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人材業界に向いている人・向いていない人

お疲れ様です。もなきです。転職エージェントをしたり、スタートアップ企業の採用のお手伝いをしたり、採用動画のプロデュースをしたり、YouTube(名もなき転職チャンネル)をしたりしています。

YouTubeで話している内容を文字でもお伝えしている「名もなき転職マガジン」、今回は「人材業界に向いている人・向いていない人」というテーマで書いていきたいと思います。

僕は1社目がリクルートキャリア(入社当時はリクルートエージェント)で、2007年に新卒で入社しました。その後、顧客企業の一つであったエムスリーキャリアという会社に人事として転職して、部署異動してドクター向けの人材紹介等をして、現在は独立して人材紹介の仕事等をしています。

なので、僕の経験が一貫して人材業界だからか「人材業界に転職をしたい」という求職者の方からは、定期的にご相談をいただくのですね。

この業界で15年近くもいると、よい面も辛い面も経験してきたので、今日はその経験も踏まえて、業界の特徴や、どんな人が向いているか・向いていないか、という話をしたいと思います。

今日のnoteですが、

【1】人材業界の4つの業態
【2】人材業界のやりがいと大変さ
【3】人材業界に向いている人
【4】人材業界に向いていない人
【5】まとめの話

こんな流れでお伝えしたいと思います。

これから人材業界で働くことも一つの選択肢だよなって思っている就活生や転職活動中の方はもちろんのこと、今既に人材業界で働いている人が「あるある」って思いながら見ていただくのも結構ですので、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。

【1】人材業界の4つの業態

まず、人材業界と一括りに言っても、そこにはいくつかの業態があります(本当は細かく分けるともっと細分化されるのですが、今回はシンプルに4つに分けています)

①人材紹介業
②人材派遣業
③求人広告
④人材コンサルティング

以上の4つです。簡単に、それぞれの特徴について見ていきましょう。

①人材紹介業

まずは人材紹介業です。こちらは、すごいシンプルにいうと、求人と求職者をそれぞれ集めて、双方を仲介してマッチングが成立したら年収の30〜35%をフィーとしていただくモデルです。最終的にお金をいただくのは企業側からで、求職者である個人側からはお金はいただきません。転職エージェントとかヘッドハンターという言葉の方が馴染みがある仕事ですね。

②人材派遣業

次に人材派遣業です。こちらは、人材派遣会社に登録または雇用されているスタッフを、クライアント企業に派遣して、クライアント企業から派遣料をいただくというモデルです。クライアント企業さんは、派遣会社にお金を支払うのですが、実際に派遣社員であるスタッフの方のお財布に入るお給料よりも高い金額を支払います。つまり、そのスタッフが勤務している限り、差額分がマージンとしてチャリンチャリンと継続的に派遣会社に入るという仕組みです。

③求人広告

次に、求人広告です。こちらは、リクナビとかマイナビのようなWEBメディアの広告枠を売るモデルです。昔は前課金、つまり求人を掲載する段階でお金を払うことが多かったですが、最近は成功報酬課金つまり採用が決まった時などに一定の金額を支払うという求人広告も増えてきました。

④人材コンサルティング

最後に人材コンサルティングです。これは、内容としては広いのですが、例えば採用したいターゲットがなかなか集まらないという会社に対して、求人の訴求内容やスカウト文面を改善してPDCAを回したり、人事戦略や組織戦略の改善をアドバイスしてコンサルティング料をもらうビジネスモデルです。実際に、中の人として手を動かして支援する、いわゆるハンズオンの形で業務をアウトソーシングで受けて支援する会社も増えてきました。

大きく分けると、以上の4つが人材業界の分類です。

もっと細かいところで言うと、ビズリーチのようなダイレクトリクルーティングつまりスカウトサービスを展開している会社や、採用や人事労務などの業務効率を上げるWEBサービスを運営している会社、エンジニアなどを業務委託の形で派遣しているSESと呼ばれる業態などもあるのですが、今回はメジャーどころの4つにシンプルに分けています。

【2】人材業界のやりがいと大変さ

では、人材業界のやりがいは、どんなところにあるでしょうか。

これは正直「どこまでこの仕事の価値をきちんと認識して日々取り組んでいるか」という、この仕事に従事する人のスタンスに寄るところも大きいと思います。

ちゃんとしたスタンスを持って臨んでいる人についてのやりがいを言うならば「企業や個人の成長に寄与できることが多い」という点にあるかと思います。

対・企業のやりがい

まず、対・企業の側面ですが、ヒト・モノ・カネ・情報という経営資源がある中で、どれも重要ではありますが、やはりヒトの部分って事業成長においては肝になってきます。

そのヒトに関する悩みや課題感を、社長や役員などの経営陣、人事や事業責任者からヒアリングを通じて、課題解決に繋げていく。人の意思決定という可変的な要素が多い部分をきちんとフォローしながら、採用とか業務改善に繋げていくということは、成功した時にとても大きな達成感と感謝の声があります。

