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アークランズにカツ丼食べにいこう

みなさま
こんにちは
そして初めましての方も
いらっしゃるかと思います

Twitterでは「モコルフォ」(mokorpho3653)
という名前で株式投資に関する
情報発信をさせて頂いております。

さて、題目の
アークランズにカツ丼食べに行こう

え?
カツ丼は
かつやを運営している
アークランドサービスでしょ?
今はそうなんですけども
ひょっとすると今後
アークランズにカツ丼食べに行こうに
なるかもしれないのです。

4/14引け後に
ホームセンター(ビバホーム・ムサシ)を運営の
アークランズ:9842Pがこのようなリリース

アークランズは
アークランドサービスホールディングス
(以下かつや):3085Pを
株式交換にて完全子会社化する株式交換契約を締結

アークランドサービスホールディングスは
リーズナブルにかつ丼が食べられる
「かつや」の運営会社です

①実はこれ、増資話

かつや1株→アークランズ1.87株付与
4/14終値時点では
アークランズ1632円×1.87=3051円
かつや株の2637円なので
400円以上もプレミアムがつく計算になりました
でもこれは
あくまでも4/14終値時点での話

株式交換でかつやを子会社化するわけですが
この株の出処はというと
「新株発行」
つまり今回
アークランズの株主にとっては
ファイナンス(増資)案件ということになります
そして増資の際のお決まり文句
みなさん大嫌いな
希薄化(ダイリューション)が発生します

アークランズの現時点発行済み株数
4138.1万株
かつや株主へ
2676.8万株
かつやのワラント債対応
92.1万株

アークランズ株は
4138→6907万株になります

②2社の決算

アークランズ:2月決算
23.2
売上3134億円 営業利益189億円 純利96.6億円 
1株益238.3円 1株配当40円
純資産1165億円 1株純資産2817円
24.2 会社予想
売上3200億円 営業利益201億円 純利131億円 
1株益323円 1株配当40円

アークランドサービス(かつや):12月決算
23.12 会社予想
売上495億円 営業利益55億円 純利33億円 
1株益103.7円 1株配当30円
純資産249億円 1株純資産753円

③2社を合体!


保守的に見積もった時のことも考慮し
合体後のアークランズの数値は
23年期の数字でも弾いてみたいと思います

新アーク(アーク業績24年予想版)
売上3695億円 営業利益256億円 純利164億円 
1株益237.4円(非合併比-79.1円・希薄化率25%)
新アーク(アーク業績23年実績版)
売上3630億円 営業利益244億円 純利129億円 
1株益187.2円(非合併比-51.1円・希薄化率21.5%)
純資産1415億円 1株純資産2048円

④株価・指標面の変化


アークランズの4/17の午前の終値は1432円
なんと200円近くも下がりました。
希薄化おそるべし

PERは4.43倍→6.03~7.64倍に
PBRは
1株純資産ベース:0.51倍→0.7倍に
※1415億÷6907万株=2048円

なんと
割高なかつやを割高統合することで
PBRが大きくなっちゃいました。
そりゃそうですよね

今回のニュース発表で
かつやにはプレミアムが乗るので
かつやの株主は大喜びですが
増資発表し割高買収するアークランズの株主は
え?なんで?
わけわからん・・・です
数字上ですがアークランズの
株主にとってメリットは現状全くありません
希薄化で株価は暴落しているし

⑤なぜ、かつや事業を買収するのか?

