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名前のない想いに、いつか名前をつけてあげよう

いつか、きっとまた会えるよね。

その言葉だけを信じてた。
その言葉があったから、目の前の「今、この瞬間」を頑張れた。

あなたのいない未来なんて、想像したこともなかった。
小さい希望のカケラが、容赦なく私の手からこぼれ落ちていく。

愛とか恋とか、そんなありきたりな言葉で、この想いに名前をつけてほしくなんてなかった。
それでも、この想いに名前をつけなければいけないのだとしたら、私はきっと永遠にその答えを出せないだろう。
だって、「今、この瞬間」も、まだあなたに会えるって信じてる。
もう2度と会えないってわかっているのに、心のどこかで、信じてる。
それが、愛なのか、恋なのかもわからずに。

答えを出してしまったら、この想いは私の指先から溶け出してしまう。
熱が冷めて、ゆるやかに溶け出して、流れていってしまう。

答えなんていらない。
あなたへの想いが、この胸に生きていることだけがすべて。
愛なんかじゃない。
恋なんかじゃない。
そんなありふれた言葉で、この想いの答えを出さないで。

指先からこぼれ落ちる。
指先から溶け出していく。
私の想いは、それでも止まることなく、ただ真っ直ぐに溢れ出す。
行き先は未定。
だけど想いは止むことを知らない。

想いのカケラは、私をあなたの元へと誘ってくれる。
ひとつひとつ、一歩一歩、ただあなたの元へ、導いてくれる。

愛してるなんて言わないで。
好きだなんて言わないで。

だって2度と会えないこと、私は知っている。
あなたの手を離したあの瞬間から、私はずっと、馬鹿みたいに奇跡を信じてる。

いつか、きっとまた会えるよね。

愛なんかじゃない。
恋なんかじゃない。

ちっぽけな存在の私たちは、まだ言葉を知らない。
愛にもならない。
恋にもならない。
そんな、この想いにつける名前を。
この想いに名前があるのかすら、知らない。

たったひとつ、わかってるのは、いつかまた会えるって信じてるってことだけ。

こぼれ落ちたカケラをそっと掬う。
溶け出した想いを、瓶に詰める。

この想いに、名前はいらない。
ちっぽけな私がつけた、ちっぽけな名前なんていらない。

でもいつか、また会えるのだとしたら。
どうかあの空で。
誰もふたりを邪魔しない、あの空で。
ふたり一緒に、この想いに答えをだそう。



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2020.8.10

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いつか自分の書いたものを、本にするのが夢です。その夢を叶えるために、サポートを循環したり、大切な人に会いに行く交通費にさせていただきます。