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③ハッピーエンド好きのオタクが劇団四季の『ノートルダムの鐘』を観劇したら刺さりすぎて抜けなくなった

時は遡ること2023年2月26日(日)昼公演、「近いお席に座ってみたら色んなものが見えた3回目編」です。
(通し番号を振っていますが続きの要素はほぼありません)

観劇日から日が経ちすぎていて自分でもびっくりしてしまうのですが、ディズニーアニメ版『ノートルダムの鐘』のテレビ地上波放送をきっかけに下書きを読み返したところ、このまま放置するのは忍びない程度には書き溜めてあったので頑張りました。
2月末に書いていた感想メモと、印象に残ったセリフの備忘録と、煮詰めた追記とお気持ちポエムが入り混じった状態のかなりラフな文章になっています。

この回は運良く前方のお席に座ることができたため、近くから見て思ったこと気づいたことと、寺元健一郎さん演じるカジモドについての話多めです。


今回のキャストボード

2023年2月26日(日)昼公演
今回で京都公演にご出演のプリンシパルキャストさん全員を拝見することができました。

ご注意ください!
※レポではなく完全に個人の感想・備忘録です。むしろ呻き声とか心の声の垂れ流しに近い。
※ストーリーや演出についての重大なネタバレが含まれます。
※長いです(約8,700字)

※観劇からかなり日が空いた状態で仕上げた文章のため、記憶違いがあったり正確性に欠ける可能性があります。間違いやご指摘ございましたら教えてください。


劇団四季公式サイト、作品情報ページはこちら

リンクを貼るためにサイトを見に行ったら「現在、公演の予定はございません。」と書かれていて寂しくなってしまった…どうかまた観られますように。


前日予約〜劇場に到着して

今回は劇団四季の「前日予約」を利用してチケットを取りました。
「前日予約」はその名の通り公演日「前日」の14時から電話でチケットを「予約」することなのですが、思いがけない前方のお席が取れる場合があり、非常に夢のあるシステムなのです。
※前日予約含む電話でのチケット予約は「四季の会」会員限定のサービスです。

チケットを取る時点で自分の座席番号が分かるのですが、明らかにセンターブロック前方のとても観やすそうなお席でした。
予約が確定して電話を切ったあと、まず電話が繋がったことに驚き、予約ができたことに驚き、座席番号に驚き…今の時点で手元にチケットも何もないけど明日本当に観れるのかな??と、色々と信じられない気持ちでずっとソワソワしていました。

当日は時間に余裕を持って京都劇場に到着し、チケットカウンターで四季の会の会員証を見せて無事に紙チケットを受け取ることができました。
実はチケットを受け取る際に支払いが発生すると思って現金を持参していたのですが、電話予約の時点で登録済みのクレジットカードでの決済が行われていたようで、連携のすごさに感動しました…さすがだ……

そして自分の席に着いて、あまりの近さにびっっっくり。ここ本当に私が座って大丈夫ですか?
この近さであの物語を、結末を、衝撃をもう一度受けて私は耐えられるんだろうか…???というデジャブな不安に駆られながら開演を待ちました。

見てくださいこの近さ、1回目2回目はどちらも1階後方のお席だったので、あまりの近さにビビりまくっていました。



寺元健一郎さんのカジモドの印象

3回目の観劇で3人目のカジモドです。
プロローグで舞台中央に登場したときの第一印象は「可愛らしい少年出てきた…
お顔の輪郭がぷくっと、目がくりっとされているのでビジュアルは少年っぽいと思ったんですが、お声が大人びていて精神面ではかなり青年寄りだなあと思いました。
ご主人様のことをよく見てよく聞いて、従順に言いつけを守って、そしてめちゃくちゃフロローの顔色を伺っているような気がしました。

寺元さんのカジモドは他のお二人よりも吃音が強めな印象で、最初の一文字が詰まってしまってなかなか言葉が出てこない感じ
そして普段の会話とは打って変わって歌声は柔らかくてなめらかで、心にスウッと入ってくるような感覚でした。『天国の光』ラストのロングトーンなど高い音程でフワ〜〜〜っと伸ばすところの気持ちよさが半端なかったです。もうほんと…歌が上手い……
歌声も話し声も温かみがあって透明感もあって、とても耳に残るお声でした。

もうひとつ強く印象に残ったのが寺元さんのくりっと大きな目でした。
大聖堂を抜け出して道化の祭りで賑わう街を歩いた時、エスメラルダに出会った時の眩しい光を全部目の中に取り入れて反射したようなキラキラの目と、『奇跡もとめて』でエスメラルダとフィーバスを見つめる時や、『石になろう』の時の彼の目にはもう何も映っていない…と思わされる光の一切無い真っ黒な目の差がすごかったです。
人間って自分の目の輝きを自由自在にコントロールできるんでしたっけ…??


