6. 死亡届を出したからといって全てが止まるわけではない

旦那の行政解剖が金曜日に終わり、土曜日の午前中には葬儀屋さんが市役所に死亡届を提出し、火葬許可証の申請を行なってくれた。日曜日に通夜、そして月曜日に告別式を行い、旦那は荼毘に付された。

死亡届を出すと、まず住民票が書き換わる。旦那は、市区町村の住民票から除票されるのだ。その後、市区町村から戸籍のある市区町村へ連絡がいき、戸籍が書き換わることとなる。我が家の場合、戸籍は結婚当初住んでいた東京都内、住民票は千葉県内であるため、戸籍が書き換わるには1〜2週間を要するとのことであった。

家族が亡くなった場合、死亡届を出すことで自動的に書き換わるのは、住民票と戸籍謄本だけである。そのほかは、全て各窓口において手続きを行うか、死亡したことを証明できる書類をもって、申請しなければならない。亡くなった方が所有していた財産は相続するか相続放棄をするか決めなければならないし、亡くなった方名義で契約しているものは契約を変更しなければならない。亡くなった方が利用していたサービスは今後も使うのかどうか判断しなければならないし、とにかくもう、やるべきことは大きなことから小さなことまでたくさんあるのだ。

ちなみに、私が旦那のことで行なわなければならかったことは下記の通り。


<停止・解約・返納>
・亡くなった人名義の金融資産凍結(銀行口座や投資信託など)
・亡くなった人名義のクレジットカード解約
・亡くなった人名義の運転免許証返納
・亡くなった人名義のパスポート返納
・亡くなった人名義の携帯電話解約
・亡くなった人の雇用保険受給資格証の返還
<名義変更>
・賃貸契約の名義変更・支払方法変更
・子供達の保護者変更(保育園、小学校、学童)・支払方法変更
・亡くなった人名義の自動車名義変更
・亡くなった人所有の株式名義変更
・亡くなった人名義の上下水道名義変更・支払方法変更
・亡くなった人名義の電気・ガス名義変更・支払方法変更
・亡くなった人名義で家族で利用しているネット関連サービスの名義変更(Amazon Prime, NetFlix, Hulu, Spotifyなどなど)
<支払>
・住民税の納税
<もらえるお金の手続き>
・保険金請求
・遺族年金請求
・健康保険加入者の埋葬料請求

これらの手続きは、それぞれに様々な提出書類を求められる。かなり複雑な申請になる場合もあるし、時間がかかる場合もある。普段ならなんてことなくこなせるであろうこういった手続き関係も、死別した直後となると話は別だ。悲しみにひれ伏していると、まるで頭も心も働かない。

私が最初にしたことは3つ。まずはここに焦点を絞った。

1:旦那の印鑑証明の取得
2:自分名義のクレジットカードの作成
3:市役所でできる申請

1:旦那の印鑑証明の取得
これは、葬儀屋さんからのアドバイスだ。車の名義変更、株式の名義変更を行う場合、故人の印鑑証明が必要となる。ところが、死亡届が提出されると、住民票から除票され、印鑑証明も取得ができなくなる。なので、死亡届が出される前に、2、3通印鑑証明を取っておいた方が良い、と、葬儀の相談をはじめて行なったその日に言われた。言われた通り、旦那の印鑑証明を取得した。

2:自分名義のクレジットカードの作成
MoneyForwardを夫婦で使い、キャッシュレス化に取り組んでいた私たち夫婦のメインカードは、旦那名義のANAゴールドカード。旦那が亡くなったことにより、このカードは解約しなければならい。私は旦那の家族会員でカードを持っていたため、自分名義でANAゴールドカードを作成した。カードの作成はネットから簡単にでき、申請から1週間ほどで新しいカードが届いた。その後、日々の買い物はこちらのカードにシフトし、また、各ショッピイングサイトに登録されているカードも気が付いたタイミングで新しいカードへと切り替えた。何がクレジットカード支払いになっているかはMoneyForwardを見れば明らかだったので、気が向いたときに過去の履歴を見直しては、クレジットカードの変更を行なった。

3:市役所でできる申請

<市税課:住民税について>
住民税は毎年6月に1年分の納付金額が告知され、会社員であれば毎月の給与から源泉徴収となる。亡くなった場合、給与が支払われないため、源泉徴収ができず、別途収めることとなる。亡くなったタイミングにもよるが、納税額を把握するために、市税課を訪れることをおすすめする。
うちの場合、ちょうど納付金額が告知される6月に亡くなった。納税は前年度分となるため、亡くなったからといって納税義務がなくなるわけではない。一家の大黒柱が亡くなったので、かなりの納税金額となったが、こちらは主人の会社のご好意で、5月分の給与から源泉徴収で納税していただいた。主人の会社の給与は、当月支払われる給与は前月分であったため、6月に亡くなったが、6月の給料日には5月分の給与が支払われた。その際に源泉徴収してもらったため、給与の手取りは減ったが、自ら納税する必要はなく、非常に助かった。

<保育課:保育園、学童について>
小さなお子さんがいる家庭は、必ず保育課を訪れよう。家族構成が変わったことで、もちろん世帯年収も変わる。世帯の納税金額を元に保育料を算出しているので、保育料が下がる可能性がある。また、ひとり親になったことで受けられる恩恵もある。まずは印鑑を持って、保育課へ。
保育課での手続きは下記の通り
・家族構成の変更
・引き落とし口座の変更
・その他、ひとり親になったことで受けられる恩恵についての説明


もし可能であれば、一人ではなく誰かに付き添ってもらうことをオススメします。亡くなった直後、まだ悲しみも深く、気持ちも不安定な中、記載する書類は多い。しかも、”配偶者死亡”とか、”父親(あるいは母親)なし”という現実をまざまざと突きつけられる。私はその度に、心がパリンと音を立てて割れ、涙なしではできない作業だった。死別の場合、誰も望んでないのにそのような結果になった場合が多い。なんで私が、なんで子供達が、そんな思いが手続きの最中ずっと頭の中をよぎり、心がぐっとしめつけられる。それでも、市役所の方は同情しつつも不躾に質問を浴びせてくる。私は妹に付き添ってもらった。妹なしでは乗り越えられなかった。もちろん、市役所から帰る車の中では涙は止まることはなかった。

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