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家具を買うひと。[CH24]

CH 24という名前でピンとくる人はどれくらいいるだろうか。
日本では「Yチェア」という通称で親しまれている、あの椅子だ。

言わずと知れた名作椅子。カールハンセン&サンが今も作り続けているハンス J ウェグナーの代表作だ。
なぜこの椅子が人気なのか。少し前まではそう思っていた。

でも知れば知るほど、この椅子の魅力に引き込まれる。
買ったのはズバリ、私。

正直Yチェアが王道すぎて、自分で買うとは思っていなかった。
もちろんデザインの良さや座り心地の良さは定評通り素晴らしく、椅子としては間違いなく名作。

家具が好きだからこそ、もう少しニッチなものを、と思ったりしていた。


仕事をしていく中で、Yチェアについて深く知る機会が訪れた。
ウェグナーの歴史から追っていくうちに、彼の残した考え方にとても心惹かれた。

「デザインするのではなく、日用品として利便性を追求したらこの形になった」
という内容のものだ。
あ、なるほど、と思った。


Yチェアは一見、とてもデザイン的な形に見える。
しかしこの形の意図を辿ると、材料が無駄にならない事、加工がしやすい事、長期的に活用できる素材である事、人々の手の届く価格で製作ができる事、など、徹底的に日用品として使う事を前提として考えられている。

もちろん見た目の良さを度外視しているという意味では無い。
見た目が良く無いと、長く使う気になれない、というのもウェグナー的な美学だと思う。

それらを知って、今まで以上にこの椅子が気に入ってしまった。
きっと、今名作と言われているというだけではなく、自分自身が使い込んで、育てて初めて、本当に良い椅子だったな、と思えるんだろうな、と。


そして、この話には続きがある。
ウェグナーの魅力を知ってしまった私が、次に選んだ椅子の話。
これはまた次の機会に。


MOMO

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