[report]『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?』国立西洋美術館
これから観に行く方へ。知っておいた方が良いと思ったこと、下記5点。
靴を脱いで鑑賞する展示があります。
裸足不可とは書いてありませんが、脱ぎ履きしやすい靴と穴の空いていない靴下を履いていくことをおすすめします。再入場不可です。
出品数、文章や映像作品も多いため、鑑賞にはかなり時間がかかります。
腹ごしらえして、体力も回復してからの入場をおすすめします。
荷物が多い(重い)方はロッカーに預けることおすすめします。託児サービスあり(要事前予約)
文章の展示物が多いです。
3/14時点で紙の作品リストはありません。公式サイトより作品リストPDFを見ることはできます。(展示室入り口にQRコードのついたチラシがあります)
図録は4000円弱。
チケットなしで入れる館内ショップで販売しています。
いわゆる展覧会図録というより、文章多めのハードカバーの書籍といった感じ。
…で…レビュー書こうと思って書き始めたのですが、調べ始めると「はてしない物語」のように次から次へと派生してしまい、収集のつかなくなってきたので、とりあえず現時点での自分用メモ書きをアップします。
開催情報
『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?
——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ』
場所:国立西洋美術館(東京都台東区)
開催日:2024.3.12.tue-5.12.sun
入館料:2000円(一般)
内容:国立西洋美術館やそのコレクションが、生きているアーティストをいかに触発しうるかの検証
これからの美術館のあり方について考える
↓国立西洋美術館公式サイト
展覧会チラシより引用
主な登場人物
【参加作家たち(展示順)】
杉戸洋(1970-)
中林忠良(1937-)
銅版画家。内藤礼(1961-)
画家。松浦寿夫(1954-)
西欧近代絵画史専門。美術批評家。画家。小沢剛(1965-)
「なすび画廊」「醤油絵」小田原のどか(1985-)
彫刻家。評論家。版元主宰。布施琳太郎(1944-)
田中功起(1975-)
鷹野隆大(1963-)
主に「写真」を用いて作品制作。ミヤギフトシ(1981-)
本展参加のため、初めて本館を訪れた。長島有里枝(1973-)
飯山由貴(1988-)
弓指寛治(1986-)
竹村京(1975-)
エレナ・トゥタッチコワ(Elena Tutatchikova)(1984-)
ロシア生まれ京都市在住。映像、ドローイング、写真、セラミック、言葉などの作品を制作。遠藤麻衣(1984-)
ユアサエボシ(1983-)
梅津庸一(1982-)
パープルーム主宰安藤裕美(1994-)
パープルーム續橋仁子(1934-)
パープルーム星川あさこ(1984-)
パープルームわきもとさき(1994-)
パープルーム辰野登恵子(1950-2014)
坂本夏子(1983-)
新藤淳(1982-)
国立西洋美術館主任研究員。本展キュレーター。田中正之(1963-)
国立西洋美術館館長(2021-)
松方幸次郎(1866-1950)
実業家。政治家。川崎造船所所長。美術蒐集家。第一次大戦により造船で多大な利益を上げ、1916年から約10年の間、ヨーロッパで膨大な数の美術品を買い集め「松方コレクション」を築く。安井曾太郎(1888-1955)
洋画家。国立西洋美術館の創設に協力。西光万吉(1895-1970)
戦前日本の部落解放、社会運動家。全国水平社設立の中心人物。水平社宣言の起草者。獄中で転向。ル・コルビュジエ(1887-1965)スイス
スイス生まれ、フランスで主に活躍した建築家。モダニズム建築の巨匠。国立西洋美術館を設計。ラファエル・コラン(1850-1916)フランス
画家。黒田清輝が師事。黒田清輝(1866-1924)
洋画家。政治家。東京藝術大学の礎となる東京美術学校の教師。藤田嗣治(1886-1968)
画家。日本生まれ、フランスに帰化。クロード・モネ(1840-1926)フランス
画家。ピエール・ボナール
ナビ派。エドヴァルド・ムンク
サム・フランシス
ポール・シニャック
