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自分を愛でる。

毛並みのいいワンちゃんとすれ違うと、心が豊かになる。
飼い主にブラッシングされ、なでられて、
気持ち良さそうに顔をゆるませている光景が目に浮かぶからだ。
飼い主の愛情が、通りすがりの私にも伝わってくる。

それを、ヒトに置き換えてみたらどうだろう。
自分だったら…。
途端に、気持ちが暗くなる。

毎朝、鏡に映る私の顔色はなんだか冴えない。
今となっては誰にも撫でてもらえない、
真っ黒なロングヘアをブラッシングするだけでひと苦労だ。
「せめて清潔感を!」と思い、髪を結うけど
アレンジできるわけじゃないので、就活生のように髪をひっつめるだけ。
(無個性で、なにが悪い!)

フローリングに抜け落ちた長い髪の毛をかき集めながら
重いため息をつき、いよいよ私は決意した。
「思いっきり切ってやろう!」と。

鏡の前に立ち、髪の束をつかみながら
「どのくらいの長さにしよう?」とシミュレーションする。
あごの高さのミディアムショートがいいかな。
もう少し短めのショートボブがいいかな。
心が躍る私の表情は、自然とゆるんでいる。

思い起こせば、朝の支度はバタバタで、夜のスキンケアもおろそかで、
じっくり鏡の前に立つ時間なんて久しぶりだった。
きちんと自分と向き合っていなかったのだ。

あいにく、ヒトである私には
毎日愛情をかけてブラッシングしてくれる飼い主はいない。
だから、私が私を愛さなくては。
愛情をかけて、身なりを手入れをしなくては。

さっそく、週末に美容院の予約を入れた。
まずは、私が変わる第一歩。
髪を切るだけで自分が変わるだなんて、ヒトは案外単純だ。

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