アルコール依存性の女 私と父

私は父が大好きだった。
以前にも書いた通り思春期に母が精神的に病んでしまったので、必然的に父に頼り懐いていた。
よく2人で甲子園に阪神タイガースの試合を観に行った。当時、現役だった金本選手がホームランを打てば喜び赤星選手が盗塁をすれば歓声をあげた。父と球場で飲むビールは格別に美味しかった。阪神が勝っても負けても飲んだ。

「オレはバース・掛布・岡田のバックスクリーン3連発を球場で見たんや」
酔ったときの父の常套句だった。

父は音痴のくせに音楽が大好きだった。
それもちょっと可笑しくて、ヒップホップを好んで聴いていた。特にケツメイシがお気に入りで、大ヒットした「さくら」を飽きることなく車内で響かせていた。
今でも墓参りのときは「さくら」をスマホで流してお線香をあげる。

「お父さん若いね」
そう言われる父が好きだった。

私にとって父はお手本だった。
「一生懸命働いていたら、必ず誰かがその姿を見ていてくれる」
父からもらった言葉で一番大切にしている言葉で、今もずっと信じている。
専業主婦の母には憧れず、父のようにバリバリ働いて稼ぎたい。そう思っていた。

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