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中学校の教員をしています。読書、音楽鑑賞、観劇が好きです。心に残る本や映画、舞台などに…

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中学校の教員をしています。読書、音楽鑑賞、観劇が好きです。心に残る本や映画、舞台などについて綴っていきたいと思います。

最近の記事

心に響く言葉

若松英輔氏の言葉。 「人生には、悲しみを通じてしか知ることのできない、いくつかの重大なことがある。」 究極のリフレーミングかもしれない。

    • 尊敬する中村哲氏がアフガニスタンで銃弾に倒れてからもう一年が経つ。 中村氏が座右の書とした「後世への最大遺物」(内村鑑三著)を読み返す。 憧れる人物と、好きな本はつながっている。

      • 「似た痛みを持つからこそ自分がそれを克服できれば、誰よりも相手を引っ張る存在になれるんだ」 あるマンガの中の言葉。忘れないでいたい。

        • 『怒らないで生きるには』

          新書『怒らないで生きるには』は、漫画家のしりあがり寿さんと、スリランカ仏教の長老アルボムッレ・スマナサーラさんの共著です。内容は、しりあがり寿さんが聞き手となり、スマナサーラさんに56の「怒り」に関する問いを投げかけ、それについてのスマナサーラさんの答え(考え)が簡潔に示されるというものです。 そのスマナサーラさんの考えというのが、明快かつ一貫しているのです。それは、一言でいうなら、 怒りは「百害あって一理なし」ということ。 例えば、しりあがりさんはこう問いかけます。

        心に響く言葉

        • 尊敬する中村哲氏がアフガニスタンで銃弾に倒れてからもう一年が経つ。 中村氏が座右の書とした「後世への最大遺物」(内村鑑三著)を読み返す。 憧れる人物と、好きな本はつながっている。

        • 「似た痛みを持つからこそ自分がそれを克服できれば、誰よりも相手を引っ張る存在になれるんだ」 あるマンガの中の言葉。忘れないでいたい。

        • 『怒らないで生きるには』

          インビクタス 負けざる者たち

          南アフリカで人種差別撤廃の改革を成し遂げ、ノーベル平和賞を受賞した南アフリカ共和国の大統領、ネルソン・マンデラ。同国初の黒人の大統領となった彼は、差別や人種間の対立による数々の問題を「ラグビー」というスポーツの持つ力で乗り越え、人種の異なる国民の心情をつなぎとめました。 「インビクタス 負けざる者たち」は、彼の功績を描いた感動の映画です。 この映画には、数々の名言が登場します。その中でも、私が一番心に残っている言葉を紹介します。 「I am the master of

          インビクタス 負けざる者たち

          「あのひとは蜘蛛を潰せない」

          思わず手に取ってみたくなる奇妙なタイトルだと思いませんか?彩瀬まる著の恋愛小説です。 さて、あなたには「あのひとは蜘蛛が潰せない」というフレーズを聞いて、心に浮かんだ「あのひと」はいますか?それは、あなたの好きな人ですか?それとも、嫌いな人? 「蜘蛛を潰せるかどうか」は、その人自身の嗜好や生活様式、おおげさかもしれませんが、「価値観」を端的に表しているように思います。心に浮かんだ「あのひと」があなたにとって好ましい人なら、あなたの好きなタイプは、「優しくて繊細」な人でしょ

          「あのひとは蜘蛛を潰せない」

          『土の中の子供』 中村文則

          中村文則の著作『土の中の子供』は、2005年芥川賞を受賞した作品です。衝撃 だったのは、「土の中の子供」というタイトルが、「比喩」ではないこと。 主人公の「私」は27歳のタクシードライバー。彼は、幼少時代に親に捨てられ、孤児として壮絶な虐待を受けた体験から今も抜け出せないという暗部を抱えて生きています。紙幅が割かれている暴力シーンは、うめき声や血の臭いまで感じられるほどのリアルさで、胸が締め付けられます。 その中で印象的だった場面を紹介します。主人公の「私」は、物心をつい

