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-ASDの特性を活かす-仕事探しの理想と現実

はじめに

こんにちは。mojoで一緒に活動している産業医の木村です。

皆様こんにちは。あっという間に桜も散り、新緑の季節がやってきますね。

4月、5月はどんな人にとってもそれなりの環境変化(例えば「自分自身が異動していなくても新しい人が入ってきた」とか「今まで使っていたバスの時刻表が変更された」とか)がある時期だと思います。
変化はプラスに働くこともありますが、マイナスに働くこともあり、このマイナスの原因はこのような小さな変化の積み重ねです。

一見、そんなに大きな変化でなくても、人間はストレスを感じます。早く慣れることがベストな解決策なのですがそんなに容易にできるものでもなく。。。

そんな時は、一日、いや、半日でも良いので何もしない時間を作ってみてはいかがでしょうか。

大きく深呼吸をして、大の字で横になり、目を閉じて、また深呼吸。。。
頭がスッキリしますよ。

さて、前回からASDの方の特性について掘り下げました。ここからは、ASDの方々の特性を基にしながら「どんな職業が向いているか」を掘り下げていきます。

「ASDに向いている職種」を探すのは、難しい。

書籍やインターネット上の情報で「ASDに向いている」と紹介されている職種を見て、皆さんはこんなイメージを持たれることはないでしょうか。

マニュアルがあり、正しい手順やルールに従って作業する事務系や作業系の職種は、ASDに向いている
お客様に合わせて臨機応変にコミュニケーションをし、その場で柔軟な対応が求められる営業系や販売系の職種は、ASDに向いていない

しかし実際にその職種について調べてみると、会社の状況によって中身はかなり違います。

例えば、ASDに向いている職種として挙げられることの多い「事務職」
しかし同じ事務職でも
「業務がキッチリ分業されており、マニュアルも整備されている会社の事務職」と「一人で何役もこなさねばならず、マニュアルも整備されていない会社の事務職」では、まったく違うものになります。

自分が担当する業務の種類によっても状況は変わります。

こちらも、ASDに向いている職種として挙げられることの多い「財務・経理職」を例に見てみましょう。

自分の担当が「会計ソフトへの記帳業務」だけであれば、マニュアルに従い周囲とあまりコミュニケーションを取らずとも行えるかもしれません。

しかし、担当が「請求書の処理業務」や「経費の精算業務」などに広がっていった場合、書類の内容について社内外とやり取りしながら、状況に応じて処理を進めなければならないものも出てきます。

「経費の精算業務」を例に、具体的な業務内容を見てみましょう。

この業務は社員から提出された書類(領収書、請求書など)を処理するものです。
一見すると「提出された書類を処理する」のであれば、問題なくマニュアル通りに進めることができそうに思えます。
しかし現実には、期日が決まっているのになかなか書類を出してくれなかったり、期日を過ぎてから頼み込んで提出してきたりするようなケースもあります

自分はルールを守っていたとしても、人が集まって仕事をする中では、ときに相手に合わせてつじつまを合わせなければならない———
こうしたこともコミュニケーションの一種ではあり、ストレスだと感じてしまう場合があるのです。

長く仕事を続けていくなかでは、マニュアルがあったとしても必ずしもその通りには進まず、周囲とコミュニケーションを取りながら業務を進めねばならないケースも出てくるのです。

つまり同じ職種であっても、会社の状況や担当業務によって、業務の定型・非定型や、必要なコミュニケーションの量が変化してしまう
ということです。

これがASDの特性を活かせる職種を探すときの難しさへとつながっています。

最初は、定型的で自分一人で完結できる仕事の担当だったとしても、慣れてくれば少しずつ担当範囲が増えますし、誰かとコミュニケーションを取りながら状況に応じて対応しなければならない仕事も任されるようになります。

先ほども書いたように、私たちの仕事や日常生活において、人とのコミュニケーションをなくすことは現実的にはなかなかできません。
「長く働く」「やりがいをもって働く」ためには、人とのコミュニケーションに対する困難さに、なにか対策をする必要があるのです。

「才能で突き抜ける」ことは現実的に可能か?

もしかしたら、レオナルド・ダ・ヴィンチのように、ASDの特性を活かして「興味関心があり自分が没頭できる分野で圧倒的に突き抜ける」というのも、一つの方法かもしれません。

レオナルド・ダ・ヴィンチのように、ASDの特性を活かし圧倒的に突き抜けた「何か」をもった人であれば、周囲から一目置かれる存在になれるのかもしれません。

しかし私たちの日常生活においては、それはなかなか難しいのではないでしょうか。

すでに自分の才能や技能がはっきり分かっていればいいのですが、現実には「それが見つかっていない」という方も多いのではないかと思います。

仮に見つかっていたとしても、
安定的にお金を稼いで生計を立てられるかどうか(=持っている才能や技能がお金を稼ぎやすいものかどうか)という課題
もあります。

現実的には、私たちはまず目の前の日々の生活を営んでいかねばなりません

この現代の日本において、現実的に生計を立てつつASDの才能を活かすためには、どのような仕事を探せばいいのでしょうか。

次回のnoteでは、「天才じゃなくても生きていける、ASDの特性を活かす業種」について解釈してみます。

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