見出し画像

No35 遠ざかるハルちゃんの意識の中へ  

『ハルちゃんのレシピについては まだまだ伝えたい物はあるのよ。でもね ちょっとみんなでハルちゃんの意識の中を散歩してみようと思うの。どうかしら?』
パフの言葉にみんな喜んだことは言うまでもありません。ピクニック気分になっていたんですよ。
それが本当は何を意味するのかも知らないで

ハルちゃんの意識の中
そこはどう表現したらいいのか・・・ 色とりどりの花が咲き誇る よく整備された公園を思い浮かべてみて下さい。思わずため息が出るほどの美しさを・・・
そんな感じの美しさ
・・・でもその中に ちょっと変わった花がありました。咲いているのは花ではなくてページを開いたままにしたレシピ帳のような形をしています。それがあっちにもこっちにも何本も咲いています。
ああ それがどうしたことでしょう。
綺麗な花達も そしてそのレシピ帳達も同様に 色がだんだん薄れて行こうとしているのです。

『実はね ハルちゃんにはあまり時間が残されていないみたいなの。
だからハルちゃんが大事にしているメモ書きを探して欲しいの。』
『えっ どういうこと? ハルちゃんのレシピ通りにいっぱい料理を作ったよ。それでハルちゃん元気になったんじゃないの?』
『マーチルの言いたい事はわかるわよ。でもね 残念だけど人間には寿命って物があるから どうしようもないのよ。
ハルちゃんはもう十分過ぎるほど頑張ってきたわ。今あなた達にお願いしたいのは そんなハルちゃんがまだ意識の中で大切にしているメモ書きを一緒に探してほしいの。』

パフの言っている意味が 程なくしてわかりました。
あっ 一枚 また一枚と レシピ帳の花の中から メモ書きらしい紙切れが宙に舞い上がります。
『さあ みんな あれを拾ってちょうだい なるべくたくさん!』



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?