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【読書感想】「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」河合雅司

読了日:2018/3/3

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この本の概要

人工減少社会でこれから起きることとは?
衰退していく社会のなかで私たちはどうすべきなのか?

昨年出版され、ベストセラーとなった本です。

書籍ではひとつひとつに詳しい解説がありますが、まずは手っ取り早く、未来の年表をそのまま書きます。
(カッコは自分と長男の年齢)

未来の年表

2018年(私40歳、息子8歳)  
国立大学が倒産の危機へ

2019年(私41歳、息子9歳)  
IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ

2020年(私42歳、息子10歳)  
女性の2人に1人が50歳以上に

2021年(私43歳、息子11歳)  
介護離職が大量発生する

2022年(私44歳、息子12歳)  
「ひとり暮らし社会」が本格化する

2023年(私45歳、息子13歳)  
企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる

2024年(私46歳、息子14歳)  
3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ

2025年(私47歳、息子15歳)  
ついに東京都も人口減少へ

2026年(私48歳、息子16歳)  
認知症患者が700万人規模に

2027年(私49歳、息子17歳)  
輸血用血液が不足する

2030年(私52歳、息子20歳)  
百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える

2033年(私55歳、息子23歳)  
全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる

2035年(私57歳、息子25歳)  
「未婚大国」が誕生する

2039年(私61歳、息子29歳)  
深刻な火葬場不足に陥る

2040年(私62歳、息子30歳)  
自治体の半数が消滅の危機に

2042年(私64歳、息子32歳)  
高齢者人口が約4000万人とピークに

2045年(私67歳、息子35歳)  
東京都民の3人に1人が高齢者に

2050年(私72歳、息子40歳)  
世界的な食料争奪戦に巻き込まれる

2065年~(私87歳、息子55歳) 
外国人が無人の国土を占拠する

試しに、自分と長男の年齢をカッコで添えてみました。
リアリティーが増しますね…。

計画的に縮む

本の後半では、この未来に、我々はどう立ち向かっていけばいいのかが書かれています。

それによると、この先はどう頑張っても現状維持すらできないそうです。人口も若い人も、すごい勢いで減り続けます

そんな状態なので、これからは
「いかに計画的に縮むか」
が重要になってくるとのこと。

「計画的に縮む」とはどんなことなのか?
たとえば、作者の提言のひとつに、
「住む場所と住まない場所を決める」
というのがありました。

ライフラインの老朽化、人材不足により、過疎地では水道・ガス・電気などの補修工事もままならなくなります。人がほとんど住まないような場所にたいして補修工事をしていく余裕もこれからはありません。

この本の作者は、
過疎地に住み続けるのではなく、過疎地からライフラインの整った地域への移動を推進するよう働きかける、という提案をしていました。

でもきっと、それはすごく難しい。
その方が効率的だし、そうしないとまわらなくなっていくというのもわかります。
でも、人は理屈だけで動くわけではありません。
過疎地には老人が多いし、老人の多くは変化を嫌います。(もちろん、すべての老人が変化を嫌うわけではありませんが…。)
こういう変化を田舎の老人たちが歓迎するはずもなく、多くの地方自治体はこの案に対して嫌悪感を示すのではないかなぁ、と思います。

作者は「計画的に縮む」プランをこの他にもたくさん提示してくれていますが、上記の案ひとつとっても実現するのは極めて難しいだろうというのはわかります。

つまり、生半可な気持ちでは「計画的に縮む」ことすらできないというワケです。

「計画的に縮む」こともできないのであれば、我々の未来はもっと悲惨なものになるということ…。
読んでるだけでも暗く悲しい気持ちになるのに、今の膠着状態の日本をみているとお先真っ暗な未来しか見えず、すごく悲しい気持ちになります。

後退国・日本

私たちの多くは、自分たちの国を「先進国」と思っています。世界のカテゴライズ的にも一応はまだ「先進国」として扱ってもらっています。

でも、日本がもたもたしている間に、中国やシンガポールはもう技術的にもスピード的にもずうっと先をいっているようです。
タクシーはアプリで呼ぶし、屋台ですらキャッシュレスが当たり前。私が使っているのも中国製のスマホですし、性能も値段もリピートしたくなるほど十分なもの。

そういうのを感じるたびに、もう日本は「先進国」ではないよなぁと思うんです。

むしろ日本は「後退国」に近いのではないかしら。
いっときの繁栄は終え、老化していく時期、みたいな。
私が勝手に考えたネーミングなんですけどね。
テレビで日本を「先進国」って言ってるのを見てても違和感を感じるようになっちゃって。

全体的に、いろんな物事が膠着状態で、問題点も明確なのに行動できていないことが多いのは、この自分たちの認識がずれちゃってるのが根本にあるのかなぁと思います。

ほら、人付き合いでもいるじゃないですか。
「あの人、人の話を全然聞かないよなぁ」っていう人。
そういう人って自分では
「私は人の話をちゃんと聞いている」って思ってるんですよ。

自分の認識では聞いているつもりだから、たとえ人から「話を聞いてよ!」と言われても、その人のうったえは響かないし、改善しようとも思わないんですよね。

その人が改善できるようになるには、次のステップが必要だと思うんです。

フェーズ1:「自分が実は話を聞けてないということを心のそこから知り、認める」

フェーズ2:「話を聞けるようになりたいと思う」

フェーズ3:「どうすれば話を聞けるようになるか調べる・考える」

フェーズ4:「考えにしたがって行動する」

今の日本全体にもこれが言える気がして…。
ほんとはもう先進国じゃなくなってるのに、それに気付かず先進国ぶった考え方ばっかりして、このままでなんとかなるって、あぐらかいちゃってるのかなぁと。

一回、全世界的に
「日本ハモウ先進国ジャアリマセーン!アナタタチハ後退国ーー!」
と、レッテルを貼られたら、私たちもさすがに「ヤバい…」と気付いて、次のフェーズに進めるようになるんじゃないかしら。

フェーズ1:「実はもう先進国ではないとみんなが気付く」

フェーズ2:「後退国のレッテルを変えたいと思う」

フェーズ3:「どうすればいいか考える」

フェーズ4:「考えにしたがって行動する」

今はフェーズ1の前の段階…。
先は長い。

結局、私はどうするの?

こういう本を読んだとき、どこまでこの本の内容をじぶんごとにおとしこめるのか、というのも大事なことです。

私自身もそうだけど、「日本は」とか「私たちは」というふんわりした主語で話をしてても、きっと世界は変わらない。
自分たちの世界を変えていくのは、「私はどうするか」でしかないのだと思うのです。
そうなったとき、私はこの未来の年表を見て、何ができるんだろう…。

とりあえず子どもはひととおり産んだので、
その人たちを育てて、
選挙にいって、
献血もして、
いいと思うことにはちからいっぱい賛同して、
イヤなことにはイヤだと言う勇気をもつ。
そんくらいしかできないのかなぁ。

とはいえ、そのくらいのことだって、実はとっても難しい。
大きなことをやろうとするより、実は難しいと私は思う。

有名人でもない普通のおばはんは、世界を変えていくための活動をするエネルギーもないし、日々の生活に手一杯。
それでも、自分のいる小さな世界とそこにいるすこしの人たちが、笑って楽しみながら生活できるように努力することはできる。

これから先、年寄りは増えるのは仕方ない。
それでも、怒ってる年寄りが増えるより、ニコニコした年寄りが多いほうが、すこしはマシな社会だと思う。
私は、自分のまわりが少しでもニコニコになるように、楽しい小さな輪を作っていければなぁと思う。
そのためには、まずは私が毎日を楽しくごきげんに生きないとね。

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