もちろん、採用の支援をするからには、入社するだけでなく、入社してからいかにその会社で活躍して貢献するかが重要になってくるので、成約して終わりではありません。きちんと、採用した方がその後どうなっていったのかまで追いかけていく必要があります。ただ、そこで実際に活躍している話を聞けた時はとても嬉しいものです。

対・個人のやりがい

また、対個人向けの支援としてもやりがいは大きいです。これは、対個人と向き合う、人材紹介や人材派遣の仕事に限っての話ではありますが、個人としても働く上での何らかの課題感や、将来ありたい姿に近づいていきたいという想いがあって、職場を選択するわけです。

その人生の大きな転機に関わることは、もちろん責任も大きいですが、感謝をされることも多く、やりがいは感じやすいかなと思います。

【3】人材業界の大変さ

では逆に、人材業界の大変さはどんなところにあるでしょうか。

これは、言葉の通り「人が関わるビジネス」なので、正解がないといういう大変さはとても大きくあります。

「絶対この人は内定まで進む!」って人事の人に太鼓判を押されていた人が面接でお見送りになってしまったりとか、求職者の方が約束通りに職務経歴書を提出してくれなかったり、唐突に選考辞退を告げられたり、進めていた採用のプロジェクトが計画見直しでストップになってしまったりして、かけた工数が1円にもならなかったりすることもざらにあります。

もちろんこれらは、やっていくなかでリスクヘッジをできるようにもなってきますし、もっというと、一定の想定外は起こるものとしてバッファを持って事業を進めていく感覚は身につけることはできます。

ですが、慣れていないとショックは大きいと思います。別に相手も裏切っている訳ではないと思うのですが、なんか裏切られた気持ちになってしまうこともあるかと思います。ただ、これは別に人材業界の仕事に限らず、なんらかの営業の仕事であれば、お客さんの事情が変わって受注できなかった、なんてことはざらにあるので、別に人材業界に限った話ではないかなと。

あとは、どうしても人材業界は労働集約型のビジネスモデルになりやすいので、どんなに丁寧に進めていきたい、1社1社や、一人一人に向き合っていきたいという思いがあったとしても、会社からはアクション量やKPIの達成を求められて、理想と現実のギャップに苦しむ人も少なくありません。

私が思っていた人材業界の仕事とは違う、と考えて業界から退いていく人も多いのが現実です。あくまでもビジネスである、ボランティアや社会貢献ではない、ということをどこまで認識して入れるかどうかは大事です。

【4】人材業界に向いている人・向いていない人

では、どんな人が人材業界に向いているでしょうか。

よく
「人が好きな人」「人に興味がある人」
は人材業界に向いている、なんていう人がいますが、僕はその言葉は間違っていると思っています。

もちろん、人材紹介にしても、人材派遣にしても、どちらも職を探している個人の方のお話を聞くので、その方に対してきちんと興味を持ってヒアリングしていくことは必要です。ただそれって「人が好き」だけだとやっていけないんです…。

先ほどもお伝えしたように、人の心は変わります。頑張った努力が報われない、裏切られてしまうような体験をすることも多くあります。どんだけ時間をかけても、最後の最後でそれがぱあになってしまうこともあります。するとどうでしょうか、気づいたら、人が好きなんていってられなくもなっちゃうんですね。

ヒアリング力は大事です。相手の課題をきちんとヒアリングして、課題解決の提案ができてこその仕事です。ですが、頑張るモチベーションの源泉が「人が好き」「人に興味がある」だと、しんどくなっちゃうのです。

また、法人相手の営業ならまだしも、個人向けのお話を聞いている中だと、勤めていた企業でのしんどかった経験などネガティブな話、暗い話を聞くことも多いです。その時に、あまりにも感情移入し過ぎてしまうと、身がもたないんですよ。一定の理解を示すことは大事ですが、人が好き過ぎて、その人に興味を持ち過ぎて、感情移入し過ぎてしまって自身のメンタルも病んでしまうのは元も子もないです。ミイラとりがミイラになっちゃダメです。

