見出し画像

【読書感想】「小さな習慣」 スティーブン・ガイズ

読了日:2018/1/15

Amazonで購入する

小さな習慣とは、毎日これだけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動。この方法を使えば、すべてのことは、習慣化し、目標を達成でき、夢を叶え、人生を変えることができる。何しろ「小さ過ぎて失敗しようがない」のですから。
(Amazon作品紹介より引用)

この本の概要

毎年、年始めには手帳に「やりたいことリスト100」を書きます。
ほぼ日の記事を読んではじめました。
自分のなかの「ああしたいこうしたい」も、日々現れては日常の慌ただしさのなかに紛れてわからなくなってしまうので、年に一度、可視化するようにしたんです。
たいしたことは書いていません。仕事であれば「プログラミング言語を習得したい」とか「○○資格をとりたい」とか…。個人・家庭のことであれば「読書100冊」とか「納戸の片付け」とか「お風呂のカビとり」とか…。

そのなかで、毎年書いてるのが「ダイエット」…。

や~、痩せられないんですわ。
全然痩せられない…。

長男出産前、長男出産後、次男出産後にダイエットしてその都度、成功もしているのです。
が!
仕事復帰して、日常に忙殺されるとダメなんです…。少しずつ少しずつ、体重は増え、体型は崩れていくんですよねぇ…(;´д`)

この本を手に取ったのは、今年のダイエットを成功させるための闘魂注入が目的。
最近、過去の読書記録を整理しましたが、定期的にダイエット系の本を読んでいるのよね、私…。
成長してない自分が残念すぎる…。
(肉体的には成長してますけど。)

この本では、「ダイエット」、「定期的な運動」「禁煙」など挫折しやすい取り組みを習慣化する方法について説明しています。
挫折しやすい取り組みを習慣化するにはどうすればいいのか?
結論からいうと「失敗しようがないくらい小さな習慣を用意して、それを継続する」というのが答えです。
「失敗しようがないくらい小さな習慣」とは、たとえば
「腹筋を1回する」
「腕立て伏せを1回する」
「毎日体重計にのる」
「ジムに行ってお風呂に入る」
などです。

習慣と脳の仕組み

デューク大学の研究によれば、私たちの行動の約45パーセントは習慣で成り立っているそうです。

私たちの日々の活動の半分は、習慣化された行動なのだそうです。
言われてみればそのとおりで、朝起きてから会社にいくまではほぼルーティン化された行動。
仕事での活動は、仕事内容によるでしょうが、「毎日新鮮!何が起こるかわからない!」という仕事の人は少ないのかなぁ思います。
仕事後の生活も同様で、体感としても半分くらいは習慣化された行動なんですよね。

習慣を司るのは脳の大脳基底核というところだそうです。
一方、「腹筋するぞ!」など理性と意思を司るのは脳の前頭前野

前頭前野はあなたの脳の意識の領域をつかさどり、あなたが自分を「自分」として意識するために必要な部分です。ところが、前頭前野には簡単にエネルギーを使い果たしてしまうという弱みがあります。

たとえば「ダイエットするぞ~」という時、前頭前野が意思の力を発揮して私たちを動かします。とても賢く、理性を司る重要な部分なのですが、この前頭前野はものすごくエネルギーを使うのだそうです。

エネルギーに満ちあふれている人であれば強靭な意思の力でダイエットや運動を継続することもできるでしょう。ですが、仕事でたくさん難しい判断をしたあとなど、脳が疲弊した状態では、意思の力も十分に発揮できません。

自己管理の研究で、一日の早い時間にむずかしい決断をした人は、その後は誘惑に負けやすくなり、自制心が低下するとわかりました。

だから私も仕事復帰するとダイエットを継続できずに肥えていくんですね…。

それに対して、習慣を司る大脳基底核はエネルギーを大きく使いません
意思の力で毎日繰り返していた行動も、何度も繰り返すうちにそれ専用の神経回路ができ、大脳基底核側で実行されるようになるのだそうです。

(お絵描きしてみました(*^.^*))

また、新しいことへのチャレンジや習慣化されていない行動をするときには、脳は抵抗を示します。
特に、やり始めにもっとも強い抵抗をします。

でも、何かをやり始めてからも抵抗を続けるかというとそんなことはありません。
やり始めは「やだな~、今日やる気ないなー」とかグダグタ言っていた脳も、いったんやり始めると、ちゃんと活動をしてくれるのだそうです。

そこで、小さい習慣です。

活動が習慣化されていない段階で、まだ大脳基底核側ではなく前頭前野で指令を出しているときには、脳に負荷を感じさせないレベルにまでやることを最小化してしまいます。
やり始めたら「せっかくやったんだしもう少しやるか」となることも多いし、本当に疲れていたら1回で終わるのももちろんOK。
これを、前頭前野の指令から大脳基底核側での指令になるまで繰り返すことで、習慣を作り上げるのだそうです。

ざっくりと説明しましたが、かなり大雑把な説明です。
詳しくはこの本を読んでみてください。
もっと詳しい説明や、習慣を作る際のポイントがとてもわかりやすくまとめられています。

ちなみにストレスと習慣の関係についても書かれていました。

「人はストレスを抱えているとき、意志の力が弱まっているとき、あるいは重圧に押しつぶされそうになっているときには簡単に決断を下せなくなる。疲れすぎて決断できないときには、いつもしていることをただ繰り返す傾向がある」。

私たちは、ストレス下では、より習慣化された行動をとりたがるのだそうです。
そうだなぁ。
覚えがあるなぁ。
疲れているときには、あたらしいことをはじめたり、何かを決断したり、したくないもの…。

脳の仕組みと社会の仕組みはおんなじ

脳は私たちの頭のなかにあるもので、「社会」は私たちの外側にあるもの。
それぞれ別物です。
別物なんだけど、この「社会」を構成しているのは、脳を頭のなかにしまいこんでる人間の集合で、脳の仕組みはそのまま社会の仕組みにつながっているんだなぁというのを読んでて感じました。

脳が大きな変化や、新しいことへの挑戦を嫌うように、社会も大きな変化には抵抗を示します。でも、いったんはじめてしまえば抵抗が減ります。
消費税導入と、導入後の税率上昇なんかはいい例で。新しい政策も導入前は相当抵抗があるけど、いったん導入されてしまえば慣れちゃって税率上がっても最初ほど抵抗しなくなっちゃってますもんね。
(もちろん抵抗はゼロではないけど。)

脳とストレスの関係についてもそう。
今の社会、行き詰まっているのはみんな気付いているのに停滞したままで前に進んでる気配が感じられません…。少子化や待機児童問題など、身近に何とかしてもらいたい問題はたくさんあるのに、とうぶん解決できそうもなく…。
ストレスがかかった脳が決断をくだせなくなり習慣化された行動をとりたがるように、社会全体がストレスまみれで、決断をくだせなくなってしまっているのかもしれないなぁ、なんて思いました。

人が作り上げた「社会」という虚構の世界は、人間の脳の仕組みが表面化されたもの。
そうみると、私たちの脳はあまりいい状態ではないのかもしれません。
元気な脳、元気な社会にするにはどうしたらいいのかしらね。

根性論や精神論ではない説明なのでとても説得力がありました。
運動、禁煙、勉強など、何かを継続したい人はやりはじめに読んでおくとたくさんのヒントを得られると思います。

さて、ダイエット。
今年も頑張ります。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?