ジャクソン・ポロック
山谷地区の「おじさん」たち
「山友会」の皆さん
「訪問看護ステーション コスモス」の皆さん
珠洲のテーブルランナーチームの皆さん
秋田のテーブルランナーチームの皆さん
単語
【国立西洋美術館】フランス政府から寄贈返還された松方コレクションを基礎に、西洋美術に関する作品を広く公衆の観覧に供する機関として1959年発足。
【松方コレクション】第一次大戦により造船で多大な利益を上げた松方幸次郎が、1916年から約10年間、ヨーロッパで美術品を買い集め築いたコレクション。1927年世界恐慌による川崎造船の経営危機で、日本に運ばれていた美術品は散逸。ロンドン倉庫は1939年の火災で失われる。パリの約400点はリュクサンブール美術館の館長に預けられ、ロダン美術館の一角に保管。第二次世界大戦末期に敵国人財産としてフランス政府の管理下に置かれ、1951年サンフランシスコ平和条約によりフランスの国有財産となる。その後、フランスが日仏友好のためその大部分を「松方コレクション」として日本に寄贈返還。このコレクションを展示するために美術館として、1959年国立西洋美術館が誕生。
【川崎重工】前身の川崎造船所初代社長が松方幸次郎。2023年、国立西洋美術館とオフィシャルパートナー契約を締結。
【パープルーム】2014年相模原にて結成。学校というかたちの美術運動。
【モデュロール】ル・コルビュジエが提唱した基準寸法
【山谷地区】戦後、空襲で焼け野原になっていた東京に GHQ が戦災民のためのテントをこの地に作った。テント村はそのままバラック街となり復興期には季節労働者や出稼ぎ労働者が仕事を求めこの地に集まった。
高度経済成長期の建築ラッシュには日雇い労働者の市場として再成長していった。
90年代前半のバブル経済崩壊を機に、山谷地区は衰退の一途をたどる。それに合わせたかのように、日雇労働者自身も歳をとった者が増え、体を悪くするものが増えていた。
通称「ドヤ」は、簡易旅館もしくは簡易宿泊所。
2002年の日韓サッカーW杯以降は、外国人旅行客の利用も増え、そうしたビジネスホテルタイプが増えている。
現在ドヤには「元・現日雇労働者」「旅行者」「生活保護受給者」などが住む。
1990年代後半、不況により増え続ける路上生活者への対策として、東京都内各区は自区内の路上生活者に生活保護を適用し、山谷地区のドヤに預けるようになった。(「ドヤ保護」)
かつて「労働者の街」と言われた山谷地区は、「福祉の街」「棄民の街」と言われるようになった。【寄せ場】日雇い労働者の求人業者と求職者が集まる場所
【ドヤ街】日雇い労働者が多く住む街
【アウトリーチ】(山友会)週1回、弁当や菓子などをキャリーカートに積んで路上生活者に届けに行くこと。
【物語るテーブルランナー】鴻池朋子が発案。個人が経験したことを語る「語り手」、その話を元にした絵を描く「描き手」、その下図を元に手芸する「縫い手」によって一つの作品が仕上がる。
章構成覚書
0章「アーティストのために建った美術館」
西洋美術館の成り立ち第1章「ここはいかなる記憶の磁場となってきたか?」
-美術館を様々な時代や地域に生きたアーティストたちが交錯する磁場ととらえる。
「ミュージアム」の語源「ムセイオン」は学芸を司どる9人の女神たち、ムーサイを祀る場。ムーサイの母はムネモシュネ「記憶」の女神。
→「美術館」を産み落とした母は「記憶」
杉戸洋×ル・コルビュジエ
中林忠良×ヘルクレス・セーヘルス
ブレダンからルドン、長谷川潔から駒井哲郎へいたる「血脈」
「Unknown Voyage」=未知なる航海(中林自宅地下、腐食室の扉の言葉)
腐食液の「海」
内藤礼《color beginning》×ポール・セザンヌ《葉を落としたジャ・ド・ブッファンの木々》
鑑賞者の見る時間/時間をつうじて生起してくる絵画のあり方
松浦寿夫×
ポール・セザンヌ《ポントワーズの橋と堰 1881年》
モーリス・ドニ《池のある屋敷》
エドゥアール・ヴュイヤール《庭》
…「諸作品の持つ歴史的系譜の呪縛に逆らうとはどのようなことか」
描くことと記憶の関係第2章「日本に『西洋美術館』があることをどう考えるか?」
-同館コレクションの作品はあくまで「西洋美術」の文脈において収蔵されている→現在においても西洋中心主義を保持せずにはいられない同館の性格