印象に残ったシーン(だいたい時系列)

1幕

プロローグ『ノートルダムの鐘』
「兄弟の皆さん、」から始まるクロード・フロロー神父の説教は近くで見るとより威厳と威圧感がすごかったです。「異教徒、犯罪者、ジプシー」と言うときの忌まわしげな声と表情

近くのお席からだと表情仕草がよく見えて情報量が増えるな〜と思いました。
フロリカに「あなたが欲しいものはお見通しよ」って抱きつかれたときの若フロローがギュッと目をつぶってイヤーーーッてなってる表情
赤ん坊を抱いて大聖堂に帰る道中、立ちはだかる石像の視線から逃げるように隠れるように歩きながら混乱を押し殺したような表情をしている様子

「どこに違いがあるのだろう?」で青年がカジモドに「なる」とき、整えられた髪の毛をカジモド役の俳優さんが自分でわしゃわしゃ逆立てていたんだ…!ってことに今回初めて気づきました。
フロローの影になるようになっていて今まで見えていなかったです。あの「変身」は全て舞台の上で、あの一瞬の間に、俳優さん自身の手によって行われていたんだなぁ

フロロー「上へ行け!(威圧)」

プロローグ終わり〜『陽ざしの中へ』
フロロー登場、カジモドがそばへ寄ってつま先?服の裾?にキスした時の「ちゅ」って音が聞こえた気がした…この時の姿勢は今まで見たカジモドの中で寺元さんが一番低かったような気がします。地べたに這いつくばるような低さ。

フロロー「行きたくないが行かねばならぬ」
カジモド「僕がお供しますよ、 僕はとても強いから」
フロロー「ハハっ、(嘲笑) すまん笑ったりして。でも外に出ればもっと笑われるぞ」
歌詞セリフはニュアンスですが、この時のフロローの嘲笑きついよ〜〜圧倒的な上下関係を感じる一連のやり取り…

『トプシー・ターヴィー』
アンサンブルさんの動きや表情が双眼鏡無しで見える!ど~うけのま~~つ~~り!で腰をぐるぐる回してお尻をぶつけ合ったり、とても賑やかで活気があって見ていて楽しかったです。

髙橋さんクロパンのダンスがとてもキレキレ!舞台の後ろから前に飛び出してくる時のワイルドな動きがとっても好きでした。
そして、お祭り騒ぎに紛れてジプシーたちが市民の財布をスリまくっていたのに今日初めて気づきました。クロパンが「ジプシーども!仕事にかかろう」って言ってたのはこれだったのかー!!
ジプシーたちめっちゃ仕事してました。今まで気づかなかった私の目は節穴か…?

『息抜き』
フィーバスと女の子が戯れてる時の顔が近すぎてこっちが照れる。
戦場がフラッシュバックしているフィーバスめちゃくちゃ息荒くて涙目でしんどそうだった

『タンバリンのリズム』
山崎さんエスメラルダの声がイケメンすぎる(好き)
「ねぇ!肉屋さん!」って呼びかけられて挙手して立ち上がっちゃう肉屋さん

エスメラルダからタンバリンをポイっと渡されたフィーバス、タンバリンを返そうとエスメラルダの気を引くけど無視→「無視されちゃいました〜笑」ってフロローに笑いかけるもフロローも無視。決してへこたれないコミュ強佐久間さんフィーバス。

『トプシー・ターヴィー』
道化の王様に選ばれたカジモドが王冠と杖?をもらって、エスメラルダに「良かったね」と言われているような表情と動きのやりとり。
ここのカジモドがとてもニコニコしていて可愛いけどこの後のことを思うと…

詰め寄ってきた市民を1人投げ飛ばしてしまったカジモドが(ご主人様に叱られる!)というように縮こまったところを縛られて鞭打ち…恐怖で声が出ない感じで、悲鳴控えめでうずくまるカジモド…ここ本当に見ていられないくらい辛い

