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心が安らぐとき

雨音に耳をすますと
浮かんでくるのは
あの日の君

雨傘を差し出して
「入りなよ」と言った君は
雨に濡れていた


それが気がかりで
君の傘には入らず
屋根のある場所まで
駆け出した

君は追いかけてきて
濡れた肩を拭いてくれたから
代わりに濡れた唇に
キスをした


君はいつだって
自分を優先しようとはしない

そんな優しさに
頑なな私の心は
癒されるたびに
少しずつ溶かされて


分けてくれた優しさの分だけ
君のことを大切に思う私がいる



お互いに
自分を優先しないところが
心地よい