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「長く続けていること」がある人の、強さについて。

最近よく考えるのが、「何かしらを、長く続けている人」の強さについて。

仕事の専門性の話にとどまらず、スポーツでも、音楽でも、はたまたマニアックな趣味であっても。

どんなことでも長く続けると、他の人より詳しくなって、知識に深みも増す…。
それが、人としての魅力や強みになるのだろうなあと感じています。

自分の職業(ライター)で考えてみても、特定の分野にすごく詳しい人は、独自のポジションを確立しやすいように思います。
もちろん、分野や種類を問わず、まんべんなくそれなりに安定した記事をつくれる人は貴重。一方、「この方面ならこの人に頼みたい!」と思い起こされるような人は、その人専用の強力な装備品を身につけている感じがします。
私は、タイプ的にはわりと「まんべんなく」寄りなので(苦手なことも、もちろん多々あります)、「この話題は任せて!」みたいな自信を持てる人には、うらやましさを感じるところも。



このテーマについて考えるとき、いつも思い出すことがあります。
それは、以前勤めていた制作会社で、編集アシスタントをしていたときのこと。

当時、会社で取引していたフリーライターさんに「ゾンビ文化」にものすごく詳しい方がいたんです。実際にお会いしたことはなかったですが、おそらく、私よりひとまわりくらいは年上の男性。

そのライターさんには、自由度の高いコラム執筆を毎週依頼していましたが、いつも上がってくる原稿の8割くらいはゾンビ話(笑)。昔から研究していたようで古い作品(映画・文学など)にも詳しく、「サブカルチャーとしてのゾンビ論」のようなお話を、よく繰り広げてくれました。
正直、当時はまたゾンビか!と苦笑まじりに原稿を読むことも。でも、特定の話題について多角的に考察し、自身の経験を交えながら「論」を展開していくのは、表面的な知識、わずかな経験だけでは難しい。それが、今ではよくわかります。

年齢を重ねるほどに、「ある分野を熱をもって突き詰めている人には、とても勝てないな」と思う瞬間が増えています。

ちなみに…その“ゾンビ系ライターさん”には、もうひとつ忘れがたい思い出が。

私がフリーランスになろうと考え、会社をやめる間際の出来事です。
ゾンビ系ライターさんに退職ご挨拶&担当引継ぎのメールを送ると、「〇〇さん(私の旧姓)は、話しやすい編集さんだったので、残念です…。」と、静かな返信が。
もともと、その方とは私的な思いを伝え合うような関係性ではなく、原稿の話題以外のやりとりは、その1回が最初で最後。

(こんなふうに思ってくれてたの…人の心ってわからないものだ…)と、なんとも不思議な気持ちになりました。
ゾンビの思い出と相まって、12年以上経った今でも強く印象に残っている出来事です。もし今、私がゾンビに関する記事執筆をどなたかに依頼するとしたら、やっぱり、その方以外は思いつきません(笑)。

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ネットやAIの発展で、いろんな情報を調べたり、簡単なものをつくったりすることは、昔よりもずっとしやすくなりました。
だからこそ、どれだけニッチな分野であっても、長く続けていることから得た知識・経験は、「他の人には簡単には得られない強み」にできると思います。

「単なる趣味だから…」「好きでやっていることだから…」なんて謙遜?する方もいますが、続けられることがあるのは素敵です。
「オタク」といえるくらいのものを持っている人に、私はあこがれます。

一人ひとりが自身の経験・人生で得たものを、もっと外に出していけたら、なんだか楽しい世の中になるのではないかなとも感じています。

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あなたには、「これはオタク的に大好きです!」「実はこんなことをずっとやってます!」みたいなものがありますか?

そのうち、いろんな人の、そういう話ばかりにフォーカスしたインタビュー集をつくってみたいなあと思いを巡らせつつ、今日はこれくらいで話を終えたいと思います。

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