クロパンがエスメラルダに「面倒なことになるぞ!」って言いながら逃げるための火薬の準備をしていた。抜け目のない男。

市民が去ったあと、地面にうずくまるカジモドが許しを乞いながらすがりつこうとした時にスッと下がって距離を取るフロロー×2回 ひどい

『神よ 弱きものを救いたまえ』
エスメラルダ「自分がして欲しいことを他人にしてあげれば」
フロロー「主も同じことをおっしゃった(ものすごく嬉しそうな声)」

大聖堂で歌っているエスメラルダを見つけて嬉しそうな表情のフィーバス
カジモドが薔薇窓の前で音を立ててしまい、慌てて引っ込む

『世界の頂上で』
エスメラルダの「あなたのお友達、好きよ?」の破壊力。
舞台上手タワーのてっぺんで柵?にもたれかかってる男性アンサンブルさんが可愛くてなんか好きでした。たぶん1枠の鈴本さん…かな?

カジモドがニコニコニコニコしててこのシーンが一番楽しそうなんだよね…この時がずっと続けばいいのにね……落ちる落ちる!って心配してるエスメラルダが本当に可愛い。
寺元さんカジモドは「2人でいる」で人差し指と中指を反対の手のひらにトントン当てるジェスチャーが激しい!手袋をトントントントン!!!って連打する音が聞こえてきました。


フロロー「いや、ここに住んだほうがいいかもしれないな 私と (ズイッ)……嫌か?」
嫌か?じゃないんですよ…このあと態度が急変して激昂するのが本当に怖い。

エスメラルダが去ったあと、フロローがカジモドに「不純なことを考えたことがあるか?」と問いかけて自制するよう厳しく激しく言い聞かせるシーン。
フロローの口から「お前の父親のように!」という言葉が出た時にカジモドが「父さん…!」と呟いて自分の頭をボカボカ殴ったり柵にぶつけたりしていて…動きに合わせて足を踏み鳴らしてドンドンッと音を立てていたようなのですが、本当に頭をぶつけているみたいな鈍い音がするので痛々しかったです。

「あの女のことは考えるな!!!約束しろおァ!!!!!」と声を張り上げながらカジモドを叩こうとする手をめっちゃ振りかぶるフロロー、それに対するカジモドの「約束、します!!!!」の悲痛な叫び。
そのあとの「おやすみなさい、ご主人様」の抑揚のない声が耳に残って離れないです。左目はキラキラうるうるしてるのに右目があまりにも真っ暗なの何…??

『酒場の歌』
フロロー、エスメラルダを見つけた瞬間手すりに置いていた手を柱に添えて、柱に隠れるような、若干前のめりになるような体勢でガン見。
フィーバスとエスメラルダがキスした瞬間、アワアワわたわた動揺してて、なのに目を逸らすことができない!
近くで見ると表情がよく見えるので、色んな意味で見てしまった感がすごい。

『天国の光』
彼女に会いたい……
彼女のことは考えちゃいけないんでしょう?
考えちゃうんだよ…どこを見ても彼女がいるみたいだ

「明るく見えるよーーーーー」の最後の高音の伸びがすごい…!透き通った声が光のようにどこまでもどこまでも広がっていくように感じました。

『地獄の炎』〜『エスメラルダ』
脳が焼き払われてしまってちょっと…記憶がない……
「フロローに刺されたフィーバスがめっちゃ痛がってた 勢いよく全体重かけて刺されてたもんな」っていうメモしか残ってなかったです…笑


2幕

『間奏曲』
近くの席だとクワイヤの方の表情もよく見えますね…この人数のこの全力の歌声を聴けるのって本当に贅沢なことだなぁと間奏曲を浴びながら考えていました。
カジモドが登場して上からロープを使ってスルスル~と降りてくる。運動神経良くないとできないよね(そもそも劇団四季に運動ができない人はいないと思う)

ジプシーの仲間がフィーバスを奥へ連れていく時、フィーバスの長い脚がだらーーんと伸びた状態で引きずられていて「あ、完全に気失ってるんだな…」と気づきました。

『エジプトへの逃避』〜『奇跡御殿』
聖アフロディジアスが歌う間カチッと固まって優しげな表情を浮かべる石像たち。姿勢も表情もジッッと動かないのがすごい。

フィーバス「なんでここに…」
カジモド「ジプシーのあの子だよ!」
フィーバス「あぁ…思い出した…フロローの奴にやられた」
カジモドが「包帯が必要だね」と言いながらフィーバスの傷を指でツンとつついて、反射的に声を上げて痛がるフィーバスをさらにバシッと叩きながら「静かに!!」って言ってたのひどくて笑ってしまった…理不尽

