ジェーンエアは聖母なのか

配信にて上白石萌音さんがジェーン役の回(4/1 17時半時開演)を観劇しました!

1.役者感想

まず言いたいのは、上白石萌音さんは素晴らしい役者さんですね、、、、、ということ

演技と歌、どちらかが優れた方は沢山いらっしゃると思いますが、そのどちらもに秀でた方に出会った!と大興奮でした。
特に、細かい表情の演技がよく見えるのが配信の利点ですが、彼女の表情のくるくる変わること!😳

ローチェスターが結婚すると知った時に似顔絵を描くシーンでの眼力や、色々言いたいことはあるけどそれを全部飲み込んで絵を描くという行為で嫉妬の感情を紛らわせてる......迫真の演技が印象的でした😌


2.音楽感想

常に今にも泣き出しそうだけど懸命にそれを堪えてる、みたいな雰囲気の音楽が後景にあって、ジェーンの人間性や人生そのものを表しているように感じて心揺さぶられました。

♪まるでセイレーンみたいに呼ぶから〜が好きすぎてアーカイブで無限にリピした結果、今でも頭から離れません!笑
なにとぞサントラを......よろしくお願いします🥺

風の吹き荒ぶイギリスの荒野で、唯一愛する人の声がセイレーンの呼び声のように聞こえてくる......なんてロマンチック❤︎


3.疑問

さて、本題に入りますが、観劇中もその後も、頭の中でずっとある問いが浮かんでいました。

それは、‘ジェーンエアは聖母なのか’ということ。

少なくとも冒頭幼少期のジェーンは、いじめてきたおばに公衆の面前で暴言を吐くような子供でした。それは賢さの裏返しでもあったのだと思います。

しかしヘレンと出会い、信仰と赦しを学び、最後には誰しもを「赦し、愛すること」を説きます。
この過程で、ヘレンはいわゆるキリスト教的な聖母(マリア)の化身のような存在になったのでしょうか。



4.ジェーンエアとは何者か

私は、この考えには全面的には同意しかねます。もちろん「誰しもを愛し、赦すこと」は聖母の慈悲の心を体現していると言っていいと思うのですが、やはりジェーンはそれだけの人物ではないと思うのです。

元々彼女は家庭教師になるためにローチェスターの屋敷にやってきたのでした。「家庭に入り、献身する女性」ではなく「学のある、自立した」女性(を目指す者)として。

その後、年の離れたローチェスターの結婚をまともに恋愛したこともない女の子が受け入れる、かと思いきや衝撃の事実を知って、一旦離れる。そこで出会った牧師に神への愛と異性としての愛を混同して迫られてもキッパリ断って、神への愛とローチェスターへの愛に従い戻ってくる。

こうしたイニシエーション(通過儀礼)を経て、ジェーンも自立した女性になっていきます。

そこにあるのは、不遇にありつつも、教養と信仰を身につけ、自分の頭で考えて、自分で選択して、誰かに寄りかかるのではなく地に足つけて生きていく女性像だと思うのです。(その上でローチェスターとの愛に生きる、という選択がとても素敵だと思うのです。)

これが私の考えるところの‘ジェーンエア’です。

最後になりますが、天真爛漫で教養を当然のこととして与えられているアデールと、抑圧まみれだったジェーンの幼少期は対照的です。
ある意味グロテスクとも言えて、これでも嫉妬せず性格がひん曲がることもなくアデールを愛したジェーンは、人格者であり強い人ですね(見習いたいです)😌

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