アルコール依存症の女 充実と苦難

年明けからも順調に断酒は続いた。
平日は夕方まで仕事、帰宅後はジムに行き身体を動かし晩ごはんをしっかり食べ早めに就寝した。
そんなルーティーンができあがり、酒が入る余地もなくなった。
赤ちょうちんのお店の前を通るとやはり後ろ髪引かれたが、一杯の酒を天秤にかけると飲む気になれなかった。

当時の仕事は楽しかったし充実していた。
ただ、経済的には少し苦しかったし、もう少ししっかりと新聞制作に携わる仕事がしたいと思うようになっていた。
それに当時の仕事は有期雇用で1年後には契約が切れることになっいた。
そんなとき、たまたま閲覧していた求人サイトに某新聞社の編集者募集の広告を見つけた。

何の迷いもなく受けようと決めた。

自宅にパソコンがない私は職務経歴書や自己PR、履歴書などをネットカフェにこもり作り上げた。まともに就活をしなかったので、レジュメの作り方がこんなものでいいのかも分からず不安だった。
完成させた履歴書にいつ撮ったかも忘れた証明写真を貼り、投函した。

不採用なら今の仕事を契約終了まで続ければいいし。そんな気持ちだった。

年明けから掛け持ちでアルバイトも始めた。週2回、居酒屋での仕事。
昼間の仕事を終えてからのアルバイトは体力的にきつかったが、それなりに収入の足しになるし賄いが付いているのがありがたかった。

居酒屋へ向かう電車の中で電話が鳴った。
知らない番号だった。

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