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世界の地理 面白映像解説(No,01)

今回紹介する映像はこちら。

これは、ログハウス用の丸太を自動で作り出す機械です。
中心に軸があるのかと思いきや、丸太を一定の太さに削るようにブレードが配置されています。

ログハウスと言えば、比較的高緯度地域で見られる家屋です。

これは、針葉樹だからこそできる建築方法。針葉樹は広葉樹に比べて細胞と組織の成り立ちがシンプルで、真っすぐに伸びる傾向があります。
また、加工しやすい、いわゆる「軟木」が多いことが特徴です。
とはいえ、寒い地域でゆっくりと成長する針葉樹には目が詰まった重い木も多く、針葉樹は全て軟らかく軽いかと言われると、一概に言い切れない部分もあります。
また軟木とはいえ、建材にするには十分な強度があります。

もう1点は、針葉樹は乾燥時の狂いや割れが比較的素直ですが、「硬木」は大きく捻じれたり、伸び縮みが生じることもあります。
狂い、暴れ等とも言われますが、これは乾燥が不十分な材であれば硬木でも軟木でも起きるものです。
無垢材では非常に起きやすい現象で、それを防ぎやすいのが小さな材木を繋ぎ合わせた集成材やベニヤ板のようなチップを固め、表面に薄い板を張ったたものです。
特に欅は暴れやすい材の代表格で、欅を使った木工製品に高い技術が必要なのは、単純な材の硬さや木目の複雑さだけではなく、そういった特性のせいでもあります。

高級な木工製品の材料となる材は、伐採から数年、長いものでは10年単位で乾燥させることもあります。
しかし、それらの手間暇を補って余りある木目の美しさは、硬木の魅力です。

針葉樹林帯でログハウスが伝統住居として建てられる理由はいくつかあります。
・タイガ(針葉樹林)は、純林と呼ばれるほぼ同一の樹種が並んでいる。
=同じような太さの丸太を大量に調達できるので、コストも安い
・致命的な狂いは生じづらい(丸太の壁が歪むような事態は避けやすい)
・寒冷地なので断熱が必要だが、丸太の壁はシンプルに厚さを稼げる
等が挙げられます。

伝統住居では、安価で大量調達が可能な建材を使うのは基本です。
例えば、アンデス高地の森林限界以上の地域や、樹林が乏しい地中海沿岸などは石造りですし、熱帯ではやはり木造ですが、ログハウスとは打って変って通気性重視の住居になっています。
熱帯では湿度が高いため通気性が重視されること、ネズミや虫(特にマラリアなど風土病、人畜共通感染症を媒介する蚊やハエ)を防ぐ、洪水防御などの理由から高床で通気性の良い高床式の住宅が伝統的に建てられています。

熱帯の高床式住居
サントリーニ島(ギリシャ)
サントリーニ島の住居は現代の建築ですが、コンクリートと石材、漆喰で構成され、高い断熱性を持ちます。南から吹く熱風を防ぐため、窓も小さめです。

近年は建材も世界各地で共通化しつつあり、都市ではどの国でも同じような建物が林立するようになりましたが、伝統住居について今一度見て見るのも面白いかもしれません。

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