フロローの声が階下から聞こえて俊敏に扉を蹴って閉めるカジモド。どしーーーん!!!
カジモド「お話を!お願いします!」
フロロー「ソワソワしているな?」
のやりとりは見ていてこっちがハラハラしますね…野中さんフロローがめちゃくちゃ圧をかけるので…
石像たち「主人の鋭い視線に〜(途中忘れた)カジモドは生まれて初めて嘘をついた〜〜」

『奇跡もとめて』
上から見ているカジモドの、今にも感情が抜け落ちてしまいそうな苦しそうな顔。
「孤独に生きよう…不気味な顔だから」「僕の奇跡はどこに?」の声の響きがあまりにも悲しい。

牢のシーン
エスメラルダ「苦しんでる姿が見たいの?」
フロロー「そんなものは見たくない 私はお前を釈放したいのだ」
エスメラルダ「なぜそうしないの?」
ここでちゃんと問答できるエスメラルダ強いよね…

フロローが「愛してくれ…」と言って迫るシーン、エスメラルダのスカートをぐしゃっと掴んでたくしあげる感じになり、白い脚が膝の上までがあらわになってしまってウワァァァどうしようと思いました。
エスメラルダの「悪魔!誰か!」という叫び声で駆けつけたフレデリックのうろたえ具合がすごい。そらそうや…。鈴本さんフレデリックの生真面目で情に厚い感じがすごく好きでした。

『いつか』
エスメラルダを見つめるフィーバスの視線
「もう死ぬわ」の歌詞でフィーバスがハッとしたように近づこうとするのを手で控えめに静止して歌うエスメラルダ、泣きそうなのを堪えている…

『石になろう』
カジモドは眠らない…街を見つめる目が暗すぎる。
「現実を見ろ この歪んだ体と骨を」のところで右手で右脚太ももをバシッと叩く…心底自分に失望しているようで、見ているこちらも胸が押しつぶされそうでした。

『天国の光』ラストのロングトーンはどこまでもどこまでも広がっていきそうな声だと思ったのですが、「1人にしてくれーーよーーーーーー」は全然違う、閉じこもるような響きに感じました。閉じこもると言っても声が出てないとか聴こえないとかでは全く無くて、遠ざかっていくような、後ろに声が出てるというか、気持ちを発散したり放出するというより内に向いているというか、、う〜〜ん…うまく言葉にできない…

『フィナーレ』
火あぶりを見物に来た市民ががあからさまにニヤニヤしたり野次を飛ばしていて勘弁して…と思いました。完全に見せしめじゃないですか
火をつけた瞬間のエスメラルダの絶叫…もうやめてくれ…

クロパンに救出されたフィーバスが「パリーのー人々ーよー」と高らかに歌い上げるところ大好きです。クロパンが「絶対に仲間を見捨てたりしない」をフィーバスにも適用してるのが良い…(このセリフ奇跡御殿で言ってたんだっけ…)

エスメラルダを救出したカジモドの「サンクチュアリー!!聖域だー!!!」全身から振り絞ったようながなり。
2回目観劇後から毎日サウンドトラックを聴いていたのですが、「石の聖人よ、守護神とガーゴイル」から鉛を注ぎ込むところの歌がめちゃくちゃ好きで、今回とても楽しみにしていました。
来るぞ来るぞと思っていたら予想外の、ものすごい力強さの「焦゛か゛せ゛っ!!!」が来てびっっくりしました。
でっかいシャベルで体をめいっぱい使って鉛をかき混ぜて、怒りに満ちた「注ぎ込むのだーーーーーーー!!!」で完全にノックアウトでした。もうすごすぎる…

その後エスメラルダと会話するカジモドは先ほどのがなり声とは全く違う、優しい穏やかな声でした。「友達だ…!」胸がぎゅーーーとなって泣いてしまう。

野中さんフロロー、「死んだのか…」からずっと弱々しくて憔悴したような声。
フロローが「あれは義務だった」と言ったあとにカジモドが「義務?」と聞き返す時の声が、感情が完全に抜け落ちた「無」の声色でした。

聖域?聖域なんて無い、彼女がいなければ。
弱いのはお前だ、邪悪なのもお前だ (抑えた声)

ジェアンとフロリカが見えたのか、フロローが這いつくばって逃げようとする→退路を塞ぐようにカジモドが音を立てて扉を閉める、の絶望感すごかったです。小さく見えるフロローと対照的にぐっと背中を伸ばして大きく見えるカジモド。
「言いましたよねご主人様、僕はとても強いって」抑揚のない暗い声。

