「１時間だけ」の約束で、
久しぶりに、Aさんは学校に行った。

お母さんに担任の先生から電話。

楽しそうに過ごしているから、
「もう少しいてみたら？」と聞いたら、嫌ではなさそうだったので、
いてもらうことにしようと思う。

先生に言われたら、
Aさんは、断わることはできないかもしれない
と、お母さんの頭をよぎった。

でも、
学校に「行くこと」が辛かったんだ。
「行くこと」ができたら
「いること」はできるんだ。
と思い、

「よろしくお願いします」と言った。

Aさんは、その日最後までクラスで過ごした。

Aさんが帰宅後、先生からの電話。
「Aさん、頑張ってましたよー！」と明るい声。
お母さんは嬉しくて、先生に何度もお礼を言った。

電話を切ったとたん
Aさんは半狂乱になった。

大声をあげ、
物を投げ、
壁に穴を開けた。

次の日から、
自室から出て来なくなった。


先生もお母さんも、
Aさんのことを大切に思い、
様子をみながら、配慮して進めた。

そして、
「頑張ったね」
「学校に行けば、大丈夫なんだね」
と喜んだ。

Aさんは、平静を装っていた。
平気そうにしながらも身を削っていた。

お母さんは、
半狂乱になって暴れるAさんの目は、
まるで、

大人を、人間を、二度と信じない、

という目をしていた。
と泣かれた。


※これは、複数の方のお話しからモモが創作したフィクションです。



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