小沢剛×藤田嗣治《坐る女》《自画像》
「帰ってきたペインターF」…もし藤田嗣治がパリでなくバリに行ったなら…
1943 日本の植民地であったインドネシアに文化政策の一環として「啓民文化指導所」が設立された。
小田原のどか《五輪塔》×
オーギュスト・ロダン《青銅時代》《考える人》
西光万吉《毀釈》
…「転倒」「転向」
1923 関東大震災 上野公園では大仏の首が落ち、ロダン《アダム》《考える人》も損傷。朝鮮人虐殺とレイシズム。
2020 イギリス ブリストル BLM運動でエドワード・コルストンの立像が引き倒される。2024年からブリストル市博物館・美術館のM Shedで横倒しで常設展示。
→本人や像は変わらない。変わったのはそれを見る「わたしたち」
→「わたしたち」とは誰か
旭川市博物館 爆破された《風雪の群像》←帝国の侵略の証左であるとの理由で、東アジア反日武装戦戦が爆破
転向を外発/内発の二項対立で捉えることは妥当か?
→二項対立の埒外にある西光万吉の「転向」
一五事件で投獄された西光は獄中で転向し、部落解放運動の創始者でありながら、出獄後は国家主義運動を主導し、侵略戦争を支持する。
「丹霞焼仏」
「揺れ、転び、その度につくりなおす」
…五輪塔は容易く倒壊し、その度に積みなおされる。破壊と再生の自明
ゆれること・転ぶことを前提とし、都度作り直し、検討し直すことを蓄積する
国立西洋美術館:揺れること、転ぶことを受け止める免震台を開発
「人の世に熱あれ、人間に光あれ」(水平宣言)第3章「この美術館の可視/不可視のフレームはなにか?」
布施琳太郎《骰子美術館計画》×ル・コルビュジエ《国立西洋美術館》
田中功起×国立西洋美術館
…国立西洋美術館に対しての「提案」…観客とは、どんなひと?第4章「ここは多種の生/性の場となりうるか?」
同館のコレクションは白人男性作家中心←多様性の観点から省みる
鷹野隆大×
ギュスターヴ・クールベ《眠れる裸婦》
フィンセント・ファン・ゴッホ《ばら》
ルカス・クラーナハ(父) 《ホロフェルネスの首を持つユディト》
モーリス・ドニ《水浴》
エドヴァルド・ムンク《立つ男》
エミール =アントワーヌ・ブールデル《弓をひくヘラクレス(習作)》
…with IKEA…もし美術館の名画が一般家庭に飾られていたら
ミヤギフトシ《アクタイオン》×テオドール・シャセリオー《アクタイオンに驚くディアナ》
…マイノリティの物語
長島有里枝「ケアの学校」の展示×パブロ・ピカソ《ビュフォン『博物誌』のための オリジナル・エッチング》
…「当たり前の存在が失われる」→「ただそこにいる」だけの存在
飯山由貴《この島の歴史と物語と私・私たち自身 ─ 松方幸次郎コレクション》《わたしのこころもからだも、 だれもなにも支配することはできない》×
シェイム・スーティン《心を病む女》
フランク・ブラングィン《しけの日》
エティエンヌ・ディネ《負傷者》
フランク・ブラングィン《松方幸次郎の肖像》
ウジェーヌ = ルイ・ジロー《裕仁殿下のル・アーヴル港到着》
クロード・モネ《ウォータールー橋、ロンドン》
ローラ・ナイト《屋内訓練場のジョー・シアーズと W・エイトキン衛兵伍長》
…松方コレクションが目を向けていた「国民」とは何だったのか反幕間劇
「上野公園、この矛盾に充ちた場所:上野から山谷へ/山谷から上野へ」
弓指寛治《You are Precious to me》with 国立西洋美術館 主任研究員 新藤淳
山谷地区に生きる人々の物語
国立西洋美術館がこれまで見つめてこなかった世界の様相
01.はじめに「上野公園にいた人たち」
新藤さん、弓指さんに依頼する
上野公園に大勢いたホームレスはどこに消えた
02.「山友会」
03.「アウトリーチ」 ご飯を持って会いに行く
04.「コスモス」 訪問看護ステーションコスモス
05. (見落とした!!!ここは山谷に暮らす「おじさん」の物語です)
06.「物語るテーブルランナー」in 山谷
鴻池朋子「物語るテーブルランナープロジェクト」
個人が経験したことを語る「語り手」と、その話を元にした絵を描く「描き手」その下図を元に手芸する「縫い手」によって一つの作品が仕上がる。
主にその地域に住む「縫い手」が手芸するが、山谷は「縫い手」を担う方不在。珠洲の方々が縫ってくださると手を挙げくれていた。