では、どんな人が人材業界に向いているのでしょうか。
大きく分けて、3点あります。

①学ぶことが好きな人
一つ目は「学ぶことが好きな人」です。

人材業界は仕事上、多くの業種、職種の人と会話することになります。その中では、当然自分が詳しくない分野の話も出てきます。その話を、分かったようなふりをせず、きちんと自分で調べたり、必要に応じてお客さんからも聞くなどを通じて、日々学び続けることが大切です。

業界の動きや、職種のトレンドも、日進月歩で変わっていきます。クライアント企業のビジネスモデルも、数年前にはなかったようなものが続々と出てきています。それを、きちんと自分の中で研究して、事業モデルやマネタイズの仕組み、マッチする人の特徴などを仮説を持って調べて学んでいくことができる人は、向いています。

②へこたれない人
二つ目は「へこたれない人」です。

先程の話とも重なりますが、残念ながら努力がパアになってしまったり、裏切られたと感じてしまうような場面もこの仕事には多いです。でも、人の気持ちなんてうつろうものだから、そうなっちゃうこともあるよね、次頑張ろう、と前を向ける人が向いています。打たれ強さと言い換えてもいいかもしれないですね。

③顧客のその先の目線を考えられる人
三つ目は「顧客のその先の目線を考えられる人」です。

例えば、人材紹介でも、人材派遣でも、求人広告でも人材コンサルティングでもそうですが、自分が対峙している顧客の先に、別の相手がいます。人材紹介や人材派遣であれば、求職者の先には、書類選考や面接をする企業側の人がいます。求人広告であれば、広告を見て応募するかを検討する閲覧者がいます。人材コンサルティングで人事制度のコンサルをするとしたら、その人事制度で働く従業員の方がいます。

その「顧客のその先にいる人たち」が何を考えているか、何を感じ取るかを考えて、相手に対して提案したり、アドバイスをしたり、フォローすることが必要になってきます。

たまにいるのですが、職務経歴書のアドバイスをきちんとしていない、またはできない転職エージェントがいます。その方は、とりあえずフォーマットがそれっぽければ、とりあえず企業にバンバン紹介して応募数を稼ごうとするんですね。なので、書類選考も10%未満しか通過せず、もっと数を受ける必要がある、なんて言ったりするんです。(正直、そんな転職エージェントに価値はないです)

職務経歴書ひとつとっても、その職務経歴書を見た採用する側の人が、何を気にしてみるのか、何を大事にしているのかという目線を持った上で書くべきなのです。

求人広告であれば、ターゲットと異なる人の応募が大量に集まるよりも、本当に欲しいターゲットの人の心に響いて確実に応募を集められるようなコンテンツを作るべきなのです。

その顧客の、その先の目線を持てるかどうか、というのは、人材業界の仕事をしていくなかでとても重要なポイントになってくると思います。

正直この三つ目は、人材業界にかぎらず、どんな業界でも大切な考え方なのかもしれないですね。ただ、特に人材業界だとビジネスモデル上、自分ではない誰かや何かに動いてもらう、ということが多く発生するので、その先の相手の目線を持てるかどうかはとても大事になってきます。

【5】まとめの話

ここまで読んでいただきありがとうございました。いかがでしたでしょうか。今回は「人材業界に向いている人・向いていない人」という話をしました。なんだか、最後は僕の人材業界への価値観みたいな話になっちゃいましたが、人材業界への転職を考えている人にとって、少しでも参考になってくれたら嬉しいです。

ちなみに、僕はこの人材業界の経験はもうすぐ15年目に突入しちゃいますが、好きだからやっています。

ただ、大手の人材会社で、アクション量やKPIにがんじがらめにされてやると、自分の中の価値観とかスタンスが維持できなくなるから、自分の会社でそれをやっています。

もし、このnoteを見てくださった方がどこかの人材業界に入社して、仕事内容は好きだけど会社の枠組みの中でやるのは合わない、っていう気持ちが大きくなってしまったとしたら、独立したり、価値観を共有できる少数の組織でやってみるのもありなんじゃないかなと思います。

そんな時は、いくらでも相談乗りますので、ご連絡くださいね。

今後も、このnote(名もなき転職マガジン)では、転職やキャリアにまつわる話を発信していきたいと思います。

尚、今回の内容は以下の動画でも見ることができますので、よろしければぜひ高評価とチャンネル登録お願いしますm(_ _)m

▼今回のnoteの内容について話した動画

それでは、みなさん。今日もよい一日を。

もなき

サポート金を元手にその方とランチに行きたいです(都内のみ)つまり、500円が1,000円のランチに化けます。