アルコール依存症の女 今日ぐらい

レグテクト(飲酒欲求を抑える薬)を飲むとある程度飲みたい気分は抑えられる。
服用して間もない頃スーパーに行ったが、アルコール飲料コーナーを素通りすることができた。

しばらくは医師の言いつけ通り、一日3回の服用を守った。
自分から酒を遠ざけようとスポーツジムにも入会した。仕事を終えて帰宅すると、すぐにジムに向かいひたすら身体を動かした。クタクタになって酒を飲みたいと思わせないぐらい身体を疲れさせた。
定期的に専門病院にも通った。ちょうどその頃、コロナの影響で飲食店がアルコールの提供を自粛していたのも手伝って順調に酒を断っていた。

しかし断酒2ヶ月目に飲食店のアルコール提供が解禁される。10月下旬。
「今日ぐらいいいや」
焼肉屋で生ビールを頼んだ。
自分は頑張れば2ヶ月間酒を断つことができるんだから、今日飲んでしまっても明日からまた飲まなければいいだけ。そんな軽い気持ちだった。
久しぶりのビールを喉を鳴らし体の中に流し込んだ。お店では泥酔することはなかったが、帰宅途中にスーパーでボトルのワインを購入した。母も一緒だったので2人で飲んだが、そのほとんどを私が飲んだ。
次の日は二日酔いで目が覚め、秋だというのに大量に発汗していた。

その日以来、断酒と再飲酒を繰り返すようになる。平日は飲まないけど、その分週末は大量に飲むというように。

そして年末になり、仕事を納め長期休暇に入る。
予定のない私は自宅で1人酒を喰らっていたのだが、年末の1人酒はあまりにも虚しく、知人を呼び出し外で飲むことになった。

安くて上手いと有名な居酒屋に入り飲んだ。
店内は年末ということもあり大賑わいだった。

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