感情の色は、何色ですか?

書くことが時々、とても苦しくなる。
そんなときは、読むことも苦しくて、百瀬七海でいることはもっと苦しくて、自分が世界にひとりぼっちなんだと感じてしまう。
世界には、言葉では説明できないくらいたくさんの色が存在するのに、そんなときの私に、色は何も存在しない。
透明人間になったかのように、私は色と感情を失ってしまう。正確には、苦しいという感情だけは残っている。

何を見ても、何を読んでも、苦しさからは抜け出せないのに、私はそれを口に出す勇気がない。
苦しいと思う気持ち以上に、怖い気持ちがある。それが、孤独を感じることだった。
苦しいときはいつも、孤独を感じているときだ。透明の箱の中に閉じ込められた私の声は、誰にも聞こえなくて、外の世界の声も聞こえなくて、ただぼーっと流れる景色を見ることしかできない。でも、そんなときの私は、強がりの笑顔の仮面を被っている。深く深く、しっかりと、誰からも覗かれないように。

伝えたい言葉はたくさんあるはずなのに、大切な人への愛を届けることもできなくて、逃げるように大切な人から目を逸らしてしまうこともある。

どうして私は、この想いを言葉にできないんだろう。どうして私は、こんなにも言葉で自分自身の歩く道を残したいと願っているんだろう。

自分の心に、きちんと向き合う。それは簡単なことじゃない。すべてをきちんと抱えられるほど、できた人間じゃない。

透明の箱の中から見る景色はとても美しいのに、私はそこから飛び出す勇気がないのだ。
一歩を踏み出す勇気がない。だから私の伝える「アイラブユー」は、誰の心にも響かないのかもしれない。
温もりの感じられない「アイラブユー」に、誰が寄り添ってくれるんだろう。
誰が、この想いを掬い上げてくれるんだろう。

言葉に温度を与えたい。色を与えたい。
でもそれは、なにかから逃げているだけでは、与えることはできないだろう。

辛いときがある。
書くことも読むこともできないときがある。
逃げ出すことが、自分らしさを取り戻すこともあるとわかっているのに、私は逃げることを選べない。

私は生きている。苦しいだけの想いを感じられるのも、生きているからだ。瞳に映る景色に、孤独や苦しさを感じるのも、私が生きているからだ。

私に伝える勇気をください。
世界中の誰よりも、あなたを愛してることを。
この想いを、この世界の真ん中で叫ぶ勇気を。


2020.6.27

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いつか自分の書いたものを、本にするのが夢です。その夢を叶えるために、サポートを循環したり、大切な人に会いに行く交通費にさせていただきます。