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発達障害の人は、なぜ「雑談が苦手」なのか?

こんにちは。mojoで一緒に活動している産業医の木村です。

皆様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

さて、あっという間に3月に入りました。まだまだ寒い日も続いておりますが、私は先日、日帰り温泉に行ってまいりました。元々温泉や銭湯が大好きで、こんなにブームになるもっと前からサウナーなのです。いつか入浴の効用についても考察したいとずっとあたためているくらい大好きです。

今回は、上半期(いやそれにしてはまだ早いか)の自分へのご褒美として、ずっと前から予定をブロックして臨みました。いや、もう控えめに言って最高でした。いろんな種類のお風呂に入り、90度以上のサウナで全身から汗を流し、最後は爆睡。

「整い」とはよく言ったもので、自律神経を整えるとこんなに見える世界が違うんだと知った次第です。

さて、本題に移りたいと思います。

前回までは発達障害の上司や部下の特徴とその対応についてお話ししてきました。今回は、私が実際に相談された事例として雑談が苦手」についてお話したいと思います。

ある会社の当事者Aさん(ADHD/ASDの診断済)から、オンラインでのミーティングがどうしても苦手で、ミーティングに出るたびに気持ちが落ち込むというご相談をいただきました。よくよくお話を聞くと「雑談が苦手」とのことなのです。

この事を踏まえ、今回から数回に渡り、「発達障害×雑談」というテーマでお話しさせていただきます。発達障害の人でも雑談マスターになれるようにお伝えしたいと思います。

まず、1回目は「発達障害の人はどうして雑談が苦手なのか?」について掘り下げてみたいと思います。一体、どんな特性が起因して「雑談が苦手」という結果になっているのでしょうか?発達障害の特性とよくある事例をもとに解説したいと思います。

【特性1】言葉の通り受け取ってしまう

発達障害の方は、「相手の非言語情報(相手の表情やその場の雰囲気)から気持ちを読み取ることが苦手で、相手から発せられた言葉のみを優先」してしまうことがあります。
例えば、「ありがとう」と言葉では言っていても、ふてくされた態度を取りながら
「ありがとうございます」と言われたときに、どっちなんだろうと混乱してしまうことがあります。この場合、相手が表現したいニュアンスとしては”ありがたいけど迷惑”という皮肉や冗談だったとしても「ありがとう」という言葉だけを受け取ってしまい、相手の意図をくみ取れないことがあります。さらに、善意から相手を喜ばそうとして同じことを繰り返してしまい、人間関係のトラブルにつながってしまうこともあります。な


【特性2】人間関係における適切な距離感がわからない

会社の人間関係の距離感についても、適切な距離感をつかむことが苦手で、どこまでプライベートに踏み込んだ話をしていいのか?と混乱してしまうケースも多いです。相手のプライベートに踏み込んでしまう方もいれば、自分自身のプライベートな話を、オープンに話し過ぎるという傾向も見られます。

【特性3】マルチタスクが苦手

発達障害の方は、特性として、何かの作業を同時に行うマルチタスクが苦手な方が多いです。
例えば、複数人(3~4人)集まった状態で、話を聞いたり自分の思っていることを話すという事は、マルチタスクになります。複数の人が話している会話内容を聞きとり、複数の人が話している内容を理解しその複数の人が話している内容に対して自分としての意見を考えていくが必要です。となると、発達障害の人は、聞くことにフォーカスを当てていくことがいいのか、自分の考えをまとめていくことにフォーカスを当てていくのか、自分が話すことにフォーカスをしていくことがいいのか、何を最優先に考えればいいのかを考え出すと混乱してしまい、人の話を聞いている場合ではなくなってしまいます。

【特性4】白黒思考が強く曖昧な表現が苦手

複数人で話している中で、突然「どう思う?」などと質問をされてしまった場合、「どう思う?」って抽象的な表現に対して、「何のどれに対してどのように思っているのか?」と考えてしまい、質問に対しての回答は何を言えば適切なのか混乱してしまうといったこともあります。結局、相手が求めている回答ではなかったり、その場に適していない回答を言ったりしてしまいなんだか変な空気になってしまったり、突然、怒られてしまったりすることもあります。ひとつひとつの作業やタスクに関しては、とても丁寧でクオリティも高く仕事ができるのに、「雑談」のような答えが決まっていない・ゴールがない会話だとうまく適応するのが難しいと感じられる方が多いです。

このような特性から、発達障害の方々は、突然の雑談に適応するのが苦手と感じる方が多いと考えています。

今回は、ここまでにしたいと思います。次回は、「発達障害の人が苦手とする「雑談」ってそもそも何?」について考えてみたいと思います。

セミナーのご依頼など随時お待ちしております。今後もmojoの活動の応援をどうぞよろしくお願いいたします。

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