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今年は砂漠に花が咲く?

今日のニュースは、アメリカ合衆国南西部の砂漠地帯で発生する「スーパーブルーム」と呼ばれる現象について。

これは少なくとも数万年前から続く野草の開花現象で、砂漠に多くの雨が降るとその翌年には大開花が見られるのだそう。
そういえば、似たような話をどこかで聞いたような?

この現象が見られるのは、現在はカリフォルニア州、アリゾナ州、ネバダ州の砂漠地帯。

気候帯を見ると、砂漠気候(BW)やステップ気候(BS)が広く見られます。

衛星写真を見ても、明らかに植生が乏しいことが見て取れます。

この地域は沿岸部は地中海性気候(Cs)ですが、海岸沿いに山地があるため、内陸に入ると山地の風下にあたり、乾燥が強くなります。

ロッキー山脈とシエラネバダ山脈の間は「グレートベースン」と呼ばれる広大な盆地状の乾燥地。
デスバレーと呼ばれる地域も含まれており、アメリカで最も乾燥した地域。
そして世界最高気温56.7℃を記録したモハーヴェ砂漠もこの場所にあります。

今回の記事に出ているのは、このデスバレーを中心としたデスバレー国立公園の中の話も含まれています。
そして、この荒涼とした大地に冬季、多くの雨が降った場合(西の沿岸部は地中海性気候(Cs)なので、この地域は冬季の降水が多い)、翌春に野草が咲き乱れるのです。

さて、それにしてもこの現象どこかで聞き覚えがあると考えた方もいらっしゃるのでは。
そう、南米の西海岸、アタカマ砂漠です。

アタカマ砂漠は「海岸砂漠」にあたり、沖合の海流が寒流(フンボルト海流)であるため海水温が冷たく大気の温度の方が高い、いわゆる「逆転層」を形成するため、通常時は極めて雨が少ない地域です。

しかし、沖合の海水温が上昇すると雨が降り、一面の花畑となります。

そう、この現象は「エルニーニョ現象」
スペイン語で「神の子」と言われる所以は、この現象が発生すると不毛の砂漠に花畑が生まれることから来ているとされます。
実際、「スーパーブルーム」もエルニーニョが発生した年に連動して起きることが多いようです。

ちなみに記事によると、スーパープルームはかつてはもっと広い範囲で見られていたものの、西部地域の開発により姿を消し、今は人が少ない砂漠地帯に残るのみとのこと。
この景色を後世に伝えるためには、そっと遠くから観察する必要がありそうです。

そして、同様の砂漠に花が咲く現象、アフリカ大陸の海岸砂漠、ナミブ砂漠付近でも見られます。
ナミブ砂漠と内陸のカラハリ砂漠に接する南アフリカ共和国の「ナマクワランド」。ここでも乾燥地の開花現象が。これもまた美しいですね。

最後に、何とスーパーブルームの動画がありました。
絶景をご堪能下さい。

今回はこれくらいで。




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