1成長エンジンとなる【モール化】・集客力強化
消費流通業界のナンバーワン企業グループはどこでしょう?
という質問を投げかけると出てくる答えは
「イオングループ」です。
イオンはグループにスーパーチェーンを多く持ちますが
軸となっているのは複合的施設「イオンモール」です。
他のイオン系スーパーについても
スーパー店舗だけではなく
ドラッグストア・飲食店など複合的に展開しています。
イオンのライバルといえば
イトーヨーカ堂(セブンアンドアイ)がイメージされますが
集客力が弱いヨーカ堂は閉店ラッシュで
現状はイオンの一人勝ち状態です

筆者は自動車保有率上位の
グンマーエリアに在住しておりますが
週末家族で出かける時は
まず
「どこのモールに行く?」が合言葉です

アークランズの店舗である
ビバホームは現在のところ
ホームセンターが中心で
一部複合的な運営もなされていますが
北関東在住の筆者独断の評価をさせていただくと
・イオン
・ベイシア(非上場=群馬のスーパーチェーン)
・ジョイフル本田
これらと比較するとビバホームの
集客力は
見劣っていると言わざるを得ません

ビバホームのテコ入れ(=集客力アップ)の
一環として「かつや」グループ各店の導入は
強力なものになるのではないでしょうか

かつやも現時点はロードサイド中心で
フードコートやモール業態の出店は
限られており
外食業界の人手不足の背景からもみると
単独店舗での出店余地は
なかなかハードルが高くなってきているという
環境が垣間見えております

このような背景から
アークランズにとっては
かつやを子会社にしているものの
大手資本がちょっかいを出すリスクもあり
これ以上かつやの評価が高くなってしまうと
統合のチャンスを失ってしまうため
このタイミングで
なんとかしたいという心理が
働いてもおかしくありませんでした

またビバホームの買収後の運営が
あらかた軌道に乗り
今後の成長戦略として
かつやグループを取り込むことにより
【モール型運営強化】を意識しているのが
今回の買収の一番の理由なのではないでしょうか

※補足
ムサシ・ビバホームともに
広い駐車場をもったモール型店舗は
それなりに運営されています
ヤマダ電機と提携し同社店舗を置くことで
家電向けの客層も引き入れていますが
やはり「食」の部分
食品スーパーや飲食店が弱いです
グループでも「ムサシ食品館」というスーパーを
ムサシの店舗で運営していますが
たったの4店舗しかなく売上規模も1億円程度
集客のテコ入れには「食」強化は不可欠だと思います

※補足2
現時点55%で子会社化しているのに100%にする理由
会社側は詳細を明かしていませんが
現時点で親子同士で関係あるものは
・連結業績や配当金
・賃貸借契約
この2つだと思います。

かつやグループがアークランズのお店に出店している形跡は
非常に少なく(確認できただけで2店舗)

現状の状態では
かつやグループの店舗を
アークランズ店舗のテナントとして出店するのに
なんらかの事情がある様子です
100%子会社・統合をしてしまえば
この事情が解決できるのではないでしょうか

ちなみにの話ですが
アークランズは2677万株
現在の時価で390億円内外

もし
かつやを合併・統合まで視野にいれているなら
390億円の新株=194億円の現金+97億円の土地建物
いわゆる
のれん代は100億円と高額ですが
かつやの成長力・評価は
100億円以上の期待値
(のれんとしてペイできる)が
あるとオーナー家はふんでいるのでしょう

モスフード 989億円
トリドール(丸亀) 2527
ケンタッキーFC 638
松屋 795
大戸屋 285

かつや株を売却して
この中で買えそうなのは大戸屋ですが
騒動まで起きたチェーンを
コロワイドから高く買うメリットはあるのか
多分ないですよね

2冷凍食品業界への参入
成熟業界といわれる食品業界において
唯一の成長している分野は
「冷凍食品」です

かつやは冷凍食品を製造する
コスミックSY
清和ヤマキフード
この2社を買収子会社化
清和社をコスミックに統合しました
コスミック社は主にとんかつ・コロッケ等
食肉系冷凍食品を製造しており
今後は既存ルートのほかに
アークランズの販売網でも
冷凍食品の拡販を図っていきたいようです
※現時点コスミック社の売上は47億円程度

3共有化による様々なメリット
1と2は事業展開の拡大ですが
アークランズとかつやが保有する
ノウハウ、顧客情報、仕入ルートの共有化により
顧客基盤の拡大
コストダウン
DX対応の効率化などをメリットにあげています

