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私は私を探してた 【ゆるゆるいちごつみ #2】

こちらは、えみさんと始めた企画、 #ゆるゆるいちごつみ  になります。

本来の「いちごつみ」
相手の詠んだ短歌の中で使われている一語を摘み、次の方がその一語で一首を詠む。

「ゆるゆるいちごつみ」
短歌、詩、小説、エッセイなどジャンル問わず。
相手の書いた作品から摘むのは、一語じゃなくていい。

前回のえみさんの書かれたものは、こちらの小説になります。

こちらの小説から私が摘んだ一語は、「進路調査票」になります。


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高校時代、進路調査票というものを書くことが苦手だった。
将来について、なにか明確に目指しているものなんてなかったし、なんとなく憧れているような職業も、考えてみればテレビドラマの中で憧れの女優さんがその職業を演じているからだった。ナースになりたいと思ったことも、学校の先生になりたいと思ったこともある。普通のO Lさんになりたいと思ったこともあった。さすがに、あのころ小説家になりたいと思う気持ちはなかったけれど、中学時代には恋愛小説を書いたこともあった。

時間は待ってくれない。なににもなれる気がしなかった私は、2年間その答えを延ばす猶予を、進学というカタチで得ることができた。でもその2年間の進学で失ったものも確かにあった。ナースだったり、学校の先生だったり、明確になりたいと言える職業への道。お金があれば、明確になりたいと思う職業が見つかった時点で、退学して夢へ向かった一歩を踏み出すこともできただろう。でも、家庭の事情でそれは無理だった。進学して学んだことも、専門職ではない。普通に事務員として働くに困らないスキルを勉強しただけのようなものだ。

あの頃選んだ道を、後悔はしていない。
あの後も、いくつものドラマを見たけれど、やっぱりナースになりたかったとか、学校の先生になりたかったとか、思うことはなかった。
だから、あのときの2年延ばすという猶予は、間違っていなかったんだろう。

答えを出すのは、なんだって難しい。
たったひとつしか答えのないものなら、まだいいだろう。だけど、将来進むべき道は、考え出せば答えはひとつじゃない。女だからって理由で選ぶことのできない職業を除けば、なんだって目指せるのだ。

大人になった今、私の目の前にあるのは、進路調査票ではなく、仕事に関する異動等の調査希望書だ。年に一度、必ず書かなければいけなくて、その後は上司との面談がある。
異動の希望に関しては、毎年悩む。
正直、転職を考えるときもあった。
学生の頃のように、答えが無限にあるわけではない。限られた選択肢。その中で選ばなければいけない答えの多くは、本意ではないものもかなりある。

選択肢がたくさんあることの幸せって、そのときには気づきにくい。たくさんあればあるほど、可能性も広がるけど、それだけ悩みも増えるのも事実だ。だけど、選択肢がない答えを出すことが辛いときもある。
noteの街では、やりたいことがたくさんあって、何から書こうか、何を書こうか、悩むばかりの毎日。でも、私はそれを幸せに思う。全然書けてないけど、書くことを大事に抱きしめていられる。

書くことで私が大切にしているのは、答えを見つけることじゃなくて、たったひとりのあなたへの想いだ。
明日出す答えと、1年後に出す答えが違うのは、構わない。書き続ける限り、百瀬七海はたくさんの答えを見つけることができるんだ。今日とは違う答えを。
自分探しの旅は、書き続ける限り続いていく。


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ジャンル問わず、いろんなカタチで選んだ言葉に自分の色をつけていく。「ゆるゆるいちごつみ」は、そんな企画になるのかなと思います。

では、えみさんにバトンタッチ!


2020.5.24

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いつか自分の書いたものを、本にするのが夢です。その夢を叶えるために、サポートを循環したり、大切な人に会いに行く交通費にさせていただきます。