しかし2024年1月1日石川県能登半島地震が発生。下図のまま展示となりそうだったが、秋田のテーブルランナーチームの皆さんが手をあげてくださり、今回の展示に至る。
07.「山谷から上野へ」上野公園を清掃する
高齢者特別就労公園清掃
08.「上野公園アウトリーチ」夜の上野公園を歩く第5章「ここは作品たちが生きる場か?」
-美術館が作品を保存することの永続性の理念と実際
竹村京《修復された C.M.の 1916 年の睡蓮》×クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》
…刺繍のレイヤーによる破損した《睡蓮》の修復
エレナ・トゥタッチコワ×《国立西洋美術館》
…「美術館を迷い歩く」→館のアーカイヴの可能性第6章「あなたたちはなぜ、過去の記憶を生き直そうとするのか?」
-芸術作品を時間のなかで読み替え、変容させる行為について考える。
遠藤麻衣《オメガとアルファのリチュアル》×エドヴァルド・ムンク
《アルファとオメガ 》
ユアサエボシ×サム・フランシス《ホワイト・ペインティング》
1924年に生まれ1987年に亡くなった架空の三流画家ユアサヱボシは、サム・フランシスの活動を快く思っていなかった。…という設定
梅津庸一with パープルーム×
ラファエル・コラン《フロレアル(花月)》
ピエール・ボナール《花》
エドゥアール・ヴュイヤール《縫いものをするヴュイヤール夫人》第7章「未知なる布置をもとめて」
現代の画家たちが同館収蔵作品にどれだけ匹敵しうるのかを検証
辰野登恵子×クロード・モネ《睡蓮》
杉戸洋×モーリス・ドニ《ロスマパモン》
梅津庸一×ジャクソン・ポロック《ナンバー 8, 1951 黒い流れ》
坂本夏子×
ポール・シニャック《サン =トロペの港》
ピエール=オーギュスト・ ルノワール《木かげ》
↓作品リスト(PDF) 公式サイトより
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/pdf/2023revisiting_list.pdf
関連サイト
↓美術手帖 開幕レポート
↓美術手帖 1月22日概要記者会見とトーク(新藤、梅津、小田原、鷹野)のレポート(開幕前)
↓「レビューとレポート」記者発表会とトークセッションのレポート(開幕前)
感想(ものすごくネタバレ)
参加作家が多く、それぞれメッセージ性強く、情報量も多いので、ワタクシの力ではまとめきれません。(…いつもまとめてなどいないですが)
思いついたところだけメモ。
開催して日も浅い平日に行ったのですが、周囲に他の観客が5人くらいいる程度の混雑。
若い人、熱心に見ている人が多かった。学生服も目立ちました。
通常の国立西洋美術館の企画展としては、観客は少ない方なのでしょうね。
展示室内にスタッフが多く、内覧会での抗議の影響?と思ったけれど、見ていると車椅子の観客をショートカットルートに案内したりしていたので、観客のサポートのために多めに配置しているのかもしれません。
第1章
中林忠良
展示の中では地味なコーナーかもしれないが、私は銅版画好きなので、この小さな一角に好きな銅版画家がOB会状態でギュギュッと詰まっていて楽しかった。
内藤礼《color beginning》は、ほぼ白いキャンバスで、真っ白じゃないのはわかるんだけど、何か見えるかっていうと私には見えず…
この絵を他の観客3人とで、じ〜〜〜〜〜〜っと見つめていたのですが、側から見ると風刺画に見える気がして、可笑しさも感じてきます。
昨今、音も映像も情報過多なので、静かに白の差異を見つめる時間があったほうが良い気はします。
第2章
小沢剛「帰って来たペインターF」
ここに入る前から、物悲しいような謎のエスニック風音楽が聞こえてきていて、なんだろう?と思ったら、ここでした。
素でコミカルな外見の藤田嗣治と「パリ」→「バリ」でダジャレのパロディかと思ったら、調べていくとズブズブ深かった。(未消化)
ちなみに「帰って来た」シリーズは他にもあって、
第一弾:野口英世「帰って来た Dr.N」
第二弾:藤田嗣治「帰って来たペインターF」
第三弾:ジョン・レノン「帰って来た J.L.」
第四弾:岡倉覚三「帰って来た K.T.O」
第五弾:弘前ゆかりの近現代の⼈物「S.T.」「帰ってきたS.T.」
があるようです。他のも観たい!
