けてみると、マウントまで水は侵入していますが、本体内側には一滴も入っていません。大雨の中で使っても問題は無さそうです。素晴らしい。念の為、シリコングリスをパッキンに塗って使いたいと思います。

さて、フィルムを装填して撮影を楽しみます。

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