アルコール依存症の女 光

面接も終了し、帰路に着いた。
この試験を受けることは誰にも話していなかった。家族にも友人にも。もちろん、あの記者にも。
採用されたら伝えようと思っていた。
けれど、面接は上手く答えれなかったし受かる自信はなかった。

合否は2週間後に発表される。
それまでの時間があまりにも長い。
試験の翌日、思うようにいかなかった昨日を思い出し1人号泣した。

そして、翌週からいつも通り何もなかったように仕事をこなした。どうせ落ちるから、ここで契約終了まで頑張ろう。

合否発表当日は仕事だった。正直、仕事どころではなかったが任された仕事で忙しくしていた。そのとき、電話が鳴った。
登録されていない番号。まさか、と思った。 
他の人に気づかれないよう、隅の方に行き応答する。
「○○新聞社ですが、今回採用ということで」

嬉しかった。よっしゃぁぁとか雄叫びを上げたいぐらいだったが、会社なので静かに電話を切り何食わぬ顔で仕事に戻った。

1番に伝える人は決めていた。
その日の夜、あの記者に電話をかけた。
「え、なんで?どういうこと?」
かなり驚いていた。

「あなたみたいな記者がいる新聞社で働きたいって面接で言ったんですよ」


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