          『土の中の子供』 中村文則

          深夜特急5  沢木耕太郎

          『深夜特急5』は、トルコ・ギリシャ・地中海での旅を綴った沢木耕太郎さんのエッセイです。私は、中でもトルコの青年とのエピソードが心に残っています。 若者は日本という国に特別の親愛感を持っていた。「ジャポン、フレンド」と言ったり、「アメリカ、ロシア、ノー・グッド」と言ったりする。 この若者は、片言の英語で、まるでガイドのようにトルコの街を案内してくれるのでした。チャイハネの料金も払わせようとしません。控えめな若者の優しさに感謝しながら、筆者は夕方まで一緒に歩きました。 別れ

          深夜特急5  沢木耕太郎

          小さいときから考えてきたこと

                     黒柳徹子『小さいときから考えてきたこと』は、黒柳徹子さんのエッセイです。黒柳徹子さんは、言わずと知れた『窓ぎわのトットちゃん』の作者で、こちらも必読の名著ですが、私はこの『小さいときから考えてきたこと』のエッセイを通して、世界で現実に起こっている様々な問題を考えるきっかけを得たような気がしています。このエッセイは、黒柳さんが大人になってから、コソボやアフガニスタンなどの紛争地域や難民キャンプを訪れたときの体験を綴ったものです。その中から、コソボ共和国を訪

          小さいときから考えてきたこと

          「逆ソクラテス」 伊坂幸太郎

          『短編少年』収録、伊坂幸太郎著「逆ソクラテス」。あの「無知の知」のソクラテスの逆の意です。知らないくせに知ったかぶりをし、自分が正しいと信じて疑わず、みんなに自分の価値観を押し付けようとしたり、見下したりするような人物を、「逆ソクラテス」と表現しています。主人公の「僕」は小学校6年生。転校生の安斎は主人公の「僕(加賀)」に、「どこにだって、何かを決めつけたり、押し付けたりする人間はいるが、そういう人に負けない裏技がある」と言います。 「で、そういう奴らに負けない方法があるん

          「逆ソクラテス」 伊坂幸太郎

          「小ぬか雨というんだわ。」

          「小ぬか雨」は、藤沢周平の『橋ものがたり』に収録されている短編です。主人公の「おすみ」は職人の勝蔵と所帯をもつことになっていましたが、ふとしたことから、不意に舞い込んできた新吉という若者をかくまうことになります。二人は、限られた時のなかで心を通わせ合いますが、新吉には事情がありました。新吉は人を殺め、そして自首しようとしようとしていたのです。二人の別れの場面。おすみは橋の上で新吉に抱擁されます。そして、新吉は橋の上におすみを残して走り去っていきます。 小ぬか雨というんだわ。

          「小ぬか雨というんだわ。」

          空気2 「メディアをつくれ」

          舞台「空気2」のシナリオ本です。政権に忖度して、自由で公平な報道ができなくなったメディアに、フリーのビデオジャーナリストの女性(1児の母)が、一人果敢に立ち向かうストーリーです。 舞台は、大手メディアの政治部が入居する国会記者会館。国会議事堂、官邸、内閣府などを一望できるこのビルの屋上に潜入した彼女が偶然見聞きした、驚くべき事件とは…。 「…だから私は自分自身がメディアになろうと思ったの。メディアをうらむな、メディアをつくれって。何か、元気が出るじゃない」主人公の言葉に、

          空気2 「メディアをつくれ」

          家族を想うとき 映画🎥

          ケン・ローチ監督の、2019年のイギリス・フランス・ベルギーのドラマ映画です。生活苦の中で、お互いを想い合いながらも歯車が狂っていく家族が描かれていて、胸が締め付けられるような映画でした。原題は「Sorry We Missed You」…内容が分かると、この言葉もまた切ないです。

          家族を想うとき 映画🎥

          「それでも人は信ずるに値する」 昨年末、アフガニスタンで銃撃により命を落とされた中村哲医師の言葉です。「それでも」という逆接の後に「信ずるに値する」ときっぱり言い切る力強さ。希望を感じます。この言葉を、自分の道標としていきたいです。

          「それでも人は信ずるに値する」 昨年末、アフガニスタンで銃撃により命を落とされた中村哲医師の言葉です。「それでも」という逆接の後に「信ずるに値する」ときっぱり言い切る力強さ。希望を感じます。この言葉を、自分の道標としていきたいです。