アルコール依存症の女 取材

※前回の「何回目」に書き忘れたことがあるので、今回はそちらを書こうと思います。
話が前後してしまいますが、ご了承下さい。

2月の半ば、アルコール依存症になった新聞記者の連載を見つけ記者へメールを送った。
「父親はアル中で死んで、私も依存性で苦しんでいる」と。
すると「取材をさせていただく可能性もあるので、その際はご協力願います」とご丁寧に返信が届いた。

数ヶ月経ったある日、仕事帰りにスマホが鳴り覗くと見覚えのない差出人からのメールだった。誰なのか、何の用件なのか把握するまで数秒かかった。あぁ、あのときの!
「ぜひお話を聞かせてほしい」そう書かれていた。喜ぶべきか戸惑いつつも、了承の返信を送る。この日は私の34回目の誕生日だった。

記者は関東にいるので、オンラインでの取材ということになった。
オンラインといえど取材を受けるのは初めてのことだし、緊張した。
画面に登場した記者はふっくらした物腰の柔らかい中年の男性だった。
父のこと、自分のこと、お酒のこと。あまり覚えていないけれど、1時間ほどいろいろ話した。「原稿ができたら送りますので」。話し下手な私から聞きたいことは聞き出せただろうか。なぜか申し訳ない気持ちになりながら通話を終了した。

そして翌月、紙面に私の取材記事が掲載された。自分のこととは思えない、ふわふわした感覚に陥った。でも私の話なんだ。
同情でも共感でも怒りでも、何とも思わなくてもいいから、全国の大勢の人が読んでくれるのは素直に嬉しいと思った。

後にこの取材を担当してくれた記者は私に大きな影響を与えることになる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?