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東京の夜景を素直に綺麗と思えなくなってから

会社のビルから眺める高層ビルの光。
夜のドライブで眺める街の光。
東京に来てすぐの頃、それらの光は”夜景”という表現で、私の中で「綺麗」という言葉を生み出していた。

それが1ヶ月も経つと、素直に綺麗とは思えなくなっていた。

この光はサラリーマンたちの労働の証。
この時間に光ってるなんて、まだ残って頑張っている人がいるんだ…
と思うようになってしまった。
社会人になり、定時になると「新入社員の子たち、上がっていいよ〜」と言われ、言われた通り帰り支度をするものの先輩や上司たちは一向に動かない。
その様子を見て帰るのを少し躊躇っていると「帰れるうちに帰っとき〜、気にしなくていいから。」と。
残業は多くないと言われていたものの、なぜかよくわからないサービス残業タイムがあったり、定時で上がれるなんてそうそうないという現実を知ってから、19時以降も燦々と輝いているビルの光は素直に綺麗とは言えなくなってしまった。

東京の夜景よりも私は、初めて見た富士山の方が何倍も、いや、何百倍も綺麗に感じた。
久しぶりに心底綺麗と思えるものと出会った感覚だったな。

東京の夜景を綺麗と素直に思えなくなったのは、社会を知り始めた証だろうか。うれしくはないな。
「わ〜きれい〜東京駅のあたり特に綺麗だね〜」なんて純粋に言っていたあの頃に戻りたいものだ。

まだまだ東京の知らない顔がある。
これからも少しずつ、知らなくてよかったことも、知ってよかったこともたくさん経験していくんだろう。

東京、面白いな。

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