フロロー墜落の衝撃はドスンじゃなくてズッダン!!!!でした………
僕の愛した人はみんな横たわっている (ぽっかり)
声にならない叫び (ッーーーァーーーーーーー)
この叫びが悲痛で…フロローをこの手で殺したという事実の重大さを理解して、後悔しているような…

鐘楼に上がって来たフィーバスに「死んだ…2人とも… 」と言った時のカジモドの声も目も真っっっ暗。
エスメラルダを抱き上げることができなくてうずくまるフィーバスに近寄って、頭を優しくホワ…ホワ…ってなでるカジモド。エスメラルダを抱き上げて立ち去り、透き通った優しい声で「せかーーーいーーー」
床に横たえて、後ろを向いたまま肩を震わせて泣く→エスメラルダが立ち上がって光の方へ歩いていく→床に突っ伏して泣く

「数年後、ノートルダムの地下室から…」カジモドだった青年の口から語られるエピローグ。寺元さんのお声がカジモドの時と全然違う、何がが抜けていったようなお声に感じました。
一文字一文字大切に発された「こ な ご な に…」の言い方が印象的で今でも耳に残っています。

カーテンコールでは寺元さんが口元フニって微笑んでおられて、柔らかい表情がとても素敵だな…と思いました。


あとがき ハッピーエンド好きのオタクなのに、こんなに刺さるのは何故なのか?

私はハッピーエンド好きで、登場人物にはなるべく生きて幸せになってほしいタイプなのに、どうしてこの作品がこんなに刺さって抜けないのか考えました。

ノートルダムの鐘は「みんな出会わなければこんなことには…」と思ってしまうくらい救いのない結末ですが、それでもやっぱり出会ったからこそ生まれた感情があって、素晴らしい瞬間があって、それは無かったことになんてできないなと…
フィナーレでのカジモドとエスメラルダの会話はその最たるものだと思っていて、最期にふたりで世界の頂上から朝日を眺めて、エスメラルダがカジモドの頬に触れて「あなたも美しいわ」と言うシーンが眩しくて美しくて、胸が張り裂けそうなほど切なくて尊くて大好きです。

もう戻れないあの時
運命を変えてしまうような出会い
人と人の出会いと交流で生まれる変化
選択と決断の果てに辿り着いた結末
私はこの辺の要素がめっちゃ好きなんだなと再確認しました。

あと、こちらは上手く言語化できているか分からないのですが、生きることを肯定してくれる作品が好きなのかもな…と思い当たりました。

物語の結末で歌われる

世界は残酷だ 時には人も残酷になるが
それでもかけがえのない世界 光と闇の 世界

これなんですよ。多分これが私に刺さって抜けないんだと思います。

人間と怪物、美しいものと醜いもの、善と悪、希望と絶望、光と闇、人や物事にはいろんな側面があって……人生しんどいこと上手くいかないこと理不尽なこといっぱいあるし、正解なんて分かんないし、漠然とした不安や後悔は消えることは無いけれど、それでもやっぱり生きることは素晴らしいし、この世界も捨てたもんじゃ無いよねって思わせてくれる物語に触れると胸がいっぱいになります。
直接的な言葉は無くても、こうやって今生きていることを肯定してもらえる気がするのかなと思います。
こんなに素晴らしい舞台を観られて、生きていてよかったな、明日からも頑張れるかもな…という気持ちになれます。

生きているからこそ人との出会いがあって交流があって、生きているからこそ変化が生まれて、そしてそれがより良いものであればいい。
世界はより良くなると信じていたいし、そうなるようにできることをしていけたら…なんて考えました。

物語から受け取るメッセージとか解釈とかって本当に人それぞれだしタイミングによっても変わってくるものだと思うのですが、私が今回劇団四季の『ノートルダムの鐘』を観劇して思ったのはこんなことでした、というのを備忘録として残しておきたかったです。

観劇日から恐ろしいほど時間が経ってしまった上に今まで以上にまとまりの無い箇条書きっぽい文章になってしまいましたが、個人的な備忘録としては役割を果たしてくれそうなのでこれでヨシとします。
最後の方はもう自分の好きな要素の懺悔のような、お気持ちポエムじみた文章になってしまいましたが………

もしもここまでお付き合いくださった方がいらっしゃいましたら、最後まで読んで頂き本当に本当にありがとうございました。

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