見出し画像

9.8全日本プロレス代々木大会レビュー〜台風に勝利した若手の輝き~

さてさて行ってきました。全日本プロレス9.8代々木大会。珍しくプレビューも書いたので、生観戦したからこそレビューも書くことにしました。プレビューはこちらより。

全体的にとても面白い大会だったので語ることは多くなりそうですが、ここではプレビューで書いた3試合についてとりあげたいと思います。

1.第5試合 諏訪魔&佐藤光留&田村男児VS秋山準&高木三四郎&岡田佑介

田村は本当にジュニアヘビー級なのだろうか…


いやーこれは素晴らしかった。ちゃんとプロレスしたのか?そうではなかったのか?そう尋ねられたら間違いなく「ちゃんとプロレスをしていた試合」でした。特に最も光を放っていたのは田村男児でしょう。主に場外で岡田と戦うシーンが多かった田村ですが、とにかく暴れまくってました。エルボーや場外でのDDTといった技だけではなく。観客と選手を隔てるプラ柵すらも岡田にぶん投げる。受ける方も「俺は倒れねえぞ!」と言わんばかりに岡田の攻撃を耐え抜く。残念ながら全日本プロレスTVではカメラの台数の関係で場外にいる田村を捉えることはできませんでしたが。会場にいた多くのファンは場外戦の田村に熱狂したことでしょう。リング上に戻っても秋山準に一切ひるまず立ち向かい。ラリアットではダウンを奪う。最後は秋山のフロントネックロックの前に沈みましたが、敵味方含めてビッグネームの揃う中で24歳の若者が最もインパクトを残せた。これはとても素晴らしいことですね。

2.セミファイナルG-INFINITY選手権試合 斉藤ジュン&斉藤レイVS石川修司&綾部蓮

ベルトを巻いたことで責任感が生まれた斉藤ブラザーズ

斉藤ブラザーズは本当に良くなりましたね。最近ではミヤギテレビの情報番組OH!バンデス内のタクシーめしリターンズでのコミカルな姿が注目されていますが、レスラーとしての技量もかなり向上しています。

ぼくが彼らの試合を生で見たのは去年でした。その頃は「サイズはあるけど野暮ったさがあるなあ」という印象でした。しかしこの日の試合ではそうした部分が殆どなくなっていました。スピード感にあふれる現代プロレスとは間逆な「スローであるがぶつかり合いの強さ」をしっかりと表し。反則攻撃を含めて会場を大きく使い、観客の目線を激しく動かさせる。特に試合終盤で斉藤ジュンが自身のヘアゴムを振りほどきスイッチを入れるシーンが定番になりつつあるように。観客から見てもわかりやすい試合になっていると思います。もちろん対戦相手にデカい&上手いの石川修司がいたこと。そしてセコンドにはTARUがいたこと。これらの影響ありますが、ぼくは彼らの成長を強く感じました。

メインイベント 宮原健斗VS安齊勇馬

打撃がよくなった安齊

メインイベントです。戦前は「安齊に力の差を見せつける」と豪語した宮原健斗でしたが、一方的に安齊を潰す形にはなりませんでした。全日本プロレスでのチャンピオン・カーニバル。プロレスリング・ノアでのN-1とシングルマッチのリーグ戦を1年に2度経験するというレアな経験をした安齊。それによる成長を安齊はしっかり見せてくれました。例えばスタミナ。デビュー1年ということもありスタミナ(ペース配分)の面で足りない部分があった安齊ですが、この日の試合はかなりそれが改善されていました。試合終盤でも高さのあるジャンピングニーパット。さらにはしっかりブリッジを効かせたジャーマン・スープレックス・ホールドを放ちました。また打撃面ではエルボーキレがかなり増したと思います。このあたりは打撃の得意なノアに参戦したことが、彼に好影響を与えたのかもしれません。

ただそうして「今安齊ができることを全て受け止め(引き出して)」「それでも堂々と勝つ」。それが今の宮原健斗の凄みでもあります。安齊を潰すとは発言していても、安齊の攻撃から逃げずに全て受けきる。スタミナお化けと言われた宮原だからこそ、安齊の全てを引き出し受けきり、そして勝利できた。恵まれたサイズや運動能力に奢ることなく。若手の頃はそれこそ地獄のトレーニングを課されても生き延びた。そうして積み上げたモノがあるからこそ。宮原は今現在トップにあり。そしてデビュー15周年を迎えることができた。宮原はこの試合で安齊を引き出しつつも、活きた壁としての存在感を発揮していました。

三冠戦も世界タッグもない代々木で第二でのビッグマッチでしたが、とても質が高く、見るべきものが多い大会でした。特に今回ピックアップしたカードに代表されるように「デビュー数年の若手が躍動する姿」をしっかりと観客に見せてくれました。大所帯ではない全日本プロレスですが、そこには「常に成長する姿を見せる若手」。そして彼らに立ちはだかる「五冠馬」「燦然と輝く太陽」「巨大な壁」がいます。選手が日々変化する姿を見たいならぜひ全日本プロレスをご覧ください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?