アルコール依存症の女 酒なしの正月

あの電話があった次の日から出勤し、会社には「胃腸炎で…」と疑わしい説明をした。だが、周りはそれほど私に気を向けていないらしく通常通り仕事に就いた。

もう飲めないんだ。飲めない体になってしまったんだ。二度と上手に飲むことはできないんだ。

今更だが気付き、その日から酒を飲むのを本格的にやめた。
今までの断酒より遥かに苦しく、今まで酒で埋めていた欲求部分を別のもので埋めないといけなかった。
私の場合、煙草は吸わなかったのでとにかく
手当たり次第食べまくり、酒のことを考えないで済むようすぐに寝た。
どうしても飲みたいときはノンアルコールビールを飲んだ。
2週間が過ぎると飲酒欲求は大分と治ってく
る。この辺りから「お酒なんか飲まなくても一生やっていける」という錯覚に陥る。
実際、飲まなくても平気だが一方で「2週間も断酒できたんだから、またいつでもやめれるよな」という気持ちが芽生えスリップ(再飲酒)してしまう人は多い。
私も今までこのトリップに引っかかっては断念していたのだが、今回は謎の根性で乗り越えてみせた。

1ヶ月、3ヶ月と過ぎ、アルコール依存症患者にとっては試練の年末年始がやってきた。
この時期にスリップしてしまう方は非常に多いと聞く。仕事も休みやし雰囲気につられて。

そんな私も無駄に6日間の年末年始休暇をいただいた。この6日間を酒抜きでどう過ごすか。
とりあえず1人でいるのは危険なので母宅で連泊し、姉の家に遊びに行くというプランで酒なしの正月を迎えた。
酒のない正月って何十年ぶりだろう。

きっと2023年は酒なしの良い年になる!
心からそう思った。

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