小田原のどか
土足禁止。入り口で靴を脱ぎます。
…私が行った時は空いていてスムーズだったけど、靴を脱ぐスペースはそんなに広くないし、靴は脱ぎっぱなしだし、混雑したら渋滞しそう。(靴が行方不明になったり、履き間違えたり)
右手の壁に貼ってある文章もボリュームあります。…これは、小冊子かWEB版あったらよかったなあ。全部読むの時間がかかります。
一番印象に残った展示は弓指寛治の「反幕間劇」。
第4章の展示室を抜けて、階段を登っていくと学芸員の新藤さん登場。
新藤さんが弓指さんに依頼します。
「昔、上野公園にたくさんいたホームレスを、めっきり見なくなった。
長年、その方達の存在は知ってはいたが何の接点もなく、見て見ぬふりをして来たように感じる。そのことについて触れてもらえないかと思っています。」←勝手に要約
どうしよう・・・ホームレスの人達に実際会いに行くのもちょっと怖いなあと思いつつ、ホームレスの知り合いがいないか探し始める弓指さん。
展示の文字を追いながら階段を一段一段登っていくにつれ、ホームレスを探す弓指さんとシンクロしていくような気持ちになります。
訪ね歩きながら階段を登り切ると、山谷地区…
山谷で暮らす「おじさん」たちの物語、訪問看護ステーションコスモスの奮闘などが語られます。
鴻池朋子発案の「物語るテーブルランナープロジェクト」を初めて知りました。
物語を語る「語り手」、下絵を描く「描き手」、下絵を手芸する「縫い手」による共作。
刺繍とパッチワークの雰囲気が懐かしい。
物語は、なんてことない小さな物語。それが、いくつも並んでいます。
他の地のプロジェクトも見てみたい。
いくつもの小さい物語の後、舞台は夜の上野公園へ。
山友会の人と一緒にアウトリーチ(お弁当を配りにいく)に行く弓指さんと新藤さん…
国立西洋美術館が上野のホームレスと言葉を交わすまでの物語でもあったんだね。
…映画1本見終わったくらいの気持ちになっていますが、美術展は折り返し地点すぎたあたりです。
第5章
竹村京の刺繍のレイヤーによる破損した《睡蓮》の修復
奥に破損したモネの《睡蓮、柳の反映》、手前に竹村京の刺繍。
《睡蓮》の肩にそっとショールをかけたようです。
二つの作品の間は間隔が開けてあって、モネの睡蓮だけを鑑賞することもできます。
美術品の保存と修復のあり方について、考えさせられます。
第7章
国立西洋美術館収蔵作品と現代作家の作品が肩を並べて展示されています。
ウッカリ別々に写真撮ってしまったけれど、この2作が並んでいるのが好きです。
観終わって、もうヘトヘトですが、常設展でゴヤ〈戦争の惨禍〉全場面を展示しておりまして、どーしても観たかったので、この後、ゴヤだけ観に行きました。
常設展でのゴヤの展示は2月27(tue)-5月26日(sun)まで。
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