※現時点では
かつやの少数株主との利害衝突も考慮せねばならず
それが共有化の障害となっているようです

4アクティビスト対策
アークランズの7位株主に
村上ファンド系の法人が大株主として構えています
投資のほかに重要提案も行う意向とあり
いわゆるアクティビストとして動いています。

アークランズのオーナー坂本家にとって
このアクティビストは目の上のタンコブであり
今回のアクションはひょっとすると
アクティビストの
持分希薄化を狙っていたのかもしれません

ニュースリリースにより
リリース前は
アーク675億かつや持分746億*0.55=1086億円
リリース後は
アーク593億かつや持分870億*0.55=1072億円と
グループ全体で約14億円価値が下がったことになりました

今回の発表でグループ14億円価値が下がろうとも
諸々の事情、理由から
それ以上のメリットを企図しているように思えます。

⑥株主還元策

1アークランズの株主優待導入
アークランズは現在優待がありませんでした
かつやは100株から食事券の優待がありました

統合によりアークランズでは優待を導入予定
内容は100株から
かつやと同様の食事券枚数
そして
アークランズで使用できる商品券
近隣に店舗がない方向けに
今後はコスミックが製造した冷凍食品も
優待として採用される可能性もあることから
単純に魅力ある優待として
個人投資家には人気が出てきそうです

現在かつやの200株の株主は
現時点で売却すると約52万円
アークランズを1000株にするのに
あと90万円ほど必要になりますが
ここで思い切って
かつや200株優待から株価が安い
アークランズ1000株優待にする人が
出てくるかもしれません

2増配余力
アークランズの24年2月期の配当性向は
40円配当で12.4%です
かつやは30円配当で28.9%
同業他社のジョイフル本田は
46円で35.4%です

※修正
希薄化後の1株益は187or237円
仮に40円配当維持なら16-21%
ただし
これでも配当性向は高いとはいえないですね

今回かつやに1.87倍のプレミアムを付けるとなると
30*1.87=56円
ジョイフル本田並みの35%で
187-237*0.35=65-83円

増配して40→60円配当くらいは
出しても良いのかなぁと思いますが
オーナー家は20%程度の株しか持っていない様子なので
一先ず優待を拡充
配当については連続的な増配は
意識するかもしれませんが
一気に大幅増配するのは
あまり気乗りしないのかもしれません
※アクティビストは子会社のかつや含めここを狙っていたと思われます

⑦今後の株価動向

<プラス要素>
・かつやとの統合による効率化
・今後ビバ&ムサシに、かつや来るかも(業績寄与)
・安く株主優待が手に入るかも
・ひょっとすれば増配も?
・PBR改善評価

<マイナス要素>
・既存株主は希薄化で大ダメージ
・村上ファンド怒っちゃって売る?
・割安感なくなっちゃうじゃない
・かつやのイメージが悪くなる!

<株主総会投票を読む>
オーナー家の固定票は
取引先等協力先含め30%程度
浮動株(個人)は41%ほどで
決まれば株主優待を明言していることから
既存の個人株主で
反対を投じるのは少なそう
あとはファンドの動向次第ですが
個人的には可決は濃厚とみています・・

可決されれば
端株が発生するかつや売り
→アークランズ買いへのシフト
※特に6月の権利落ちは意識されます
ただ株価が上がっていれば
出尽くし売りもありそう

否決されれば
元に戻る(アークランズ↑かつや↓)と
考えられがちですが
現経営陣は株主の信任を失っている会社と
判断すれば
否決された場合
2社とも株価は
大きく下がりそうに思えるのですが・・

以上
アークランズによる
アークランドサービス(かつや)買収の件について
ちょっとまとめてみました

カツ丼食べたくなったよ
ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"(๑´ㅂ`๑)ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"

※こちらは投資を推奨するものではありません
あくまで読みものとしてお楽しみください

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